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平成二十四年九月五日提出
質問第四一一号

広がる不当な表示や過大な景品類の規制に関する質問主意書

提出者  木村太郎




広がる不当な表示や過大な景品類の規制に関する質問主意書


 平成十五年頃から米国において、自らの正体を隠し、宣伝広告ではないふりをしてこっそりと宣伝活動をする「ステルス・マーケティング」という広報手段の全体を表す言葉が広まり、我が国でも平成十七年頃から今日まで、その広告手法について消費者の適正な商品・サービスの選択に悪影響を及ぼしている。
 昭和三十七年に制定された「不当景品類及び不当表示防止法」(以下景品表示法という)は公正取引委員会から平成二十一年に消費者庁へ全面移管され、平成二十三年十月、「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」を公表したが、それによると、「商品・サービスを提供する事業者自身がステルスマーケティングを依頼した場合においては、景品表示法に抵触する」としたものの、一方では消費者における優良誤認・有利誤認の効果を助長しないステルスマーケティングは違法ではないとも解釈され非常に曖昧なものになっていた。その後、商品・サービスを提供する店舗を経営する事業者が、口コミ投稿の代行を行う事業者に依頼して、口コミサイトの情報コーナーに、口コミを多数書き込ませるという行為が発覚、問題を重要視した消費者庁は、本年五月九日には、第二の「二、口コミサイト」のうち「(三)問題となる事例」に前記の事例を追加し、新たなサービス類型について特に留意事項を示したところである。しかし、電子商取引ガイドラインの考え方を変更するものではなく、当該ガイドラインは引き続きインターネット消費者取引の基本指針となり、違反するか否かは個々の事案ごとに判断されるとし、依然放置されたままになっている。
 平成二十年五月二十三日、高裁における審決取消訴訟判決では、「商品を購入しようとする一般消費者にとっては、外形のみを信頼して情報を入手するしか術を知らず、一般消費者の信頼を保護するためには、「表示内容の決定に関与した事業者」が法四条一項の「事業者」(不当表示を行った者)に当たるものと解釈すべきであり、「表示内容の決定に関与した事業者」とは、「自ら若しくは他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者」のみならず、「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」や「他の事業者にその決定を委ねた事業者」も含まれるものと解釈するのが相当である。」として、情報の非対称性における一般消費者の信頼を保護する判決文になっている。これに呼応した当時の自公政権は、同年の第百六十九回国会に、不当表示に対する課徴金制度を導入するための「独占禁止法及び景品表示法の一部を改正する法律案」を提出したものの成立せず、衆議院で閉会中審査となった経緯があるが、国として、拡大解釈など言論の自由を脅かすことなく適切に対応し、早急に悪質商法や不当表示による不当収益剥奪や被害者救済制度を明確化する法整備が必要と考える。
 従って、次の事項について質問する。

一 昨今、インターネットの普及により、ブログを活用する芸能人や有名人のブログ内における言及効果を、ブログ運営事業者が直接運営し、事業者が人気の高いブログサイトに報酬を支払い、商品の宣伝を依頼する行為が激増していると聞くが、どのように分析しているのか、野田内閣の見解如何。
二 意図的に正体を隠し、善意の第三者を装った口コミによる偽装宣伝が増え、僅かな報酬によって、偽装したブログへ女子大生や主婦などに書き込ませる口コミの情報について、どのように捉えているのか、野田内閣の見解如何。
三 二に関連し、投稿や紹介という行為が、金銭で取引されている実態についてどのように対応していくのか、野田内閣の見解如何。
四 消費者庁によると、「広告代理店やメディア媒体は、商品・サービスの広告の製作等に関与していても、当該商品・サービスを供給している者でない限り、表示規制の対象とはならない」としつつも、「当該広告に不当な表示がなされないよう十分な注意を払ってください」と広告代理店においても何らかの注意義務があることを示唆している。昨夏、某放送局による韓流ドラマの放送枠の拡大など他国を盛り上げた過剰な放送姿勢に批判が集中したが、これについてどのように捉えているのか、野田内閣の見解如何。
五 消費者庁は本年五月九日、第二の「二、口コミサイト」のうち「(三)問題となる事例」に新たな事例を追加し、改めてサービス類型について特に留意事項を示したところである。しかし、電子商取引ガイドラインの考え方を変更するものではなく、当該ガイドラインは引き続きインターネット消費者取引の基本指針となり、違反するか否かは個々の事案ごとに判断されるとし、依然放置されたままになっている。度重なる事例について逡巡し、追加されるだけの現状についてどのように捉えているのか、野田内閣の見解如何。
六 平成二十年五月二十三日、高裁における審決取消訴訟判決での事例における景品表示法の規制対象者について争った解釈についてどのように分析しているのか、野田内閣の見解如何。
七 一〜六に関連し、国として、拡大解釈など言論の自由を脅かすことなく適切に対応し、早急に悪質商法や不当表示による不当収益剥奪や被害者救済制度を明確化する法整備が必要と考えるが、野田内閣の見解如何。

 右質問する。



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