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平成二十四年九月五日提出
質問第四一五号

「おたふくかぜワクチンに関するファクトシート」の記述とMMRワクチン薬害事件の検証に関する質問主意書

提出者  阿部知子




「おたふくかぜワクチンに関するファクトシート」の記述とMMRワクチン薬害事件の検証に関する質問主意書


 平成二十二年七月七日の厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会に提出された「おたふくかぜワクチンに関するファクトシート」(平成二十二年七月七日版)について、十二ページ、十五〜十九行目の「MMRワクチンに含まれる麻しんウイルス成分が免疫抑制を起こし、それがムンプスウイルスと混合されことによりムンプスウイルス成分の副反応が強くでる可能性が指摘され、統一株MMRワクチンの使用を中止し、ワクチン製造所独自の麻疹、おたふくかぜ、風疹ワクチンを混合した自社株MMRワクチンの使用が選択された。」という記述は、平成三年十月に統一株が使用中止とされ、自社株MMRが導入されたと説明したものと理解される。

一 右について、「統一株MMRワクチンの使用を中止し」と記述した根拠となる事実、それが記されている文書等の名称、その保管部署等を正確に示されたい。
二 前項一の答弁内容によっては訂正することもありうるが、以下の証拠により「統一株MMRワクチンの使用を中止し」と記述することは誤りといえる。証拠を確認してもなお、統一株の使用を中止したということが誤りでないといえるのか見解を示されたい。
 (一) 平成三年六月二十一日付健医感発第四十九号「乾燥弱毒生麻しんおたふくかぜ風疹混合ワクチンの接種について」(訴訟記録としては甲A十号証の十四)の「別添四 MMRワクチン被接種者数及びワクチン接種後の無菌性髄膜炎発生状況報告」において、同年十月より実施するMMRに関するモニタリングの対象として統一株も明記されている。
 (二) 平成四年十一月二十七日に開催された公衆衛生審議会伝染病予防部会予防接種委員会(以後、予防接種委員会という)がまとめた意見に「十月以後統一株は使用されていない、今後は自社株で」とある。(ただし、この意見にもとづく「中止」の通知は出されていない。十月とは平成四年十月であり、それ以前は統一株は使用されていたという趣旨。)
 (三) 木村三生夫ら「わが国における自社株および統一株MMRワクチンに関する研究」(臨床とウイルス、二十三巻五号、平成七年十二月)の表五と六に、平成三年十月以後、統一株の使用が継続されていたことの明確なデータが示されている。
 (四) 平成十五年二月二十七日、衆議院予算委員会第五分科会における中川智子議員の質問に対する高原亮治健康局長の答弁に「接種報告が統一株として上がっているものが約二千ほど、私ども調査の結果、判明しております」(平成四年十月以後のこと)とある。
 (五) 平成十五年三月十一日付健感発第〇三一一〇〇一号「MMRワクチンに関する調査結果について」厚生労働省健康局結核感染症課長通知(各都道府県衛生主管部(局)長あて)において、「十一道府県に当時の資料が保管されており、それらの資料によれば、平成四年十月から平成五年四月にかけて、十道府県において、期限切れMMRワクチンが合計二千百四十二人に対して使用されていたと、厚生省(当時)に平成五年の時点で報告されていたことが判明した。」とし、同省が期限切れ統一株ワクチン使用の事実を認めている。
三 同ファクトシートの十二ページ、十五〜十九行目の記述が、原案のままであるか否か、また原案から公表までに修正された経緯があるか否か。あればその経過と修正理由等を国立感染研の執筆関係者より聞き取りの上説明されたい。
四 以下に、この記述の正否の確認、訂正が必要な理由を述べるので、それに対する政府の見解を示されたい。
 (一) 平成三年に自社株を導入したことは、髄膜炎を多発させ続けていた統一株にかわりうるワクチンを見出すために、統一株が「最良の組合せ」とされていたなか、最良とは言えない自社株であるにもかかわらず、それにかすかな期待をかけたものと考えられる。接種を受ける側である国民からすれば、自社株導入に際し統一株は中止することが自然なことと思われるのであり、厚生省が中止したか、継続したかはきわめて重要な問題である。
 (二) 継続使用したにもかかわらず、「中止した」と書くことは、ファクトシート公表段階で関係者、厚生労働省に統一株継続使用の事実を隠ぺいする意図があったことを示すことになる。
 (三) 前回の質問(平成二十四年六月十九日提出、質問第三〇九号「MMRワクチン薬害事件における国の責任及び予防接種法の目的に関する質問主意書」)において指摘したが、秘密裏に開催された平成三年三月二十五日の予防接種委員会までに統一株の髄膜炎発症率が七百十三人に一人となったことが判明し、席上、厚生省はそれを公表しないことを言明し、統一株を継続するにふさわしい根拠や訴訟を想定した上でその反論について、委員に議論させている。このことは、継続使用の事実を隠蔽する「中止し」とファクトシートに記述することに通じるものである。
五 前項までの質問に述べたとおり、ファクトシートの「統一株MMRワクチンの使用を中止し」の記述は明らかに誤りであり、本事件の検証が不十分であることの証しであり、また、その記述は国の責任回避のための事実の隠ぺいとも理解されうるため、正否の検証は極めて重要である。ただちに訂正の上、訂正の経過、理由等とあわせて公表すべきであるが政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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