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平成二十四年十月二十九日提出
質問第四号

隣接法律専門職種の訴訟代理権に関する質問主意書

提出者  秋葉賢也




隣接法律専門職種の訴訟代理権に関する質問主意書


 司法制度改革の一環として、司法書士など隣接法律専門職種については、一定の範囲での訴訟代理権が付与されたほか、裁判外紛争解決手続の利用を促進するための関連法制の整備もなされ、社会保険労務士や土地家屋調査士には裁判外紛争解決手続における代理業務を行うことも可能とされた。これらの隣接法律専門職種に関しては、その専門的知見が十分に活用されることにより、迅速な紛争解決を図るための国民に身近な法律家としての役割も期待されており、訴訟代理権の拡充が一つの方策であると思われる。
 司法書士については、簡易裁判所における事物管轄が訴額百四十万円以下であれば訴訟代理人になれるとされている。しかし、司法書士が訴訟代理を引き受けた事件が、当初は訴額百四十万円以下と見込まれたものが、事件処理を進める過程において百四十万円を超えることとなった場合、司法書士は訴訟代理を行うことはできず、依頼人は新たに弁護士に再依頼することになる。また、司法書士の行った事件の判決に対し相手方が上訴した場合についても、司法書士は当該事件の控訴審について代理権はない。依頼者にすれば、依頼した事案についての最終的な解決までを望むことは当然であり、右のような途中で依頼業務を投げ出されるような制度はそもそも制度自体に問題があり、隣接法律専門職種の活用を目的とした司法制度改革の趣旨にも反するものと思われる。以上を踏まえ、以下質問する。

一 政府は、平成二十二年八月二十日付け内閣衆質一七五第四九号答弁書において、「新たに認められた業務についての司法書士の実績をなお見極めつつ、その必要性の有無を含め、国民の権利擁護及び利便性の観点から慎重に検討する必要があると考える。」と答弁しているが、司法書士による訴訟代理制度の導入から十年が経過し、司法書士による訴訟代理の事件はある程度蓄積されたと思われる。しかし、司法書士については、認定司法書士が訴訟目的となる物の価額が百四十万円を超えない請求事件(少額事件)に代理権は限られ、また、少額事件であっても上訴審の提起、再審、強制執行について代理はできず、その代理権の範囲は非常に制限されている。依頼人の利便性に鑑みて、こうした制限は緩和すべきと考えるが政府の見解如何。
二 一と同様に、認定土地家屋調査士については、土地の筆界が明らかでないことを原因とする民事紛争に係る民間紛争解決手続であって弁護士との共同受任を条件に非常に限定的な訴訟代理権が付与されており、他方、社会保険労務士については、特定社会保険労務士について裁判外紛争解決手続への代理権は認められながら訴訟代理権は認められていない。
 依頼者の利便性と紛争解決の効率性から、隣接法律専門職種に対する訴訟代理権の制限を緩和すべきと考えるが、政府の見解如何。

 右質問する。



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