質問本文情報
平成二十七年二月五日提出質問第四三号
高度プロフェッショナル労働制(残業代ゼロ制度)の創設に関する質問主意書
提出者 山井和則
高度プロフェッショナル労働制(残業代ゼロ制度)の創設に関する質問主意書
労働政策審議会労働条件分科会で、高度プロフェッショナル労働制(残業代ゼロ制度)の検討が進められています。
そこで、以下のとおり質問します。
二 骨子案にある「高度プロフェッショナル労働制」と過去に議論があった「ホワイトカラー・エグゼンプション」は、どのように異なりますか。
三 骨子案では、「企画業務」が「高度プロフェッショナル労働制」の対象とされていますが、例えば、ある会社で、年収手取り千七十五万円以上、役職は課長補佐、企画業務に携わっている労働者の場合は、「高度プロフェッショナル労働制」の対象になり得ますか。
四 ある会社が、企画業務に携わっているという理由で、年収手取り千七十五万円以上の全ての課長補佐を、本人の同意を得た上で、「高度プロフェッショナル労働制」の対象とすることはあり得ますか。
五 骨子案では、「研究開発」が「高度プロフェッショナル労働制」の対象とされているが、例えば、ある会社で、年収手取り千七十五万円以上、非管理監督者、研究業務に携わっている労働者の場合は、骨子案にある「高度プロフェッショナル労働制」の対象になり得ますか。
六 ある会社が、年収手取り千七十五万円以上の全ての研究者を、本人の同意を得た上で、「高度プロフェッショナル労働制」の対象とすることはあり得ますか。
七 もし、三、四、五、六の可能性が排除されないならば、「高度プロフェッショナル労働制」とは、名ばかりであり、いくらでも拡大解釈で、年収要件さえ満たせば、ほとんどの業務が対象になり得るのではないですか。
八 骨子案にある「高度プロフェッショナル労働制」の適用を受けることについての同意書に、不本意ながら署名せざるを得なくて署名した労働者についても、「高度プロフェッショナル労働制」の対象になりますか。
九 八に関連して、雇用主が対象となる労働者に、同意を強要した場合、何らかの罰則はありますか。また、対象となる労働者が同意しなかった場合、雇用主から当該労働者が何らかの不利益を受けないような担保はありますか。もし、当該労働者が不利益を受けた場合、雇用主に対してどのような罰則がありますか。
十 骨子案にある「高度プロフェッショナル労働制」について、四週間を通じ四日以上の休日を与えることとされていますが、三日しか休日を与えなかった場合は、罰則の適用がありますか。
十一 安倍総理は「『長時間労働を強いられる』あるいは『残業代がなくなって賃金が下がる』といった誤解もありますが、そのようなことは、絶対にあってはならない」と発言しているが、「高度プロフェッショナル労働制」の適用を受けた結果、賃金が下がることは絶対にありませんか。また、労働時間が長くなることは絶対に起こらないと言えますか。
十二 安倍総理が「『長時間労働を強いられる』あるいは『残業代がなくなって賃金が下がる』といった誤解もありますが、そのようなことは、絶対にあってはならない」と約束したにもかかわらず、賃下げや、労働時間が長くなることが生じた場合、雇用主に何らかの罰則が適用されますか。
十三 安倍総理の「『長時間労働を強いられる』あるいは『残業代がなくなって賃金が下がる』といった誤解もありますが、そのようなことは、絶対にあってはならない」という約束を担保するために、「高度プロフェッショナル労働制」を適用した一か月後に、労働時間や賃金を検証する仕組みを設けるべきではないですか。
十四 年収が千七十五万円以上で、かつ管理職ではない労働者は何人で、全労働者の何パーセントですか。そのうち、「高度プロフェッショナル労働制」の対象となり得る労働者は、およそ何人で、全労働者の何パーセントと推測されますか。
十五 「高度プロフェッショナル労働制」は、年収千七十五万円以上が対象と言われていますが、法制上は、平均給与額の三倍を相当程度上回ることと規定されると言われていますが、これを、年収一千万円や九百万円に引き下げるには、法改正は必要となりますか、それとも不要ですか。
十六 例えば、現在の年収が千二百万円の人が、「高度プロフェッショナル労働制」の適用を受け、年収千七十五万円で協定することはあり得ますか。また、現在の年収が千七十五万円以上の人が、「高度プロフェッショナル労働制」の適用を受け、千七十五万円未満の年収で協定することはあり得ますか。
右質問する。