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平成二十七年二月十三日提出質問第七〇号
国際海峡に関する質問主意書
提出者 緒方林太郎
国際海峡に関する質問主意書
国連海洋法条約において、領海は十二海里まで認められることになっている。しかし、我が国は宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道、対馬海峡西水道及び大隅海峡を領海法附則において、領海の主張を三海里に留める特定海域としている。
また、これら五海峡は、国連海洋法条約上は国際海峡と位置付けることが出来るものであるが、これに関する政府の立場として「現在までのところ各国の実行の集積が十分でないという点がございまして、この制度につきましては不確定な面がありまして、そのような観点からも、現行の自由な通航を維持するということが適当だというふうに考えている次第でございます。(平成八年五月十五日 衆議院運輸委員会外務省政府委員答弁)」というものがある。
これを踏まえ、以下のとおり質問する。
二 これら五海峡には公海部分が存在しており、当該部分は日本の主権が及んでいないとの理解でよいか。
三 現在においても、国連海洋法条約における国際海峡の制度については各国の実行の集積が十分でないと考えるか。十分でないと考える場合、今後、どの程度の集積が行われることが必要と考えているか。
四 国連海洋法条約の中で、第十一部の深海底に関する部分を除き、各国の実行の集積が不十分な部分を具体的に提示ありたい。
五 現在、国際海峡を主張することができる海峡において、自発的に沿岸国が領海の主張を控える、あるいは国際海峡としていないケースをすべて列挙ありたい。
六 対馬海峡西水道では対岸の韓国は何海里の領海を主張しており、宗谷海峡では対岸のロシアは何海里の領海を主張しているか。
七 宗谷海峡における、日本とロシアの主張の非対称性(日本の領海とロシアの領海の主張に違いがあること)について、政府としてどう考えているか。
八 領海法においては、特定海域について「当分の間」との規定があるが、昭和五十二年(領海法制定時)から三十年以上経過している現在も「当分の間」は継続していると考えているのか。「当分の間」の長さに関する判断基準も含め、答弁ありたい。
九 我が国は、核搭載艦の領海内通航は、国連海洋法条約でいうところの「無害」ではなく、かつ非核三原則との関係で認めないという立場と承知している。領海法上の特定海域の制度は、米軍の核搭載艦が日本海に国内法や国是との関係で問題なく入ることができるための配慮であるとの見方もあるが、政府の見解如何。
十 現在、日本の領海を通過する米軍艦船には基本的に核兵器が搭載されていないと理解している。これを踏まえれば、領海を制限し続けることには、経済上の利点をも損なう可能性がある。このような特定海域の必要性、合理性はあるのか。
右質問する。