答弁本文情報
平成二十七年二月二十四日受領答弁第七〇号
内閣衆質一八九第七〇号
平成二十七年二月二十四日
衆議院議長 町村信孝 殿
衆議院議員緒方林太郎君提出国際海峡に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員緒方林太郎君提出国際海峡に関する質問に対する答弁書
一、三及び八から十までについて
領海及び接続水域に関する法律(昭和五十二年法律第三十号。以下「領海法」という。)附則第二項に規定する特定海域に係る領海の幅を三海里としているのは、海洋国家及び先進工業国として、国際交通の要衝たる海峡における商船、大型タンカー等の自由な航行を保障することが総合的国益の観点から不可欠であることを踏まえたものである。また、政府としては、海洋法に関する国際連合条約(平成八年条約第六号。以下「国連海洋法条約」という。)が規定する「国際航行に使用されている海峡」における通過通航に関する制度については、当該制度に関する各国の実行の積み重ねが十分でなく不確定な面もあると考えている。御指摘の答弁はこの趣旨を述べたものであり、かかる政府の考えは現時点でも変わりはない。お尋ねの「どの程度の集積が行われることが必要」かについて一概にお答えすることは困難であるが、当該制度がどのような場合にいかなる範囲で適用されるのか、また、当該制度の下で具体的にいかなる形態の通航が許容されるのかを判断する上で各国の実行の十分な積み重ねが必要であると考えている。お尋ねの「現在も「当分の間」は継続していると考えているのか」の趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、こうした考えの下、現時点でも、領海法附則第二項の規定を維持することが適当と考えている。
お尋ねの「公海部分」及び「日本の主権が及んでいない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国の国内法上、特定海域に係る領海は、領海法附則第二項において、「基線からその外側三海里の線及びこれと接続して引かれる線までの海域」であると定められている。
お尋ねの「各国の実行の集積が不十分な部分」の意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。
お尋ねの「国際海峡を主張することができる海峡」、「沿岸国が領海の主張を控える」及び「国際海峡としていない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、外国政府が、海峡において領海の幅を基線からその外側十二海里の線(その線が基線から測定して中間線を超えているときは、その超えている部分については、中間線)まで設定していない例として、政府が把握しているものは、ドイツとデンマークの間のバルト海における海峡、デンマークとスウェーデンの間の海峡及びフィンランドとエストニアの間の海峡に係る各沿岸国の領海並びに我が国と韓国との間の対馬海峡西水道に係る韓国の領海がある。
韓国は、対馬海峡西水道に係る自国の領海の幅について三海里としており、また、ロシアは、宗谷海峡に係る自国の領海の幅について我が国との間の中間線までとしていると承知している。
宗谷海峡に係る我が国及びロシアの領海の幅については、両国が、国連海洋法条約第三条を始めとする国際法に従って、それぞれの国内法により定めたものと考えている。