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平成二十七年六月十日提出
質問第二六四号

基礎的財政収支に関する質問主意書

提出者  福田昭夫




基礎的財政収支に関する質問主意書


 政府が月内に取りまとめる二〇一五年度の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」において基礎的財政収支の赤字を二〇一八年度に対国内総生産(GDP)比で一%程度に縮小する事を盛り込むとの報道がある。この方針は、内閣府の試算(予測)をベースに考えられているようであるが、この予測はあまりにも現実とかけ離れている。名目GDPと基礎的財政収支の甘すぎる予測と実績は、各年度の「経済財政の中長期試算」をつぶさに検証すれば、現実離れしている事は明らかである。
 これに関連して質問する。

一 日本経済はデフレから完全に脱却したのか。
二 基礎的財政収支は、その対GDP比の推移を見れば明らかなように、景気が良くなれば改善し、景気が悪くなれば悪化する。つまり基礎的財政収支を改善したいなら、思い切った景気対策を行いデフレ脱却し景気回復をさせるしかない。これにより一時的に基礎的財政収支は悪化するものの、経済が拡大軌道に乗れば、税収も増え基礎的財政収支は改善すると考えるが同意するか。
三 骨太方針二〇〇六では二〇一一年度に基礎的財政収支を黒字化する事を目標に掲げた。現実には基礎的財政収支は対GDP比でマイナス六.九%にまで大幅に悪化したから、この試みは完璧に失敗した。想定外のリーマンショックが原因で失敗したとの見解かも知れないが、世界経済はいつ不況に襲われるか誰にも分からない。デフレが続いていた当時、歳出削減で景気にブレーキをかけていたためにリーマンショックに耐えられず大きく傷口を広げてしまった。結果としてその後大規模な景気対策を強いられ基礎的財政収支を大幅に悪化させる結果となった。この大規模な景気対策を二〇〇六年に行っていたら、デフレ脱却が確実になり、リーマンショックでも景気減速幅は限定的で、基礎的財政収支もそれほど悪化しなかったのではないかと考える。今年の骨太方針も骨太方針二〇〇六と同じ失敗を繰り返す事にならないか。病気は悪化させる前に完治させるべきではないのか。
四 基礎的財政収支の改善はどのようなメリットがあるのか。財政破綻の危機にあるギリシアの基礎的財政収支は黒字である。二〇一四年に基礎的財政収支が黒字の国は百八十二ヶ国中五十三ヶ国にすぎず、景気が良い米国も大幅赤字である。基礎的財政収支が黒字化しても、国債費で国の借金は増え続けるし、名目GDPが減少すれば、国の借金の対GDP比は増加し、将来世代へのツケは増える。将来世代へのツケを減らしたいのであれば、国の借金の対GDP比を減らす事を目標にすべきではないか。
五 アベノミクスの三本の矢のうち第二の矢である「機動的な財政運営」について検討するには、経済財政運営モデルの乗数の計算が不可欠である。内閣府は二〇一〇年度を最後に乗数の値の発表を行っていない。国の借金も大幅に増え、異次元の金融緩和も行われ、為替相場も変化し、経済状況が大きく変化しているわけであるから、一刻も早く最新の乗数の値を発表すべきではないか。因みに二〇一〇年版では、五兆円公共投資を増やせば、公債等残高の対GDP比は一.六五%PT減少し、将来世代へのツケは減るとなっている。国の借金が当時より大幅に増加した現在では、この減少幅は更に拡大したはずである。

 右質問する。



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