答弁本文情報
平成二十七年六月十九日受領答弁第二六四号
内閣衆質一八九第二六四号
平成二十七年六月十九日
衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員福田昭夫君提出基礎的財政収支に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員福田昭夫君提出基礎的財政収支に関する質問に対する答弁書
一について
安倍内閣においては、長引くデフレからの早期脱却と日本経済の再生のため、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」からなる経済政策である「アベノミクス」を一体的に進めてきた。その効果もあり、景気の緩やかな回復基調が続く中で、これまでのところ、デフレ脱却に向けて前進しているが、デフレ脱却にまでは至っていない。
一般論としては、持続的な経済成長は、税収の増加を通じて財政健全化に資することとなる。安倍内閣としては、経済再生と財政健全化の両立を目指しており、成長戦略の実行等を通じて、民需主導の持続的な経済成長を実現していくとともに、財政健全化の取組を進めることとしている。
仮定を前提とした過去の経済財政状況についてお答えすることは差し控えたい。また、お尋ねの「今年の骨太方針」が策定されていない現時点において、「今年の骨太方針も骨太方針二〇〇六と同じ失敗を繰り返す事にならないか」というお尋ねについてお答えすることは困難である。さらに、お尋ねの「病気は悪化させる前に完治させるべきではないのか」の意味するところが必ずしも明らかでないが、安倍内閣としては経済再生と財政健全化の両立に向けて、引き続き取り組んでまいりたい。
基礎的財政収支の改善は、債務残高の増加幅の縮小に資すると考えている。政府としては、財政健全化目標として、国・地方を合わせた基礎的財政収支について、二千十五年度までに二千十年度に比べ赤字の対GDP比を半減させ、二千二十年度までに黒字化し、その後、債務残高対GDP比を安定的に引き下げることを目指すこととしている。一般論としては、経済再生を実現しGDPを拡大することと債務残高を抑制することが債務残高対GDP比の安定的な引下げにつながることになる。したがって、経済再生と財政健全化の両立に向けて、引き続き、基礎的財政収支の黒字化を目指し、その改善に取り組んでまいりたい。
お尋ねの乗数については、「経済財政モデル(二〇一〇年度版)」(平成二十二年八月内閣府公表)において公表したものであるが、リーマンショック、東日本大震災等の影響を受けていない期間のデータが不足していることから、現時点では乗数を算出する基となる方程式の係数の見直しが困難であり、大きな変更は行っていない。
今後、十分なデータの確保が可能となった際には、新たな乗数等の公表を検討してまいりたい。