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平成二十七年七月十七日提出
質問第三三二号

日本の財政は本当に厳しいのかという疑問に関する質問主意書

提出者  福田昭夫




日本の財政は本当に厳しいのかという疑問に関する質問主意書


 政府は、わが国の財政状況は、国・地方の債務残高がGDP(以下債務のGDP比という)の二倍程度に膨らんでいるから極めて厳しいと考えているようである。
 これに関連して質問する。

一 アメリカS&PキャピタルIQが世界七十の国・地域の財政の「破綻確率」とそれに関連したCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を発表している。国債のデフォルトリスクを意識する投資家が増えるほどCDSは増加する。発表されたデータによれば、CDSと債務のGDP比には相関は見られない。日本のCDSは四十三で債務のGDP比は二百四十六%だが、債務のGDP比が僅か三十五%の韓国のCDSは日本より高い五十三である。同様に債務のGDP比が九十%のエジプトもCDSは三百三十である。一方、債務のGDP比が百四%と比較的大きい米国でも、CDSは十六.五にすぎない。このように債務のGDP比が小さいからと言って、財政破綻の確率が低いとは言えないし、債務のGDP比が大きいからと言って、財政破綻の確率が高いとも言えないと思うが同意するか。
二 「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と財務省のホームページにかいてあるがこれは政府の見解か。
三 国債のデフォルトが考えられないのであれば、国債を増発し減税とか財政支出の拡大が可能なのではないか。
四 財政が厳しいという意味は、国がこれ以上借金をするのが難しいという意味であり、それなら貸し手は高い金利を要求するはずである。しかし、現在十年物の国債は〇.四%台と異常なほどの低金利であり、短期金利はマイナスになることさえある。マイナス金利という事は金利を払ってでも貸したい貸し手がいるということである。むしろ市場では国債の品不足が深刻化している。金融取引を正常化・円滑化するには、国は国債の品不足を解消する義務があり、政府はもっと多く国債を発行すべきではないか。こういう状況を考えると財政は厳しいどころか、たっぷり余裕があるのではないか。
五 ブルームバーグの七月七日の記事によると「国際通貨基金への債務返済が六月末に滞り事実上のデフォルトに陥ったギリシャについて甘利明経済再生相は、増税と歳出減では財政再建ができない証しだとして経済成長による税収増の重要性を示した」とのことである。これは政府見解か。
六 政府は基礎的財政収支の黒字化を達成する事を目標としている。ギリシャは緊縮財政を続け、経済を縮小させ基礎的財政収支を黒字化した。政府は日本をギリシャのようにしたいのか。
七 「プライマリーバランス目標は債務のGDP比を悪化させている」という自民党総務会長二階俊博氏の論文(二階ペーパー)の主張に同意するか。
八 政府は財政赤字が大きければ国の債務のGDP比も大きいと誤解しているのではないか。
 例えば、財政赤字のGDP比が百八十八ヶ国で最悪はリビアのマイナス四十三.五五%で、債務のGDP比は三十九.三〇%、次はベネズエラで財政赤字のGDP比はマイナス十四.七七%、債務のGDP比は四十五.六二%、その次はエジプトで財政赤字のGDP比はマイナス十三.四〇%、債務のGDP比は九十.四七%に過ぎない。
 このことから、財政赤字が大きければ、国の債務のGDP比は大きくなるというのは間違いだと認めるか。
九 政府は財政赤字が大きい限り、国の債務のGDP比は増え続けると誤解しているのではないか。
 例えばベネズエラは大きな財政赤字が続いているのに債務のGDP比は大きな増加はない。財政赤字のGDP比の二〇一〇年から二〇一五年までの値(%)はマイナス十.三六、マイナス十一.五九、マイナス十六.四八、マイナス十四.五八、マイナス十四.七七、マイナス十九.九二であり、それに対する債務のGDP比(%)はそれぞれ三十六.三〇、四十三.三一、四十五.九七、五十五.三八、四十五.六二、三十九.六四である。つまり、財政赤字のGDP比はマイナス十%からマイナス二十%という大幅であるにもかかわらず、債務のGDP比は三十六%から五十五%の間に留まっている。
 エジプトも二〇〇二年から二〇一五年の十四年間、財政赤字のGDP比は平均でマイナス十%という大幅な赤字が続いたにもかかわらず、債務のGDP比は七十%から百三%の範囲にとどまっている。ただし、二〇一五年はIMFの予測を使った。
 このことから、大きな財政赤字が続いても、通常は国の債務のGDP比は増大し続けるということではないことを認めるか。

 右質問する。



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