質問本文情報
平成二十八年二月八日提出質問第一一九号
元首相補佐官の辺野古の海の砂地等発言に関する再質問主意書
元首相補佐官の辺野古の海の砂地等発言に関する再質問主意書
元首相補佐官の辺野古の海の砂地等発言に関しては、一月十八日付け質問主意書第五六号で質問を行い、一月二十六日付けで答弁を得たところである。
その際行った質問二で「ジュゴンは辺野古の海を餌場として利用していることが報告されているが、政府の認識はどうか」と質問したところ、政府は「辺野古の海の範囲が必ずしも明らかでない」、「環境省が平成十三年度から平成十七年度までにかけて実施した「ジュゴンと藻場の広域的調査」において、辺野古地先の海草藻場では、平成十四年度にジュゴンの食み跡が確認されている」、「防衛省沖縄防衛局が平成二十四年十二月二十七日から公告し、縦覧に供した「普天間飛行場代替施設建設事業に係る環境影響評価書」においては、辺野古地先の海草藻場について、平成十六年度から平成二十三年度までの間、明瞭なジュゴンの食み跡が確認されていない」と答弁した。
これらの答弁はいずれも事実に反し、またははぐらかそうとし、さらには質問の眼目である「認識の有無」について全く答えようとしていないため、議員の質問権を否定することになりかねないものである。
さらに、質問三で「岡本氏の発言を不適切な発言として、公式に訂正するとともに、市民や自然保護関係者、政府関係者に説明すべきではないか」と質問したところ、政府は「米国で開かれた在米日本大使館と日米のシンクタンクの共催によるシンポジウムは、日米安全保障体制及びこれに関する諸課題について自由な意見交換を行うことを目的としており、今後の自由な意見交換に支障を来すおそれがあることから、発言の逐一についてお答えすることは差し控えたい」と答弁した。
この答弁は、不適切な発言の是正と自由闊達な意見交換の確保を恣意的に混同したものであり、到底看過することはできないものである。
そこで再度お尋ねする。
このため、あえて本職が当初質問した「辺野古の海」に敷衍するならば、「辺野古の海」とは、辺野古新基地建設(埋立工事等)により影響を被ることが予想されるキャンプ・シュワブ沿岸域(宜野座村含む)、臨時制限水域の内外、大浦湾等いわゆる生物学的及び水利的に不離一体の海域として捉えるべき海域のことである。
この「辺野古の海」において、「ハマサンゴ属等のサンゴ類のほか、魚類、貝類、藻類等の生息及び生育が確認」されていることは、今回の政府答弁からも明らかにされているが、特に「生息及び生育」に言及したことは高く評価されるべきものである。
なぜならば、この「生息及び生育」の意味は、生物学的には極めて重要な機能であり、これを認めたことはとりもなおさず政府が「辺野古の海」の保護の必要性を認めたことに他ならない。
そうであるならば、「辺野古の海」は、豊かな再生産能力があり生物多様性に富む海域であって、保全すべき海域として位置付けるべきであると思われるが、政府の認識はどうか。改めて問う。
二 政府は「平成十四年度はジュゴンの食み跡が確認されているが、平成十六年度から平成二十三年度までの間、明瞭なジュゴンの食み跡が確認されていない」と答弁した。
それはあたかも「もうジュゴンは辺野古の海を餌場として利用していない」ということを強調したいがための方便であることが透けて見える。
しかも平成二十一年、平成二十三年及び平成二十六年に沖縄防衛局や民間の自然保護団体等が実施した調査等では、それぞれジュゴンの食み跡が確認されていることからして、極めて不自然な内容と対応である。それでは、なぜ政府は公表されている事実を敢えて伏せて、今回答弁しないようにしているのか。説明を求める。
三 沖縄防衛局は、事後調査として毎年、「シュワブ水域生物等調査」を実施している。この調査結果はこれまで、調査を行った年の翌年の五月に公表・開示していたものであるが、平成二十六年分についてはこれまで要求があったのにも関わらず、一切公表していない。政府はこの調査結果を直ちに公表すべきではないか。
四 政府があくまでも「辺野古の海にジュゴンの食み跡が確認されていない」と強弁するならば、民間の自然保護団体が申請している臨時制限水域内やシュワブ大浦湾内等での科学的調査を直ちに認めて、継続的かつ広範囲な調査を行わせて、その調査結果を比較・検討して「辺野古の海にジュゴンの食み跡があるか否か」を判断すべきではないか。
五 沖縄防衛局が事後調査として毎年実施している「シュワブ水域生物等調査」や環境省が実施している「ジュゴンの生息調査地点」にシュワブ大浦湾等「辺野古の海」が含まれていない理由は何か。
六 政府は、岡本氏の誤った発言を不適切な発言として公式に訂正することに対して、「自由な意見交換に支障を来すおそれがあることから、発言の逐一についてお答えすることは差し控えたい」と答弁した。この答弁は、一見民主主義における言論の自由を標榜し守ることを述べているかのように見受けられる。しかし、政府関係者が不適切な発言を公式な場で行ったのであれば、政府は当然、直ちに是正すべきであって、それが自由闊達な意見交換に支障を来すとか、雰囲気を壊すことを懸念すべきものではない。
政府が当然行うべきことを様々な理由を挙げて実施しないことは、恣意的に民主主義を捻じ曲げ、言論の自由と混同させようとするものであると思われるが、政府の認識はどうか。
七 自然環境保全法では、第二条で国等の責務として「自然環境の適正な保全が図られるように、それぞれの立場で努める」ことが謳われている。また同法第四条で「おおむね五年ごとに自然環境の保全のために講ずべき施策の策定に必要な基礎調査を行う」ことになっている。それでは、政府は「辺野古の海」において、これまで同法に基づく五年ごとの基礎調査をどのように行い、その結果はどうか、その基礎調査結果に基づきどのような施策で自然環境の適正な保全を講じてきたのか、明らかにせよ。
右質問する。