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平成二十八年八月一日提出
質問第二号

日米両政府が鳴り物入りで発表した米軍属の範囲見直しの欺瞞性に関する質問主意書

提出者  仲里利信




日米両政府が鳴り物入りで発表した米軍属の範囲見直しの欺瞞性に関する質問主意書


 去る七月五日、元米海兵隊員で軍属による女性強姦・殺人・死体遺棄事件を受け、日米両政府は軍属の範囲を明確にし、一定の要件の米国人を軍属から除外するための仕組みを調整することで合意したと発表した。今回の合意内容に対して政府は、凶悪犯罪を防ぐ観点から始まったものであり、「運用改善にとどまらない一歩進んだ措置」としてその成果を鳴り物入りでアピールする。
 しかし、沖縄県民にとっては要求した内容が全く反映されず、日米両政府が合意内容を盾に責任放棄する可能性が懸念されることから、被害者への損害賠償の面からは逆に後退しているのではないかという厳しい指摘や、単なるパフォーマンスに過ぎないとの批判が根強くあり、沖縄県民は政府に対する不信や憤りを募らせている。
 これらを踏まえて、以下お尋ねする。

一 政府は、在日米軍及び在沖米軍の軍人・軍属の数を把握しているのか、それとも把握していないのか、把握していないのであればその理由はいかなるものか、について政府の承知するところを明らかにされたい。
二 質問一に関連して、米国政府がこれまで軍人・軍属の数を公表しなかったことや、日本政府がこれを明らかにすることを求めてこなかったこと、について政府の承知するところを明らかにされたい。
三 質問一及び二に関連して、在日米軍及び在沖米軍の軍人・軍属の数を把握・公表することの必要性に対する政府の見解を答えられたい。
四 今回の日米協議で合意された「米軍属の範囲見直し」により除外される在日米軍及び在沖米軍内での軍属は何名か、その職種はどのようなものか、勤務場所はどこか、見直しにより解決される問題は何か、得られる効果・成果は何か、軍属の範囲は縮小されるのか、それとも現状通りか、若しくは逆に広がるのか、なぜ軍属の範囲を狭めることが凶悪事件の再発防止に繋がるのか、について政府の承知するところを明らかにされたい。
五 質問四に関連して、「米軍属の範囲見直し」による再発防止の効果並びに米軍人に対する特権の見直しにまで踏み込まなかった理由に対する政府の見解を答えられたい。
六 そもそも今回の見直しの発端は、沖縄県うるま市の女性の強姦・殺人・死体遺棄事件であり、沖縄県民や国民が強く求めたことは@身柄の引き渡しの問題とA被害者への適正な補償問題の根本的な解決であり、米軍人を従来通りとして軍属を日米地位協定の対象から切り離すだけの付け焼刃的な対症療法ではなく、米軍人・軍属に与えられている全ての法的特権をなくし、我が国の法律や補償制度を厳密に適用することにあったのである。そして、そのための大きな壁となっている日米地位協定の抜本的見直しを求めたのである。このことは島尻安伊子沖縄担当特命大臣ですら求めていたことである。
 そのような全ての沖縄県民が強く抱いている思いを承知しながら、なぜ政府は真摯に応えようとせず、このような子供だましに過ぎない「米軍属の範囲見直し」という対策をまがまがしく成果とするのかということについて、政府の承知するところを明らかにされたい。
七 質問六に関連して、今回、沖縄県民が求めた「日米地位協定の抜本的な見直し」に対して政府が踏み込まなかったことに対する政府の見解を答えられたい。
八 米軍人や軍属による事件・事故に伴う被害者への損害賠償については、公務内であろうが公務外であろうが、これまで適正な補償が行われてこなかった。かろうじて一部公務外の事件で米政府が賠償を担う制度があるが、これとて雀の涙ほどの補償額であり、被害者の救済には程遠い状況である。
 ましてや今回の合意では、その対象からも外され、米軍・米国政府の責任放棄に繋がりかねず、その結果、被害者の救済が一段と厳しく遠のく事態が懸念されるところであるが、これらのことについて政府の承知するところを明らかにされたい。
九 質問八に関連して、米軍人や軍属による事件・事故に伴う被害者の救済に対しては、日米両政府が責任を持って対処すべきであることに対する政府の見解を答えられたい。
十 沖縄県の地元紙は、沖縄県うるま市の女性強姦・殺人・死体遺棄事件の元海兵隊員で軍属の容疑者に対して、米国防総省のデービス報道部長は五月二十五日に「(もともと容疑者は)日米地位協定上の資格を与えられるべきではなかった」との発言があったと報道した。
 翻って今回の軍属範囲の見直しの発端となった事件の容疑者を顧みると、なぜ同容疑者が「軍属」となり、かつ、日米地位協定で保護される「特別な地位を有する者」の指定を受けたのか、適正な指定であったのか、米軍基地内でどのような業務に携わっていたのか、民間の会社や米軍とどのような契約や雇用関係を結んでいたのか、など多くの疑問や不自然な点が浮かび上がってくる。
 しかし、これらの疑問等に対して日米両政府はこれまで一切明らかにしてこなかったし答えようとはしていない。よって、今回、日米両政府が事件の再発防止のために「軍属の範囲の見直し」を行うというのであるならば、せめてこれらの疑問等に対して政府の承知するところを明らかにされたい。
十一 質問十に関連して、日米地位協定を適用する際の認定の基準がこれまで非常にずさんで、しかも米軍側のさじ加減で行われてきたことに対する批判があることや、日米地位協定そのものに「特権」や「不平等性」があるが故に沖縄県民が強く「日米地位協定の抜本的な見直し」を求めていることに鑑み、これらの批判や求めに対する政府の見解を答えられたい。

 右質問する。



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