質問本文情報
平成二十九年一月三十一日提出質問第四二号
いわゆる共謀罪に関し一般人は含まれないとする菅官房長官の発言内容に関する再質問主意書
提出者 逢坂誠二
いわゆる共謀罪に関し一般人は含まれないとする菅官房長官の発言内容に関する再質問主意書
先般提出した「いわゆる共謀罪に関し一般人は含まれないとする菅官房長官の発言内容に関する質問主意書」(質問第六号)に対する答弁書(内閣衆質一九三第六号。以下「答弁書」という。)の内容に疑義があるので、以下質問する。
二 答弁書では、「法律案については現在検討中であり、その具体的な内容等に係るお尋ねについて、現時点でお答えすることは困難である」と示されたが、平成二十九年一月十七日の官房長官の記者会見での「一般の方が対象になることはあり得ず」という発言と整合性がないのではないか。答弁書のいうように「現時点でお答えすることは困難である」ならば、国民はどのようにして「一般の方が対象になることはあり得ず」と確信を持てばよいのか。また官房長官の当該発言はどのような意図でなされたのか。広く国民に向けられたものではないのか。政府の見解を示されたい。
三 平成二十九年一月二十日の金田法務大臣の閣議後の記者会見でも「国際組織犯罪防止条約、いわゆるTOC条約を締結するための法整備については、その必要性や、同条約に基づいて重大な犯罪の合意を犯罪化したとしても一般の方々が処罰の対象になることはあり得ないことや法整備の必要性について、国民の皆様の十分な御理解を得られるよう努めていく必要があると考えています」と表明されている。官房長官のみならず、法務大臣も同趣旨の発言を行っており、かかる認識は安倍政権の閣僚の、国民に対する共通認識であると思われる。このように様々な機会で広く国民に「一般の方々が処罰の対象になることはあり得ない」との趣旨の発言が行われているにも関わらず、答弁書のいうように「現時点でお答えすることは困難である」との認識を維持するのか。政府の見解を示されたい。
四 平成二十九年一月二十日の金田法務大臣の記者会見では、「法案の具体的な在り方については、現在、最終的な詰めを行っているところですが、ただいま申し上げたような限定をした場合には、処罰の範囲が大幅に限定され、一般の方々が処罰されることはあり得ないことが一層明確となって、かつての「組織的な犯罪の共謀罪」とは全く異なる」と重ねて表明している。わが国は罪刑法定主義に拠っており、日本国憲法第三十一条でも、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない」と規定されている。かかる日本国憲法第三十一条の要請するところによれば、政府高官が「一般の方々が処罰されることはあり得ない」と表明することと、いわゆる共謀罪の対象が具体的にどのような者に及ぶのかを明らかにするのは同時に行われるべきであると思われるが、これに対する政府の見解を示されたい。
五 政府高官が具体的に処罰される者を明示せずに、「一般の方々が処罰されることはあり得ない」と表明することは、日本国憲法第三十一条の要請するところの適正手続きに反するのではないか。仮に政府が反しないと判断しているにしても、速やかに処罰される者を具体的に明示すべきではないか。政府の見解を示されたい。
右質問する。