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平成二十九年二月十三日提出
質問第六四号

沖縄県における日本国憲法の適用開始の時点に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




沖縄県における日本国憲法の適用開始の時点に関する質問主意書


 一九七一年、当時の公選の行政主席である屋良朝苗や沖縄住民の期待に反し、佐藤栄作首相とアメリカのニクソン大統領は、アメリカ軍基地を維持したままの、「七二年・核抜き・本土並み」の返還で合意した。一九七一年六月十七日にワシントンで行われた沖縄返還協定調印を経て、一九七二年五月十五日、沖縄は日本へ復帰した。
 この間、施政権返還を求める最大組織の祖国復帰協議会は、一九六五年、沖縄が日本と切り離された「屈辱の日」にあたる四月二十八日に大会を開き、日本国憲法の適用を正式に要求している。当時の沖縄は、米統治者による布告、布令の軍事法規で支配されていたと承知している。
 このような観点から以下質問する。

一 沖縄において日本国憲法が適用開始となった時点はいつか。見解を示されたい。
二 沖縄県祖国復帰協議会は、一九六九年三月二十二日の第十四回定期総会で、「日本国民である百万沖縄県民は、当然日本国憲法の適用をうけ、憲法によって日本国民としての諸権利が保障されなければならない」、「憲法の完全適用は祖国復帰の実現にとって重要な課題である」と表明しているが、この時点で沖縄では日本国憲法の適用はなかったという認識でよいか。政府の見解を示されたい。
三 沖縄の本土復帰に先立ち、一九七〇年十一月十五日、沖縄住民の国政参加特別措置法に基づき、沖縄の国政参加選挙が行われているが、この時点で沖縄では日本国憲法の適用はなかったという認識でよいか。政府の見解を示されたい。
四 三に関連して、日本国憲法の適用が行われない下で選出された国会議員の地位は、日本国憲法により担保されていなかったのではないか。政府の見解を示されたい。
五 昭和二十年の米国海軍軍政府布告第一号(「ニミッツ布告」という。)により、沖縄には日本政府の行政権が行使されないものの、昭和二十年当事施行されていた法律が、ニミッツ布告でいう「本官の職権行使上其必要を生ぜざる限り居住民の風習並に財産権を尊重し、現行法規の施行を持続」することが指示され、その後復帰までそのまま効力を有することになった。従って、本土では昭和二十二年に改正された民法と戸籍法が沖縄には本土復帰まで適用されず、その間、届出行為の効力をめぐる混乱もあったとされるが、この間、沖縄の方々の戸籍は、ニミッツ布告を根拠とし、日本国憲法の適用を受けなかったという認識でよいか。政府の見解を示されたい。
六 五について、沖縄県に日本国憲法が適用された時点で、遡及的に昭和二十年以後に編製された全ての戸籍に当時の民法や戸籍法が適用されたという認識でよいか。政府の見解を示されたい。
七 復帰前の沖縄の戸籍を見ると、戦後も昭和三十二年一月一日までは大日本帝国憲法下の民法に従い、戸主のもとに戸籍が編製されている。この時点の沖縄では、大日本帝国憲法が適用されていたという認識でよいか。もし大日本帝国憲法が適用されていないとすれば、当時の沖縄ではどのような憲法典あるいは基本法に基づいて行政が行われていたのか。政府の見解を示されたい。
八 七について、当時の沖縄では大日本帝国憲法が適用されていないならば、なぜ大日本帝国憲法の下での民法により戸籍が編製されていたのか。どのような法的根拠に基づくのか。政府の見解を示されたい。
九 本土復帰前の沖縄の方々には、日本国籍が留保されていたと理解しているが、どのような根拠に基づいていたのか。当時、沖縄の方が海外渡航する場合、アメリカ政府発行の身分証明を携帯していたことから、航海途中の立寄り国などで国籍留保に対する扱いが一定せず、無国籍の扱いを受けるおそれがあったと承知している。政府の見解を示されたい。

 右質問する。



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