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平成二十九年三月二十一日提出質問第一四三号
組織犯罪処罰法改正案に関し一般人は含まれないとする菅官房長官の発言内容に関する質問主意書
提出者 逢坂誠二
組織犯罪処罰法改正案に関し一般人は含まれないとする菅官房長官の発言内容に関する質問主意書
平成二十九年一月十七日の記者会見で、菅義偉官房長官は、「共謀罪」の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の第百九十三回国会提出に関して、「一般の方が対象になることはあり得ず、テロの準備行為があって初めて罰することを明確にする」と発言した。
先般提出した「いわゆる共謀罪に関し一般人は含まれないとする菅官房長官の発言内容に関する質問主意書」(質問第六号)に対する答弁書(内閣衆質一九三第六号。以下「答弁書」という。)では、「御指摘の菅内閣官房長官の発言は、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約第五条1(a)(@)に規定する行為を犯罪とする法整備を行うに当たり、テロ組織を含む組織的な犯罪集団と関わりがない方々が処罰の対象とならないことが明確になるよう、法律案の内容について検討中であるという趣旨を述べたものである。もっとも、当該法律案については現在検討中であり、その具体的な内容等に係るお尋ねについて、現時点でお答えすることは困難である」と示された。
三月二十一日、「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が閣議決定されたと承知しているので、以下質問する。
二 組織犯罪処罰法改正案において、一般の方が対象にならないとの根拠を明示されたい。
三 一般の方が対象にならないと明言するからには、そうした規定を組織犯罪処罰法改正案で明確にしたと考えるが、具体的にはどのような規定を設けたのか。政府の見解を示されたい。
四 次に例示するものは、菅官房長官の言うところの「一般の方」に該当するのか。該当する場合にはその理由も示されたい。
あ) 民間企業に勤務する社員が居酒屋等で上司を殺害しようと謀議する場合
い) 国政政党の幹部
う) 労働組合の幹部
え) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律でいうところの暴力団の幹部
お) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律でいうところの暴力団の構成員
か) 国際的な犯罪集団であるマフィアの幹部
き) 国際的な犯罪集団であるマフィアの構成員
く) 国際的な犯罪集団であるマフィアへの日本人の協力者
け) 沖縄で在日米軍基地建設の反対運動を行っている団体の幹部
こ) 沖縄で在日米軍基地建設の反対運動を行っている団体のメンバー
さ) イスラム国の幹部
し) イスラム国の主張に共感し、それに参加しようとする日本人の若者
す) 公安調査庁から監視対象にされている団体の幹部
せ) 公安調査庁から監視対象にされている団体の主張に共感し、それに参加しようとする大学生
そ) 官邸前などで反原発を主張し言論活動を行っている団体の幹部
た) 官邸前などで反原発を主張し言論活動を行っている団体の主張に共感し、それに参加しようとする大学生
ち) 国会前で安全保障法案成立等の反対運動のために言論活動を行っていた団体の幹部
五 右の一から四について、組織犯罪処罰法改正案は既に閣議決定されたため、答弁書でいう「当該法律案については現在検討中であり、その具体的な内容等に係るお尋ねについて、現時点でお答えすることは困難である」という状態にはない。答弁できないものがあるとすれば、菅官房長官の、組織犯罪処罰法改正案に対する発言はどういう意味を持つ発言なのか。政府の見解を示されたい。
右質問する。