質問本文情報
平成二十九年三月二十八日提出質問第一七二号
法務省文書上の組織的犯罪集団の定義に関する再質問主意書
提出者 逢坂誠二
法務省文書上の組織的犯罪集団の定義に関する再質問主意書
先般提出した「法務省文書上の組織的犯罪集団の定義に関する質問主意書」(質問第七七号)に対する答弁書(内閣衆質一九三第七七号。以下「答弁書」という。)では、「法律案については、現在、成案を得るべく検討中であり、「組織的犯罪集団」に係る具体的な要件等について、現時点でお答えすることは困難である」と示された。
三月二十一日、「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が閣議決定されたと承知しているので、以下質問する。
二 「もともと正当な活動を行っていた団体についても、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変した」の「一変」とは、結合の目的が具体的にどのように変化すれば「一変」であるのか。見解を示されたい。
三 「もともと正当な活動を行っていた団体についても、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められる場合」の「認められる」とは、誰が「認められる」と判断するのか。政府の見解を示されたい。
四 「もともと正当な活動を行っていた団体についても、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変」したかどうかを判断するためには、もともと正当に活動を行っていた団体も、その判断の対象として事前かつ継続的に監視していなければ、「一変」したかどうかを判別することはできないと考えるが、政府の見解を示されたい。
五 四について、「一変」したか否かの要件が成立するためには、当該団体が「もともと正当な活動を行っていた」時点から継続的に監視しなければ、「団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体」に「一変」したと判断することはできない。従って、政府が「団体の結合の目的が犯罪を実行することにある」おそれがあると推定する団体の監視あるいは捜査対象を拡大せざるを得ないと考えるが、かかる対象拡大は「正当な活動を行っていた団体」やその構成員に対する政府の干渉、人権侵害を生むおそれはないのか。政府の見解を示されたい。
六 「組織的犯罪集団」と判断するにあたり、「正当な活動を行っていた団体」への干渉あるいは人権侵害の懸念を払しょくするため、政府はどのような方法を担保しているのか。見解を示されたい。
七 「もともと正当な活動を行っていた団体についても、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変した」と認められた後、その団体の構成員が自ら前非を悔悟し、「犯罪を実行すること」を取りやめる合意をした場合でも、その団体は依然として「結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変した」状態のままと認めるのか否か。政府の見解を示されたい。
八 法務省の見解によれば、「もともと正当な活動を行っていた団体についても、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変」した場合、政府が閣議決定したテロ等準備罪の対象になると考える。他方、「一変」しなくても、刑事訴訟法第百九十九条でいう「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる」により、「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」があれば、「もともと正当な活動を行っていた団体」の構成員は逮捕されるという認識でよいか。
九 八に関連して、「一変」しなくても、刑事訴訟法第二百十八条でいう「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる」により、裁判官から令状が発付されれば、「必要があるとき」、「もともと正当な活動を行っていた団体」やその構成員も、「差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証」を受けるという認識でよいか。
右質問する。