質問本文情報
平成二十九年三月三十一日提出質問第一八八号
テロ等準備罪に関わる逮捕の要件が法文上当然明らかであるか否かに関する質問主意書
提出者 逢坂誠二
テロ等準備罪に関わる逮捕の要件が法文上当然明らかであるか否かに関する質問主意書
平成二十九年二月三日、衆議院予算委員会で、金田法務大臣は、テロ等準備罪の法案に関して、「準備行為がなければ逮捕できない。これは、実務上の運用でそういうことにするということなのか、それとも今検討中の法制度の仕組みとしてはっきりとそのように明確にするということなのか」との山尾志桜里議員の質問に対して、「テロ等準備罪につきましては、合意に加えて実行準備行為が行われたときに処罰の対象とすることを検討中であります。実行の準備行為が行われていない段階で逮捕することはできない、そういう考え方でございます」と答弁した。
さらに金田法務大臣は、「逮捕状を請求する際にも、実行準備行為の嫌疑があることを疎明する必要があります。実行準備行為が行われていない場合にはその疎明ができないからということになろうかと思いますが、現在検討中でございます」と答弁したが、これに対し、「実務上の運用の話をされているのか、法文上明確にされるのか」との質問に対して、「準備行為が行われなければ逮捕できないものとして立案することを現在私どもは検討いたしております」と答弁した。
三月二十一日、「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案(「本法案」という。)が閣議決定されたと承知しているので、以下質問する。
二 本法案は、「準備行為が行われなければ逮捕できないものとして立案」された結果、それが法文上当然明らかであるという理解でよいか。
三 二について、その根拠条文を明示されたい。
四 本法案では、「合意に加えて実行準備行為が行われたときに処罰の対象」とし、「実行の準備行為が行われていない段階で逮捕することはできない」ことは、実務上の運用でなされるものではないということで、間違いはないか。
五 本法案では、「実行の準備行為が行われていない段階で逮捕することはできない」ことは、法文上当然明らかであるという理解でよいか。
六 五について、その根拠条文を明示されたい。
七 本法案では、「逮捕状を請求する際にも、実行準備行為の嫌疑があることを疎明する必要があります。実行準備行為が行われていない場合にはその疎明ができない」ために、逮捕状が発給されず、逮捕されないということが法文上当然明らかであるという理解でよいか。
八 七について、その根拠条文を明示されたい。
九 一から八について、法文上当然明らかではないのであれば、「準備行為が行われなければ逮捕できないものとして立案することを現在私どもは検討いたしております」との金田法務大臣の答弁は修正されたという理解でよいか。
十 日本国憲法第三十三条では、「何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない」と規定されるが、テロ等準備罪の逮捕の要件が本法案の条文上で当然明らかではなく、実務上の運用で行われるとすれば、国民の人権を侵害するおそれが排除されない。本法案ではかかる懸念はないということで間違いないか。
右質問する。