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平成二十九年五月八日提出
質問第二八三号

サイバー攻撃による公職選挙の妨害対策に関する質問主意書

提出者  逢坂誠二




サイバー攻撃による公職選挙の妨害対策に関する質問主意書


 五月五日、フランス大統領選の決選投票に出馬したマクロン前経済相の選挙陣営は、「大規模かつ組織的なサイバー攻撃」を受け、電子メールや会計書類など大量の内部文書が外部に流出したことを明らかにした。流出したのは五月五日で、決選投票の直前であった。
 内部文書をインターネット上に投稿したのは「EMリークス」と自称する者で、マクロン陣営から流出した文書の総数は数千件に上ると推定される。EMリークスは、メールやビジネス関連の文書など約十四.五ギガバイトのファイルをインターネット上のテキスト共有サイトに投稿し、これら七万件以上のファイルへのリンクは、米東部時間の五日午後にテキスト共有サイトで公開された(以下、「本事案」という。)。
 マクロン陣営関係者は「民主主義を不安定化させようとするたくらみだ」とのコメントを発表し、ハッキングの実行犯は「混乱と誤報を生み出すため」、偽の文書と本物の文書を混ぜて投稿したとの見方を示した。
 このような事実を踏まえて、以下質問する。

一 本事案のような事例がわが国の公職選挙で行われ、公職選挙の候補者の、公職選挙法第百四十二条の五でいうところの、「ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用」された場合、違法であると考えて良いか。またどのような罪名で処罰されるのか。次の事例ごとに該当法令を明示されたい。
 あ) 日本国内に存在するサーバー上のテキスト共有サイトで公開された場合
 い) 日本国外に存在するサーバー上のテキスト共有サイトで公開された場合
 う) 所在の特定できないサーバー上のテキスト共有サイトで公開された場合
二 公職選挙は「選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われる」ものであり、「もつて民主政治の健全な発達を期することを目的」とするものと承知しているが、本事案のように、投票日直前に、ハッキングの実行犯によって、「混乱と誤報を生み出すため」、偽の文書と本物の文書を混ぜて公開された場合、現行法上、選挙の公正さを維持するためにはどのような回復措置が存在するのか。
三 二に関連して、インターネット上に投票日直前に、「混乱と誤報を生み出すため」、偽の文書と本物の文書を混ぜて公開され、有権者の判断に深刻な障害が生じた場合、その投票結果が無効になることはあるのか。あるとすれば、その根拠法令も示されたい。
四 インターネット上に投票日直前に、「混乱と誤報を生み出すため」、偽の文書と本物の文書を混ぜて公開され、有権者の判断に深刻な障害が生じた場合、公職選挙法以外に、当該事案を処罰する法令は存在するのか。
五 本事案のように、投票日直前に、ハッキングの実行犯によって、「混乱と誤報を生み出すため」、偽の文書と本物の文書を混ぜて公開された場合、情報の拡散防止、かつ、投票結果に影響が生じないように極めて短い時間での対応が欠かせない。現行法上、当該文書が公開されているサーバーの停止、あるいは当該情報の削除を迅速に行うことのできる強制的な手続きは存在するのか。
六 五に関連して、現行法上、当該文書が公開されているサーバーから異なるサーバーやネット掲示板、SNS上に当該情報がコピー、移動した場合、この情報を迅速に削除、訂正する手続きは存在するのか。
七 公職選挙法第百四十二条の五では、「選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、その者の電子メールアドレス等が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならない」と規定されるが、ハッキングの実行犯にとっては、「電子メールアドレス等」の表示など意味のないものと思われる。政府は、本事案のようなハッキング被害を防止するためにはどのような対策を講じるべきと考えるのか。
八 現在、インターネット上の情報は地球規模で移動しており、極めて短い時間でコピー、加筆されていく。「混乱と誤報を生み出すため」、偽の文書と本物の文書を混ぜて公開された場合、さらに尾鰭が付き拡散されていく。公職選挙は「選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われる」もので、「民主政治の健全な発達を期することを目的」としているが、虚偽の情報で有権者の判断に誤りが生じることを完全に防止することはもはや不可能に近く、現行法令が現実社会の出来事に対処できていないと思われる。政府は、サイバー攻撃による公職選挙の妨害対策にどのように取り組むべきと考えているのか。見解を示されたい。

 右質問する。



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