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平成二十九年五月八日提出質問第二八四号
現行憲法上の自衛隊の位置付けに関する質問主意書
提出者 逢坂誠二
現行憲法上の自衛隊の位置付けに関する質問主意書
平成二十九年五月三日に開催された第十九回公開憲法フォーラムに向けて、安倍晋三氏は、「例えば、憲法九条です。今日、災害救助を含め、命がけで二十四時間、三百六十五日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く。その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は九割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が、いまなお存在しています。「自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば命を張って守ってくれ」というのは、あまりにも無責任です。私は、少なくとも私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、「自衛隊が違憲かもしれない」などの議論が生まれる余地をなくすべきであると考えます」との内容を含むメッセージを送った。
当該部分の解釈に関して政府の見解を確認したいので、以下質問する。
二 政府は自衛隊に関する憲法学者の議論、学説は、法的拘束力を持たない解釈であり、法的拘束力を持つ有権解釈とは別のものと考えているのか。
三 政府が憲法学者の見解を有権解釈であると考えていないとすれば、現行憲法上、自衛隊の位置付けを政府として改めて行う必要はないという理解で良いか。
四 「自衛隊が違憲かもしれない」という認識は政府内では排除されているという理解で良いか。
五 四に関連して、政府内で「自衛隊が違憲かもしれない」という認識が排除されているとすれば、現行憲法上、自衛隊の位置付けを改めて行う必要はないという理解で良いか。
六 日本国憲法第八十一条では、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」と示されている。最高裁判所が自衛隊は違憲であるとの判断を行っていない以上、憲法上、自衛隊の位置付けに問題はないという理解で良いか。
七 六に関連して、政府は、日本国憲法第九十九条でいう憲法尊重擁護義務に従い、「多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が、いまなお存在してい」たとしても、現行憲法を遵守すべきであり、改めて自衛隊の位置付けを行う必要はないという理解で良いか。
八 政府が、自衛隊は合憲であるとの有権解釈を変更していない中で、内閣総理大臣でもある自民党総裁が「自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、「自衛隊が違憲かもしれない」などの議論が生まれる余地をなくすべきである」と主張することは、学問研究への萎縮効果をもたらし、ひいては日本国憲法第二十三条で憲法学者らに保障される学問の自由を侵害するのではないか。
右質問する。