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令和元年六月十八日提出
質問第二五四号

象牙の違法輸出に関する再質問主意書

提出者  早稲田夕季




象牙の違法輸出に関する再質問主意書


 六月十四日に受け取った答弁書に対して、以下再質問する。

一 先の答弁書の一において、国際条約の委員会に提出する報告書については、行政手続法の規定に基づく意見公募手続きを実施する必要がある場合には該当しないとの答弁であったが、行政手続法の対象ではない場合でも、行政の任意の判断によりパブリックコメントを行った事例はあると承知しているが、いかがか。
二 そのような事例を承知しているのであれば、なぜ今回は行政の任意の判断によりパブリックコメントを行わず、科学的知見や国民の意見を広く公募しないのか、その理由をあきらかにされたい。
三 先の質問主意書の問一にある決議一〇・一〇の履行状況に関する報告に関連しては、「適正な象牙取引の推進に関する官民協議会」参加機関のうち唯一の民間団体が日本の市場の現状は同決議で閉鎖を勧告する市場に該当するとの見解を第五回会合において報告しているほか、ワシントン条約第六十九回常設委員会および、第十八回締約国会議の議題においてもケニア等によって日本の国内市場の問題が名指しで指摘されるなど国内外で議論を呼んでいることは承知のとおりである。このように日本が国際条約に取り組む姿勢を問われるような議題においては、経済、環境および社会的に均衡の取れた対応を十分に検討することが真に国益に資すると考えるが、今後、ワシントン条約に関する政府対応においては、広く市民社会、専門家および一般市民からも意見聴取を行うべきではないか。
四 先の質問主意書の問二は、日本から中国に輸出され押収された象牙が違法取引にあたると認識しているかを問うものであったが、中国当局が押収した象牙については「事実関係について、政府として確認する立場にないため、お答えすることは困難である」との答弁のみであり、違法取引として認識しているかどうかについて答弁はなかった。しかしとりわけ中国に向けた日本からの違法な輸出の存在は、二〇一七年十一月に東京港で象牙を違法に国外に持ち出そうとした中国籍の船員が逮捕された事例からもあきらかであり、政府自身もこうした動向への対処として中国当局との連携強化について先の質問主意書の問一で指摘した委員会への報告書でも言及していることを踏まえれば、連携先の中国当局の押収量についても把握しているのが当然なのではないか。中国当局が押収した象牙について違法取引にあたるかどうか回答できないということであれば、日本政府が把握し、ワシントン条約上の報告義務に基づき条約事務局に報告した二〇一一年以降の輸出段階での押収(中国向けに限らない)の実績の有無をあきらかにされたい。有る場合には、その押収量についてあきらかにするとともに、これは決議一〇・一〇のRegarding trade in elephant specimensの3.にあるpoaching or illegal tradeのうちの後者、illegal tradeつまり「違法取引」にあたると政府は認識しているかどうか、あきらかにされたい。
五 先の質問主意書の問三は、全形牙以外の製品の取引を含むインターネット上の取引への対策に関するものであったが、答弁にある該当条文は、全形牙の取引にかかる規制と事業者に対する規制のみであり、全形牙以外の象牙製品を非事業者が取引する行為は規制の対象となっていない。インターネットオークションでは、実際の氏名・名称、住所等を特定しない匿名性の高い取引が可能となっていることを踏まえると、この規制内容は不十分と考える。
五の一 事業者の規制においては、事業者登録番号等の表示を義務付ける等の規制がなされているとのことだが、個人情報が秘匿される取引において、登録事業者番号を表示しないで取引を行う者が登録義務の対象にあたるか否かを実際どのように確認しているのか、また、インターネット上で取引を行う登録事業者の数を把握しているかあきらかにされたい。
五の二 全形牙以外の象牙製品の取引については、非事業者が取引をする場合に規制がされていないことになるが、このような取引がインターネットオークションで活発に行われている。例えば、象牙市場を閉鎖していないEUでは一九四七年以降に製造された象牙製品の取引に対し、全形牙のみならず製品一点一点に政府の証明の取得を義務付けている。日本でも全形牙以外の象牙製品の取引にも合法性の証明を求める(もしくは全形牙と同様に種の保存法第十二条第一項の規定による譲渡し等が制限される対象に含める)など、より厳格な規制の導入を検討すべきではないか。

 右質問する。



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