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令和元年六月十九日提出質問第二六五号
公立小中学校の国有地利用に関する質問主意書
提出者 早稲田夕季
公立小中学校の国有地利用に関する質問主意書
逗子市は市立逗子中学校の用地として、一九四九年八月一日から現時点まで国有地を借用してきたところであり、池子米軍家族住宅施設建設問題が発生するまでの間、具体的には、一九八四年度を除く一九七三年十月から一九八九年三月まで、無償貸与の期間もあったと承知している。ところがその後国はいきなり年額貸付料千八百八十一万円の請求を市に行い、現在に至っているが、貸付料の積算根拠はこれまで一度も市側にあきらかにされていない。そこで以下質問する。
二 今回の年額貸付料約三百万円の値上げの理由として、関東財務局は「国有財産特別措置法の規定により普通財産の減額譲渡又は減額貸付をする場合の取扱いについて(昭四十八年十二月二十六日蔵理第五七二二号)」という財務省理財局の通知が改正され、別紙三の中学校の適正規模基準の運動場についての項で「財務局長が事業計画及び利用計画等を勘案のうえ、必要と認める面積とする」との文言が削除されたことによるとの趣旨の説明しか逗子市に対して行っていないと承知しているが事実か。この改正は昨年七月二日に行われたものと承知するが、この文言を削除したことのみによって、なぜ約三百万円もの値上げが行われるのか、あきらかにされたい。
三 「国有財産特別措置法の規定により普通財産の減額譲渡又は減額貸付をする場合の取扱いについて」の別紙三の中学校の適正規模基準の運動場についての基準面積は、文部科学省の中学校設置基準を援用している。しかしこれは、そもそも義務教育の質の確保に最低限必要な面積として文部科学省が求めているものであって、少子化で生徒数が漸減傾向である時代に、これを貸付面積の基準面積にすることは不適切と考えるがいかがか。広域避難場所にも指定されるなどの他の機能も鑑みれば、文部科学省の設置基準上の最低面積を貸付面積の基準面積にすることは極めて不適切であり、中学生の健全育成、校庭の利用実態に鑑みた基準面積に変更すべきではないか。
四 有償貸与の場合は、国が当該自治体に固定資産税を支払う代わりに、その相当額の市町村交付金を国が当該自治体に交付することになっているとのことだが、一般的にその相当額は当該自治体と協議の上、決定しているのか、政府の見解をあきらかにされたい。
五 逗子市によると、逗子中学校の例ではその相当額がいくらなのか、協議どころか知らされてもおらず、結果的に市町村交付金として相当額が交付されているかもわからないとのことであるが、逗子中学校用地として有償貸与している国有地の固定資産税見合いの市町村交付金額はいくらなのか、あきらかにされたい。
六 国有地を公立小中学校用地として有償で貸与している例は、逗子市立逗子中学校以外に全国でどのくらいあって、無償で貸与している例はどのくらいあるのか。政府として承知しているところがあれば、あきらかにされたい。
七 これまで逗子市は本件について累計五億八千万円以上の支出を強いられているが、この国有地は市街化調整区域内にあると聞いており、学校施設以外の用途は考えにくい。他方、逗子市財政は二〇一七年の単年度で七億円の赤字となっており、現在財政対策プログラムを実施している。教育や子育てにおける行政予算が大幅に削減され、市民サービスの低下を招いている中、公立学校の国有地利用において、有償貸与を続けることは、市にとってさらなる財政悪化の要因ともなり、これ以上の負担に耐えられないことから、用地の返上或いは支出の停止も考えざるを得ない事態に至っていることを、国として深刻に受け止めるべきと考える。そもそも義務教育の機会を、財政基盤のぜい弱な自治体が今後とも継続して提供できるよう、公立小中学校用地としての国有地の貸与にあたっては、公園用地同様、無償貸与を原則とすべきではないか。
右質問する。