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令和三年十一月十日提出
質問第五号

外国人技能実習生に対する人権侵害に関する質問主意書

提出者  松原 仁




外国人技能実習生に対する人権侵害に関する質問主意書


 アメリカ合衆国(以下「米国」という)が公表した二〇二一年『人身取引報告書』には、日本について、「外国を拠点とした人身取引犯や国内の人身取引犯は、外国人労働者を搾取するために政府が運営する技能実習制度を引き続き悪用した。技能実習制度の下での日本国内の移住労働者の強制労働が依然として報告されたにもかかわらず、またもや当局は、技能実習制度における人身取引事案や被害者を積極的には一件も認知しなかった。技能実習制度において、政府と送り出し国との協力覚書は、借金を理由に技能実習生を強要する主な要因の一つである外国に拠点を持つ労働者募集機関による過剰な金銭徴収を防止する上で効果を発揮しておらず、募集を行う者と雇用主に対して政府は、虐待的な労働慣行と強制労働犯罪の責任を課さなかった。」旨が記載されている。
 その上で、次の項目が優先勧告事項とされている。
「・技能実習制度やその他のビザ付与制度の下で日本にいる人たちや入国者収容施設に収容されている人たちなど、移住労働者の中で強制労働の被害者である人たちの認知、保護支援サービスへの照会など、関係府省庁の標準的な手順を策定し体系化して実施する。・第三者のあっせんを介すことなく商業的な性的搾取を受けた児童、技能実習制度の下での移住労働者、特定技能ビザを含む新たなビザ制度で日本に入国する移住労働者などの被害者が、適切に認知され、かつ支援サービスを受けられるようにし、また人身取引犯に強要されて犯した違法行為によって、拘束または強制送還されることがないよう、被害者の審査を強化する。・外国人技能実習機構および出入国在留管理庁の職員を対象とした被害者認知の研修、外国人技能実習機構と非政府組織(NGO)との連携の向上、技能実習計画認定前の全ての契約の審査、雇用主に対する調査の増加、労働者が支払う過剰な手数料やその他金銭を課す外国の募集機関との契約解除などにより、技能実習制度改革法の監督および執行措置の実施を強化する。」
 このように現在の技能実習制度に関し、他国から厳しい批判を受けていることは、特に、他国が同盟国である米国であり、国際社会の中で、同国を中心とする人権を尊重する国々と結束を強めなければならない時期をも考えると、深刻に受け止めるべきと考える。
 そこで、次のとおり質問する。

一 同報告書に対する対応について
 1 政府として、同報告書に記載されている技能実習に関する記述に反論があるか。また、反論があるとしたら、どのような反論か明らかにされたい。
 2 上川陽子法務大臣(当時)は七月二日の記者会見で、同報告書に関し、「米国が独自に作成したものだ。法務省として答える立場にない」と述べている。しかし、米国は、日本にとって安全保障のみならず、気候変動を含む経済面においても重要な同盟国であることは明白なことである。そして、人権尊重は、米国が最も尊重している価値観といえる。このことを前提にしても、なお、政府として、同報告書中の日本に関連する記載に関し、真摯に検討した上で、コメントを公表する意思を有しないか。
 3 前項の日本と米国の関係を前提とすれば、同報告書の日本に関連する記載に関し、日本を主たる拠点としない国際的に人権活動の評価の高いNGOなど第三者に、その事実の有無の検証を委託すべきと考えるが、政府として如何。また、その必要性がないと判断するのであれば、その理由を明らかにされたい。
二 同報告書を踏まえた政府対応について
 1 同報告書を前提にすると、外国人の技能実習生に対する人権侵害が日常化しているかのように受け取られかねない。これでは、米国を中心とする人権を尊重する国々との間で結束を強めようにも、日本だけ置き去りにされる危険性があると懸念する。このような懸念が生じること自体が国際社会における日本の存在感に影響を与えるのであるから、技能実習制度の抜本的見直しに着手すべきと考えるが、政府として如何。
 2 同報告書によると、技能実習制度が、労働の搾取に利用され、参加企業に不当な利益をもたらしていると考えられるが、政府がこのような不当な利益を強制的に徴収し、被害を被った技能実習生の被害弁償に充当する制度を導入すべきと考えるが、政府として如何。

 右質問する。

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