質問本文情報
令和五年六月七日提出質問第八〇号
生活保護申請における扶養照会と民法第八百七十七条第一項、第二項及び第七百五十二条の扶養義務規定に関する質問主意書
提出者 吉田はるみ
生活保護申請における扶養照会と民法第八百七十七条第一項、第二項及び第七百五十二条の扶養義務規定に関する質問主意書
報道によると、令和三年度における生活保護申請における扶養照会率は自治体によって五・五パーセント〜七十八パーセントと、実に七十二パーセントの大きな差がある。
扶養照会は、親族に知られたくないという申請者の思いから申請の妨げになり、真に必要な人に支援がいきわたらないというだけでなく、一人につき複数回の照会をかける場合もあり、事務作業が膨大であり自治体に大きな負担となっている。
生活保護申請がなされた場合に自治体が扶養照会を実施するのをやめられないのは、生活保護法第四条第二項に「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。」との規定が足かせとなっているためか、政府の見解を問う。
令和三年二月二十六日の厚生労働省社会・援護局保護課の事務連絡「扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について」によると、生活保護申請者の申し出により扶養照会を望まない場合、自治体は扶養照会を行わないことが政府見解と理解したが、それでよいか。
また、前記のとおり自治体によって照会率に大きな差があるが、政府はこれを是正すべきと考えているか。考えている場合、どのような方法で是正するのか。
そもそも、民法では第七百五十二条において配偶者、同法第八百七十七条第一項、第二項において直系血族及び兄弟姉妹、そして三親等内の親族に扶養義務を定める規定があるが、三親等とは曾祖父母、ひ孫、叔父叔母、甥姪であり、明治三十一年以来改正されていない。そのため、核家族化の進んだ現代に全くそぐわないと考える。今後、扶養義務の在り方を見直し、民法の扶養義務に関する規定自体を改正すべきと考えるが、検討してもらえないか。
右質問する。