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令和五年六月十六日提出質問第一三〇号
消費税と独占禁止法の阻却に関する質問主意書
提出者 たがや亮
消費税と独占禁止法の阻却に関する質問主意書
鈴木俊一財務大臣は、令和五年五月十五日の衆議院決算行政監視委員会で、独占禁止法(以下「独禁法」)を阻却する措置をせずに、新たに課税事業者になった者に個別に対応すると答弁した。
公正取引委員会の政府参考人は、同じく令和五年五月十五日の衆議院決算行政監視委員会で、新規課税事業者が団結して消費税の転嫁についてのカルテルを形成した場合、「一般論として申し上げますと、事業者が共同して取引価格を引き上げるというようなことは、独占禁止法上の不当な取引制限として問題となる可能性がある」と答弁した。
里見隆治経済産業大臣政務官は、同じく令和五年五月十五日の衆議院決算行政監視委員会で、「(平成二十五年五月十日の衆議院経済産業委員会において、当時の平将明経済産業大臣政務官が、消費税の転嫁について)その間に強い人と弱い人がいるといったときに、価格交渉において消費税が転嫁できない構造的問題があると明確に答弁しておりましたが、現在も同じ認識でしょうか。」との質問に対し、「御指摘の平成二十五年の平政務官の答弁は、消費税転嫁特措法の審議の際に、消費税が上がる際には、交渉力の強い事業者と弱い事業者の間では、構造的にその上昇分が転嫁されにくく、買いたたきなどの転嫁拒否を引き起こしやすいため、消費税還元セール等の広告を禁止することが適切であるという見解を示したものと認識をしております。消費税に限らず、コストが上昇する際に、交渉力の強い事業者と弱い事業者の間では、構造的にその上昇分を転嫁することが難しいという問題があるという認識に変わりはございません。」とし、立場が弱い事業者が立場の強い事業者に対して消費税の価格転嫁をしづらい構造的な問題がある事について、平成二十五年より現在まで認識を同じくしている旨を答弁した。
一 鈴木財務大臣は独禁法の阻却についての特措法を措置せず、百六十一万社(者)と見積もる新規課税事業者に対し、個別に対応するとしているが、
1 「個別」に対応するとは、何を示すのか。
2 具体的にどのような指導を、どのように管理監督するのか。
二 政府が、力関係により消費税の価格転嫁をしづらい構造的問題を把握する中で、弱い立場の事業者の対抗措置であるカルテルを形成した際に起こり得る独禁法を阻却するための措置は最低限必要と考えるが、措置しない理由は何か。
三 右の独禁法の阻却の措置をせず、新規課税事業者が、やむを得ずカルテルを形成し、値上げ交渉せざるを得なくなった際に、独禁法の違反となった場合は、政府の不作為であるが、政府はどう責任を取るのか。
右質問する。