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令和五年六月十六日提出
質問第一五二号

商業登記制度の運用変更に関する質問主意書

提出者  松原 仁




商業登記制度の運用変更に関する質問主意書


 当職は、令和五年五月二十九日の衆議院決算行政監視委員会(以下、単に「五月二十九日決算行政監視委員会」という)において、役員全員解任の登記申請を利用した乗っ取りで逮捕者が出ているような会社、またそのリスクを感じている会社については、その希望により、役員全員解任の登記申請がされた場合、登記所から会社への登記完了前に通知する制度を設けるべきではないかという旨の質問を行った。
 当職がこのような質問を行ったのは、いわば会社版の地面師事件とでも言うような虚偽の商業登記を行われ、当該登記が行われた会社を乗っ取られようとした会社の所有者は、不動産の場合と異なり、会社を乗っ取られた真の所有者が、銀行預金の不正出金などにより、財産に回復不可能な損害が発生する余地があり、真摯に対応する必要があると感じたからである。
 そこで、次のとおり質問する。

一 五月二十九日決算行政監視委員会における齋藤健法務大臣の答弁にある「会社の規模等に照らし申請権限に疑義がある場合など、申請者の申請権限に疑義がある事案であると判断される場合」に該当しない場合、不正登記により会社の乗っ取りを仕掛けられた当該会社の所有者は、乗っ取りを仕掛けた側に経済力がなければ、不正に引き出された銀行預金などの財産に、回復不可能な損害が発生し得るという解釈で間違いないか明らかにされたい。
二 五月二十九日決算行政監視委員会において、齋藤健法務大臣は「不実の登記の防止の要請は極めて重要である反面、迅速な公示を実現し、取引の安全を図ることも重要であるということでありますので、これらの要請の均衡を図る必要がある」旨答弁している。しかし、会社の真の所有者に回復不可能な損害が発生し得るのに、本当に均衡が図られているといえるか、明らかにされたい。
三 不正登記により、会社の真の所有者に回復不可能な損害が発生し得ることを考えれば、現行制度である不正登記の防止のための不正登記申出制度を発展拡大させ、希望する法人全てに、登記申請があった場合に、事前届出通知先へ通知する制度を設けることを検討すべきと考えるが、政府見解は如何。
四 前項の新制度に関しては、電子メールなど多様な通信手段を考慮するとともに、不正登記の対象とされる法人が、狙われるだけの財産を有する法人であることから、その制度維持にかかる費用分担を求めるための有料化も視野に入れながら検討を進めるべきと考えるが、政府見解は如何。
五 現行制度上、商業登記について、本人が自ら申請できるようになっている。このことは、費用や登記にかかる日数の関係で、申請人に有利といえる。しかし、他方で、法律や手続きに関する専門的な知識とスキルを有する司法書士や弁護士に手続を代理されることを義務付けることで、不正登記の防止に資するとともに、登記内容の正確さと完全性を保証することもできると考える。司法書士や弁護士の報酬が自由化され競争原理が働いている現状を考慮すれば、代理人申請を義務付けることも考えるべきではないかと考えるが、政府見解は如何。
六 当職は、商業登記制度は、所在地や代表者などの法人情報の正確性が担保されることで、顧客、取引先、投資家、競争企業などのステークホルダーの法人への信用が得られ、企業の健全な発展に資すると考える。この法人情報の透明性は、情報の正確性と対をなすものである。政府として、商業登記制度の正確性を高めるために、何か具体的な対策を検討しているか、あれば明らかにされたい。

 右質問する。

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