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令和五年十二月七日提出質問第一一六号
社会福祉の基幹事業というべき障害者相談支援事業の見直しに関する質問主意書
提出者 阿部知子
社会福祉の基幹事業というべき障害者相談支援事業の見直しに関する質問主意書
二〇〇〇年に障害者福祉サービスが措置制度から契約制度に移行し、これに伴い利用者が選択できる仕組みとなったとされている。利用者が選択するためには情報提供を含めて、利用者や家族が相談できる仕組みが不可欠であり、そのための中心的な福祉事業として市区町村相談支援事業が制度化されたと理解している。
そのような経過を踏まえて制度化された相談支援事業は、専門性をもった職員を配置し、利用者のあらゆる相談を支援する、まさに社会福祉の基幹事業と考える。これを踏まえて以下、質問する。
一 いわゆる障害者総合支援法第七十七条に基づく相談支援事業は、二〇〇六年度から全市町村に義務付けられた。実施主体である市町村の多くは社会福祉法人などの民間事業者に業務委託しているが、社会福祉事業に位置づけられていないため、委託料は消費税の課税対象とされている。しかし、一部の自治体は、非課税と定められている社会福祉事業に該当するか、これに準ずる事業とみなし、非課税としていたという(自治体半数超非課税と誤認:中日新聞二〇二三年七月二日)。
一方、障害者総合支援法第五条に基づく一般相談支援事業と特定相談支援事業はいずれも社会福祉事業に位置づけられており非課税である。相談支援事業が社会福祉事業に位置づけられない根拠は何か。
二 相談支援事業(基幹相談支援センター事業)と同様に機能している高齢者の総合相談の窓口である「地域包括支援センター」への委託料は非課税扱いである。一方は課税、一方は非課税という、こうした制度間の不均衡についてはどのように認識しているか。
三 委託の相談支援事業(基幹相談支援センター事業)は、本来行政が担うべき役割を委託しているものであり、市町村が直営で行っている自治体もある。基本相談以外にも虐待防止や権利擁護も担う、地域になくてはならない重要な総合支援の窓口であり、その事業の役割や機能から、実態として明らかに社会福祉事業と言える。まずはこうした実態調査を全国の自治体に対して早急に行った上で、明確に社会福祉事業に位置づける等、現状に即した制度に見直す必要があると考えるがどうか。
四 前出の中日新聞の報道を受け、鈴木俊一財務相は七月四日の閣議後会見で、この相談支援事業について、「社会福祉法上の社会福祉事業に該当せず、消費税の課税対象」とし、厚生労働省と連携して課税対象だと周知する方針を表明した。十月四日にはこども家庭庁、厚生労働省連名でこの発言を追認する事務連絡が発出されている。さらに国税庁は過去に遡って消費税、追徴税の徴収の方針と聞く。しかし、そもそも国の制度について、自治体への説明・連絡の不徹底が誤認を招いているという前提があり、自治体は限られた財源の中で苦慮しながら実態に即した運用をしているのであるから、実態調査の間、当面は政省令などで非課税と明記すべきと考えるがどうか。
右質問する。