答弁本文情報
令和五年十二月十九日受領答弁第一一六号
内閣衆質二一二第一一六号
令和五年十二月十九日
内閣総理大臣 岸田文雄
衆議院議長 額賀福志郎 殿
衆議院議員阿部知子君提出社会福祉の基幹事業というべき障害者相談支援事業の見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員阿部知子君提出社会福祉の基幹事業というべき障害者相談支援事業の見直しに関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについて、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二条に規定する社会福祉事業に位置付けるかどうかは、平成十年十一月十七日に開催された「第十五回中央社会福祉審議会社会福祉構造改革分科会」等の資料において、公的な助成を通じた普及や育成が必要な事業であることや、サービスの質の確保のための公的な規制が必要な事業であること等の要素を総合的に勘案して判断する旨示されているところ、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第七十七条第一項第三号に掲げる事業(以下「相談支援事業」という。)については、同項に基づき市町村が行うものとされ、市町村において、地域の実情に応じ、適切な形で整備が進められるべき事業であるため、これらの要素等を総合的に勘案の上、必ずしも社会福祉事業の性格になじまないものとし、社会福祉事業として位置付けていないものと認識している。
二について
御質問の趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「地域包括支援センター」は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第百十五条の四十六第一項に規定する包括的支援事業(以下単に「包括的支援事業」という。)を実施する施設を指すものと理解し、また、お尋ねが、相談支援事業に係る消費税法(昭和六十三年法律第百八号)における課税の取扱いと、包括的支援事業に係る当該取扱いとが異なることへの認識についての御質問であるとすれば、包括的支援事業については、平成十七年の介護保険法の改正において創設され、同法第百十五条の四十七の規定により、市町村は老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第二十条の七の二に規定する老人介護支援センターの設置者その他の厚生労働省令で定める者に対し、包括的支援事業の実施を委託することができることとされたところ、消費税については、当該老人介護支援センターの設置者が委託を受けて従来から社会福祉事業である老人介護支援センターを経営する事業の一環として包括的支援事業を行う場合は、社会福祉事業が行われるものとして非課税となり、また、このことも踏まえ、当該老人介護支援センターの設置者以外の者が委託を受けて包括的支援事業を行う場合においても、社会福祉事業が行われるものに類するものとして非課税とされたものである。他方、相談支援事業については、同様の状況にあったものではなく、課税の取扱いが異なっているものと認識している。
三について
相談支援事業については、一についてで述べた考え方により、社会福祉事業として位置付けていないものであり、御指摘の「実態調査」を実施することや、相談支援事業を「社会福祉事業に位置づける等」の「制度に見直す」ことは考えていない。
四について
三についてで述べたとおり、御指摘の「実態調査」を実施することは考えておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。
なお、相談支援事業に係る消費税法における課税の取扱いについては、これまで十分に周知されていなかったことから、市町村において、当該取扱いについて誤解が生じていたものと認識している。このため、「障害者相談支援事業等に係る社会福祉法上の取扱い等について」(令和五年十月四日付けこども家庭庁支援局障害児支援課並びに厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課及び精神・障害保健課連名事務連絡)において、「障害者総合支援法第七十七条第一項第三号を根拠として市町村が行う障害者相談支援事業については、・・・社会福祉事業には該当」せず、かつ、「消費税関係法令上、他に非課税とする旨の規定もないことから、消費税の課税対象であること。また、自治体が当該事業を民間事業者に委託する場合の委託料については、委託料に消費税相当額を加えた金額を受託者に支払う必要があること」を明確化し、周知したところである。
今後、全国会議等の機会を通じて、当該事務連絡を踏まえた適切な取扱いについて、都道府県及び市町村に対し周知徹底してまいりたい。