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令和六年十一月十一日提出質問第二〇号
仮放免された外国人の過酷な状況の改善、地域社会の軋轢への政府一丸となった対応、入管行政の透明化等に関する質問主意書
提出者 小山千帆
仮放免された外国人の過酷な状況の改善、地域社会の軋轢への政府一丸となった対応、入管行政の透明化等に関する質問主意書
いわゆる仮放免がなされた場合の外国人には、就労することが認められていない。これは、仮放免が長期に及ばないことが前提のようだが、実際には、仮放免の保証金を用立てる必要があること、仮放免中の生活があること(場合によっては家族を養う必要もある)、国民健康保険等に加入できず医療費が全額自己負担になること等、金銭的な窮乏にさらされるリスクが極めて高い。
そのような状況であるにもかかわらず就労禁止を貫くことにより、違法な就労が助長されるばかりか、そうした弱みに付け込んだ過酷な労働環境や様々なハラスメント等も放置され、さらにはお互い助け合うためにそれぞれの国籍者や民族等が集住することにより地域社会の分断や対立が現実に引き起こされてしまっている。
そうした際、排外的な軋轢を押さえるためにもそれぞれの地域においてごく短期的には、社会の鎮静化のため警察官の増員やパトロールの強化等の対処療法が必要ではあるが、中長期的には国として別の対応が必要であることは明らかである。
しかしながら、現在の入管行政においては、むしろそうした環境に仮放免の外国人を追い込むとともに地域社会の排外感情の高まりや不安定化を放置ないし結果的に助長しているようにしか考えられない。そして、裁判所の令状が不要であることもあり、判断基準も示されず、まさにブラックボックスとなっている。
令和四年十一月三日には、そうした入管行政のあり方について、国際連合の自由権規約委員会から改善を求める勧告を受けている。同勧告では入管施設収容中の外国人についての処遇改善等が求められ、三年後である令和七年十一月までに実施状況の報告が求められている。なお、同勧告においては、仮放免者は「Karihomensha」と表記され、国際社会において特異な制度であることが印象付けられており、そうした意味合いにおいても早急な対策が不可欠である。
そこで、以下質問する。
一 仮放免と就労について、仮放免を認めない方針を強めた運用を進めることは言語道断であることを前提に、不法就労を助長させないためにも、様々なハラスメントを起こさせないためにも、たとえば短期間のアルバイトや業務委託等、生計を立てるための最低限の就労を認めることが考えられるが、政府の見解は如何。
二 近しい国籍者や民族等が集住する地域で現実に生じている地域社会の軋轢について、当該地方公共団体と国及び市民団体等の役割分担と協働の方針について、草の根のロールモデルも参照しつつ、政府一丸となって対応すべきと考えるが、如何。また、その際の責任の所在を明らかにされたい。
三 入管行政の運用について、不法在留者の収容から退去にいたるプロセスや仮放免の判断、難民申請に対する判断等について、その審査過程を明らかにし透明化すること、令状等の裁判所の関与や第三者機関のチェックを盛り込むことが求められるが、政府の見解を求める。
四 国際連合の自由権規約委員会の勧告に対する報告まで残り約一年となっているが、政府の具体的対応の方針につき国際状況や国内事情を踏まえ、今後どのように検討するか、国会への報告の時期を含め、示されたい。
右質問する。