質問本文情報
令和六年十一月十一日提出質問第三二号
食料品の物価高対策に関する質問主意書
提出者 井坂信彦
食料品の物価高対策に関する質問主意書
二〇二二年のロシアによるウクライナ侵攻以降、世界では穀物の価格上昇が続いている。加えて日本では、記録的な円安により、輸入価格の上昇が食料品価格の上昇に拍車をかけている。また、ガソリン価格の高騰による輸送費上昇も、食料品価格に上乗せされている。
天候不順による不作など複合的な要因が相まって、日本国内では食料品の価格が高騰している。農林水産省の食料品価格動向調査によれば、二〇二四年十月の価格上昇率(平年比)はレタスが四十九%、キャベツが三十六%、トマトが三十三%、玉ねぎが十七%、小麦が十七%、牛乳が十六%増と軒並み高くなっている。
さらに、JA(農業協同組合)全農県本部や経済連がJAに提示する二〇二四年産米の概算金は、前年産からの上げ幅が二〜四割となり、二〇二四年九月の新米の取引価格は前年同月比四十八%高と過去最高になった。その結果、家計の消費支出に占める食費の割合が上昇し、二〇二四年一〜八月のエンゲル係数(二人以上世帯)は二十八・〇%と、四十二年ぶりの高水準となっている。
食料品の価格高騰が国民生活を直撃し、早急に対策が必要なため、以下、政府の見解を問う。
一 世界各国で食料品の価格高騰が「食料インフレ」と報道されている。しかし、二〇二四年十月四日の所信表明演説において、石破総理大臣は「デフレ脱却を最優先に実現する」と述べている。政府は日本経済の現状を、「デフレ脱却はしていない」と認識しているのか。
二 政府はデフレ脱却の四指標として、@消費者物価指数、AGDPデフレーター、B単位労働コスト、C需給ギャップを挙げている。このうち@とAは十分に上がり、Bも賃上げによって大幅なマイナスに戻る可能性は低くなっている。一方でCについては、物価高騰により需要が減少すれば、いつまで経っても需給ギャップは解消されない。物価上昇=デフレ脱却ではなく、政府の四指標をもとにデフレ脱却を定義するのであれば、食料品をはじめとする物価高騰対策が必要になると考えるが、政府の見解を問う。
三 政府は物価の基調をコアCPI(生鮮食品を除く総合)で判断することが多い。しかし、生鮮食品の価格はここ十年で大幅に上昇しており、コアCPIとの乖離が看過できないものになっている。生鮮食品を含んだ、消費者の実感に近い物価を、政策判断の材料にすべきと考えるが、見解はどうか。
四 二〇二四年十月一日、坂本哲志農林水産大臣(当時)は記者会見で、「備蓄米を放出しない決断に誤りは無かった」と述べた。しかし、未だに続く米の価格高騰を考えれば、需要と供給のギャップの範囲内でコントロールして、備蓄米を放出すべきであったと考える。主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律第三条で定義された「米穀の生産量の減少によりその供給が不足する事態」に限定せず、数ケ月前に米の需要と供給を予測して、備蓄米を機動的に放出できないのか、政府の見解を問う。
五 食料品が特に高騰している近年の状況を打開するために、消費税の軽減税率を〇%にすべきと考える。この場合、税収減以外にどのようなデメリットが懸念されるか。
六 政府は十一月にもまとめる総合経済対策で、物価高の負担が大きい低所得者を対象とした給付金支給を盛り込むと報道されたが、食料品の高騰による影響は中所得世帯も直撃している。中所得世帯に対する物価高対策をどのように考えているのか、政府の見解を問う。
右質問する。