質問本文情報
令和六年十一月十一日提出質問第四二号
鈴木馨祐法務大臣が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書に計二百八十二万円の記載漏れがあった問題に対する認識と大臣の資質に関する質問主意書
提出者 伊藤俊輔
鈴木馨祐法務大臣が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書に計二百八十二万円の記載漏れがあった問題に対する認識と大臣の資質に関する質問主意書
第二次石破内閣において法務大臣に任命された鈴木馨祐氏については、自身が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書に計二百八十二万円の記載漏れがあったとの報道がなされている。
これを踏まえて、以下質問する。
一 令和六年六月十二日に配信された共同通信の報道によれば、「鈴木馨祐氏は、十二日の参院政治改革特別委員会で、自身が代表を務める党支部の二〇二一年政治資金収支報告書に計二百八十二万円の記載漏れがあったと明らかにした。五月の衆院政治改革特別委員会で計六十六万円と答えていたが、精査したとして訂正した。「大変反省しており、おわびしたい」と述べた。」とされているが、計二百八十二万円の記載漏れを認め、訂正・おわびをしたことは事実であるのか確認したい。
二 計二百八十二万円の記載漏れが事実であった場合には二百八十二万円もの大金がどこでどのように保管されていたのか、詳細について示されたい。
三 令和六年十月十七日に綱島駅近くの東照寺会館駐車場にて開催された岸田文雄前内閣総理大臣と鈴木馨祐氏の演説会において、鈴木氏は「まず最初に、やはり私は自民党の一員として皆様方にご心配をお掛けしていることにお詫びを申し上げておかなきゃいけないと思ってるんです。去年の年末、我々の同僚議員の中で、政治資金規正法の違反で収支報告書に不記載があった、そういった法律違反の事件が起こりました。私自身そうしたことがないとはいえ、やはり同僚の議員でそうした法律を違反する件があった、このことについてはお詫びを申し上げなきゃいけないと思います。」と述べているが、「私自身そうしたことがない」という発言にあるように、鈴木法務大臣は不記載の問題はなかったと認識しているのか、確認したい。また不記載の事実があった場合、第五十回衆議院議員総選挙の最中に公にしたこの発言は、公職選挙法第二百三十五条の虚偽事項の公表罪にあたると考えるが如何か。鈴木法務大臣及び石破茂内閣の見解を示されたい。
四 鈴木法務大臣及び石破茂内閣が認識している「裏金」という言葉の意味合いについて以下、確認する。
1 旺文社国語辞典第十二版によれば、「裏金」とは「会計帳簿に記載せず、不正にたくわえた金銭。」と記載されているが、鈴木法務大臣及び石破茂内閣は「裏金」という言葉を同様の意味で認識しているのか、確認したい。
2 大辞林第四版によれば、「裏金」とは「帳簿には記載しなかったり別の名目にしたりしている金。」と記載されているが、鈴木法務大臣及び石破茂内閣は「裏金」という言葉を同様の意味で認識しているのか、確認したい。
3 デジタル大辞泉によれば、「裏金」とは「帳簿に記載せず、不正に隠し持っている金銭。」と記載されているが、鈴木法務大臣及び石破茂内閣は「裏金」という言葉を同様の意味で認識しているのか、確認したい。
五 しんぶん赤旗日曜版(令和六年六月二日号)に報じられた鈴木法務大臣の記事に関連して以下、質問する。
1 しんぶん赤旗日曜版(令和六年六月二日号)の記事によれば、「自民党の政治資金規正法「改正」案の提出者は、約三百万円の裏金議員≠セった。こんな実態が日曜版編集部の取材で明らかになりました。約三百万円の収入を裏金処理していたのは、自民党政治刷新本部作業部会座長の鈴木馨祐(けいすけ)議員(衆院神奈川七区)。日曜版(五月二十六日号)の指摘を受け、二百八十二万円の収入が不記載だったとして政治資金収支報告書を訂正しました。規正法違反の疑いがあります。さらに編集部の調べで新たに十万円の不記載があることも判明しました。裏金づくりの舞台になっていたのは、鈴木氏が代表を務める「自民党神奈川県第七選挙区支部」。」と報じられている。一方で、令和六年十月二十九日に報じられた神奈川新聞の記事によれば、「裏金づくりが発覚したなどと虚偽の情報を広め、選挙運動を妨害されたとして、自民党の鈴木馨祐衆院議員が港北署に公職選挙法違反(虚偽事項公表)の容疑で刑事告訴し、受理されたことが二十八日、関係者への取材で分かった。関係者によると、衆院選公示日(十五日)の前後、アンケートと称し、鈴木氏について「約三百万円の裏金処理問題が発覚した」として責任を問うような自動音声の電話が、横浜市港北区内の市議や県議の事務所などにかかってきたという。」と報じられているが、鈴木法務大臣は、二百八十二万円の収入を不記載で政治資金収支報告書を訂正しているが、約三百万円の裏金処理問題が発覚していないと認識しているのか、見解を伺いたい。
2 令和六年十月二十九日に報じられた神奈川新聞の記事によれば、「鈴木氏の秘書を務める男性は「当時の実務担当者が代わった際、引き継ぎがなかったことでミスが生じ、不記載となった。決して故意ではなく、「裏金」ではない」」と話したと報じられている。一方で、しんぶん赤旗日曜版(令和六年六月二日号)に、「五月二十四日の衆院政治改革特別委員会。日本共産党の塩川鉄也議員の追及に鈴木氏は、日曜版の指摘分のほかに二件の不記載があると認め、計八件について収支報告書を訂正したと説明しました。「実務担当者が変わったタイミングでミスが出た」と弁明しましたが・・・。しかし同支部の会計責任者は十一年から二十二年まで、事務担当者は十七年から二十二年まで同一人物が担当。弁明はウソの疑いが濃厚です。」と報じられているが、自民党神奈川県第七選挙区支部の会計責任者は十一年から二十二年まで、事務担当者は十七年から二十二年まで同一人物が担当していることは事実であるのか確認したい。
六 政治資金規正法第二十五条第一項第一号において、「第十二条又は第十七条の規定に違反して報告書又はこれに併せて提出すべき書面の提出をしなかつた者」は、「五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。」とされている。また、同法第二十七条第二項において、「重大な過失により、第二十四条及び第二十五条第一項の罪を犯した者も、これを処罰するものとする。」とされている。そして同法第二十五条第二項については、「政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、五十万円以下の罰金に処する。」とされているが、鈴木法務大臣及び石破茂内閣も同様の認識を持っているのか、確認したい。また違う認識を持っている時にはその詳細について説明されたい。
七 鈴木法務大臣が代表を務める自民党神奈川県第七選挙区支部の二〇二一年分政治資金収支報告書に計二百八十二万円の記載漏れがあったことが事実であれば、政治資金規正法に違反していると考えるが如何か。鈴木法務大臣及び石破茂内閣の見解を示されたい。
八 立憲民主党は令和六年五月二十日に政治資金収支報告書に関する処罰の強化を進めるべく、不記載が百五十万円超だった場合は会計責任者の過失であっても議員を罰則対象とする内容を盛り込んだ、「政治資金規正法等の一部を改正する法律案」を衆議院に提出した。この法案は、会計責任者だけでなく議員も処罰の対象とする「連座制」の導入も明記しており、不記載は単純なミスであっても金額が百五十万円超であれば議員には連座制を適用し、有罪が確定すれば、議員失職と公民権停止の対象にしている。自民党の裏金問題に対する国民の怒りは頂点に達していることから政府与党においても有罪が確定すれば、議員失職と公民権停止の対象となる「連座制」の導入を含めた政治資金の隠匿にかかる罰則の強化を進めるべきであると考えるが如何か。石破茂内閣の見解を伺いたい。
九 令和六年十一月五日に配信された日刊ゲンダイの報道によれば、鈴木馨祐氏の起用に関して、「日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は鈴木氏が代表を務める「自民党神奈川県第七選挙区支部」の二〇二一年の政治資金収支報告書に、計六件六十六万円の寄付収入が記載されていないとする裏金疑惑をスクープ。衆議院政治改革特別委員会でこの問題を追及された鈴木氏は事実関係を認めた上で、「当時の資金担当者が変わったタイミングでミス」「精査した結果、(不記載が)他に二件あったので、合計八件について記載を訂正した」と釈明していた。鈴木氏が所属する「志公会」(麻生派)は、解散した旧安倍派(清和政策研究会)と同様に政治資金パーティー券の売り上げノルマ超過分をキックバックする仕組みがあったことが報じられている。客観的に見れば「裏金派閥」で、「裏金作り」をしていた「裏金議員」の一人と同列視されて当然だ。野党議員が起用に仰天しているのも無理はない。少数与党に転落した石破政権に対しては、立憲民主党や国民民主党などがさらなる政治資金規正法の厳罰化を求めていて、裏金問題は今後も国会論戦の大きなテーマになる可能性が高い。法相は規正法改正について主導的な役割を担うべき立場だ。その重要閣僚自身に裏金疑惑が指摘されていて、国民が納得するような公平・公正な議論はできるのか。」と報じられており、鈴木法務大臣の資質が問われているが、この度はどういった理由で鈴木氏を法務大臣に任命したのか、石破茂内閣総理大臣の見解を伺いたい。
十 令和六年十一月五日に配信された東スポWEBの報道によれば、鈴木馨祐氏の起用に関して、日本共産党の小池晃書記局長が鈴木氏について「人物的に言うと、鈴木馨祐氏ですね。この人を法務大臣にすることを言うと、裏金を指摘された人物です。「しんぶん赤旗」日曜版の五月二十六日付で裏金疑惑が指摘されました。五月二十四日の衆院予算委員会で(共産党の)塩川鉄也氏が裏金の指摘を行いました。合計で二百八十二万円。これは「訂正しました」ということで開き直ったわけです。やっぱり、明確に裏金議員だった人物をこともあろうに法務大臣にすえる、これは許されないだろうという点です」、「自民党政治規制法改正案の提出者。今回の自民党の規制案は「ザル法≠セ」という指摘が相次いでいる。自民党の当選者の中でも「不十分だ」という方が多数います。ザルも呆れるザル法≠作った人物を法務大臣にする、しかも裏金が指摘されている。「石破さん、どういう基準で閣僚にしようとしているのか」と問われると思うし、国会が始まれば当然、追及しなければいけないと思います」と述べたとされているが、これらの指摘をどのように受け止めているのか、鈴木法務大臣及び石破茂内閣総理大臣の見解を伺いたい。
右質問する。