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令和六年十二月十七日提出質問第八五号
こどもまんなか社会の実現に向けた保育関係予算及び制度等に関する質問主意書
提出者 屋良朝博
こどもまんなか社会の実現に向けた保育関係予算及び制度等に関する質問主意書
保育施設は地方創生の要でもあり、その機能を失えば地域の存続は望めなくなる。日本の将来を担う全ての子どもは国の宝である。保育所及び認定こども園等の質と機能の向上に向けて、より一層子ども・子育て施策が推進され、また、安定した財源が確保される必要がある。
以上を踏まえ、次の事項について質問する。
一 平成二十四年の「社会保障と税の一体改革」以降積み残された、いわゆる「〇・三兆円メニュー」について、「こども未来戦略」(令和五年十二月二十二日閣議決定)では、一歳児並びに四歳児及び五歳児の職員配置基準の改善が明記された。しかし、一歳児の職員配置については、「二〇二五年度以降」の「加速化プラン期間中の早期に」改善を進めるとされるにとどまっているところ、具体的にいつ実施されるのか、政府の検討状況とあわせて明らかにされたい。また、制度発足以来七十五年ぶりにようやく実現した四歳児及び五歳児の職員配置の改善は、「経過措置として当分の間は従前の基準により運営することも妨げない」とされているところ、当分の間について具体的な期間を示されたい。
二 こどもまんなか社会の実現に必要な安定的財源について、速やかに道筋を示すとともに財源の確保を着実に進める必要がある。政府は、こども未来戦略の「加速化プラン」を支える安定的な財源として、既定予算の最大限の活用等のほか、歳出改革等による公費節減の効果及び社会保険負担軽減の効果の活用により、三・六兆円程度の安定財源を確保するとしている。令和七年度における、こども未来戦略に明記された歳出改革等による公費節減効果及び実質的な社会保険負担軽減効果は、どの程度であると想定しているのか。
三 全産業の労働者との賃金格差がなくなり、安定して長く働くことができるよう、早期に全ての保育関係職員において処遇改善がなされる必要がある。こども家庭庁は、保育士等の処遇の抜本的な改善を行い、現状からの大脱却を図るとし、令和六年度補正予算により保育士等の人件費の改定率を十・七パーセント引き上げるとしている。これについて、保育士等に含まれる者の具体的な範囲を示されたい。また、実際に現場で働く全ての保育士等の処遇が確実に十・七パーセント改善される見込みの有無と、これを担保する具体的な方策についても示されたい。
四 保育士等の人材確保推進のため、子どもの命と安全を守る保育の重要性を広くアピールするとともに、保育士等の魅力を発信し、社会的地位をさらに向上させる取組が必要である。保育士は中高生にとってなりたい職業の上位に入るとの調査結果もある中で、中高生に対してどのように魅力を伝えていくのか、政府の具体的な方策について示されたい。
五 子ども・子育て支援制度の公定価格において、今後さらに子どもの数が減少していく情勢に鑑み、利用定員を充足していない保育施設がその機能を維持できるよう、未充足の度合いに応じた加算率による乗除調整や、小規模定員区分における定員の細分化など、既存の仕組みを拡充・整備する必要があると考えるところ、政府の見解を問う。
六 山間部や島しょ部等の生活が著しく不便な地域において、保育人材の確保を促進するため、一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号)第十三条の二及び第十四条において規定される「特地勤務手当等」に準じた「特地勤務加算」を公定価格上に定める必要があると考えるところ、政府の見解を問う。
七 公定価格においては、冷暖房費加算、除雪費加算及び降灰除去費加算が、保育所等の所在地域に応じて加算されているが、地域の特性によって生じる経費には、沖縄及び離島地域の地理的・経済的な不利性による輸送費・交通費等も考えられる。光熱費や食材料費の高騰への対応も含め、地域の実態に応じた補助となるよう、また、きめ細かな支援が可能となるよう体制を整備する必要があると考えるところ、政府の見解を問う。
右質問する。