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令和七年十月二十三日提出
質問第一七号

スルガ銀行の不正融資問題に関する懲戒処分行員情報及び報告徴求命令後の実効性等に関する質問主意書

提出者  高井崇志




スルガ銀行の不正融資問題に関する懲戒処分行員情報及び報告徴求命令後の実効性等に関する質問主意書


一 問題の背景について
 スルガ銀行における不正融資問題は、平成三十年のいわゆる「かぼちゃの馬車事件」を契機としたシェアハウスローン問題が社会的注目を集め、金融庁は同年十月に業務改善命令を発出した。その後、令和元年五月に公表された報告書(投資用不動産融資に係る全件調査)で、シェアハウスローン以外の投資用不動産融資(以下「アパート・マンションローン」という。)においても、通帳改ざんや審査書類の偽造を伴う不正が継続的に行われていたことが判明し、アパート・マンションローン問題についてはいまだ解決に至っていない。
 令和七年五月十三日付で金融庁はスルガ銀行に対し、問題の早期解決を図っていくため具体的な改善策等に関する報告徴求命令を発出したが、スルガ銀行による「調停不調の上申」「白塗りで証拠を隠匿」「無理な支払督促」が続いており、同月末の同行からの報告後も、救済は停滞。依然として行政的関与の実効性が疑問視されている。
 特に、報告徴求命令の発出後、スルガ銀行は被害者に対して新たに債権回収のための支払督促を行うなど、救済とは逆行する対応を取っている。このような行為を金融庁が黙認しているかのような印象を与えており、被害者の間では深刻な不信が広がっている。
 また、スルガ銀行が社内で懲戒処分を行った行員の情報(以下「懲戒処分行員リスト」という。)を金融庁が把握しているにもかかわらず、その内容が被害者救済や再発防止に活かされていないとの指摘がある。
 よって、被害者救済及び監督行政の透明性確保の観点から、次の事項について政府の見解を問う。
二 質問事項
 1 懲戒処分行員リストの管理及び活用について
  ア 金融庁は、スルガ銀行から再発防止の観点等から行政処分に必要な処分人数等の集約された情報のほか、懲戒処分行員個々の氏名、役職、処分理由、処分日、在籍支店名等の報告を受領しているか。受領している場合、その報告を監督指導や業務改善命令の検証にどのように活用しているか。
  イ 懲戒処分行員リストは行政文書として保管されているか。また、懲戒処分行員リストについて、情報公開請求や裁判所からの特定調停等における資料提出要求のほか、国会への資料提出を求められた場合、法令上提出可能か、政府の見解を示されたい。提出が不可能であるとすれば、その法的根拠を示されたい。
  ウ 金融庁は、懲戒処分行員リストに記載された処分理由に係る行為のうち、刑事上・民事上を問わず法律に違反する行為に該当するものを検証したか。再発防止策としてどのような行政的措置を講じたか。
 2 報告徴求命令後の対応及び実効性について
  ア 令和七年五月十三日付で発出された報告徴求命令に基づき、スルガ銀行から提出された報告書における被害者(債務者)への対応方針について、金融庁が確認・検証した内容の概要を示されたい。
  イ 金融庁は、当該命令後にスルガ銀行が一部被害者(債務者)に対して債権回収のための支払督促を行った事実を把握しているか。仮に把握している場合、当該命令の趣旨に照らして適切と判断しているのか、政府の見解を示されたい。もし不適切と認識しているなら、是正指導や追加の行政処分を検討しているか。
  ウ 金融庁は、「司法対応中」を理由としてスルガ銀行が情報開示を拒む現状をどのように認識しているか、政府の見解を示されたい。監督官庁として、報告徴求命令の趣旨である早期解決の実効性を確保するため、追加的な命令又は行政処分を検討しているか。
  エ 被害者(債務者)が特定調停や訴訟等を通じて救済を求めている現状を踏まえ、金融庁として行政機関が主体となって裁判外で紛争解決を行う金融契約問題に係る新たな行政ADR制度など、被害者(債務者)救済を促進する制度的枠組みを検討しているか。
 3 監督行政の再点検と再発防止について
  ア 金融庁は、スルガ銀行の不正融資問題を通じて、地銀監督の在り方にどのような課題を認識したのか、政府の見解を示されたい。特に、モニタリング部門と検査部門の情報共有・再評価プロセスについて改善策を講じたか。
  イ 金融庁は、平成三十年の行政処分以降における、スルガ銀行の内部統制機能の強化など一連の対応が再発防止策として十分であると認識しているか。
  ウ 現在、スルガ銀行ではリテール向けの投資用不動産ローンが行われているところであるが、不正融資の有無を確認しているか。また、不正を未然に防ぐため、関連法令又は監督指針の改正や運用見直しに関する更なる検討を行う必要はないか、政府の見解を示されたい。
三 結語
 スルガ銀行問題は、個別の銀行不祥事に留まらず、金融行政の信頼を根底から揺るがす事案である。被害者が司法的救済に頼らざるを得ない現状は、監督行政の不作為によって生じているとも言える。
 とりわけ、報告徴求命令の直後に債権回収行為が行われていることは、監督行政の形骸化を強く印象づけるものである。政府は、実効的な再発防止策とともに、被害者の生活再建に寄与する具体的な行政的支援策を早急に講じるべきである。
 よって、質問事項に対する政府の明確な答弁を求める。
 
 右質問する。

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