質問本文情報
令和七年十月二十四日提出質問第一八号
同性婚に関する違憲判決後の法務省の対応方針及び過去の民法違憲判決における検討・審議期間等に関する質問主意書
提出者 尾辻かな子
同性婚に関する違憲判決後の法務省の対応方針及び過去の民法違憲判決における検討・審議期間等に関する質問主意書
性的指向や性自認にかかわらず、すべての人が尊厳をもって生きられる社会の実現が重要である。
現在、同性婚を認めない現行民法及び戸籍法の規定が憲法十三条、十四条、二十四条等に違反するとの司法判断が相次いでおり、最高裁判所においても違憲性が争われている。仮に最高裁が違憲判決を下した場合、法務省は速やかに民法等の改正を検討・実施する責務を負う。
過去にも、民法の規定に対して違憲判決が出された事例が存在する。たとえば、民法七百三十三条(女性の再婚禁止期間)について、最高裁は平成二十七年十二月十六日に「百日を超える部分は違憲」と判断し、その後、約半年後の平成二十八年六月一日に改正民法が成立している。
また、旧優生保護法に基づく強制不妊手術に関する訴訟では、民法七百二十四条後段の「二十年除斥期間」の適用が憲法十七条に違反するとの主張が争われた事例もある。
これまで様々な国会議員から政府には国会の審議の場や質問主意書で本件についての政府の今後の対応について問われていると認識しているが、政府からは、まだ訴訟が地方裁判所で争われている段階であり、国民的議論の進展を見守る趣旨の回答があるのみである。最高裁判所において訴訟が上がっている現在、そのような受け身の回答ではなく、来るべき最高裁判所の判決に備えて、より具体的な対応を法務省としても検討している段階と認識している。
これらの事例を踏まえ、法務省が違憲判決後にどのような検討・審議期間を経て法改正を行ったのか、また今後同性婚に関する違憲判決が出た場合にどのようなタイムスケジュールで対応を取るのかを明確にする必要がある。
性的少数者の権利保障は、抽象的な理念ではなく、現実に生きる人々の人生に直結する問題である。法務省には、当事者の声を真摯に受け止め、具体的かつ迅速な対応を求めたい。
次の事項について質問する。
一 過去二十五年間において、民法の規定に対して違憲判決が出された事例(例:民法七百三十三条、民法七百二十四条後段等)について、法務省が判決後に改正案を国会に提出するまでに要した検討・審議期間をそれぞれ具体的に示されたい。
二 右記の事例において、法務省が判決を受けて実施した検討会議、審議会、関係省庁との協議等のプロセスについて、開催日、回数、参加者、議事概要を含めて、可能な限り詳細に示されたい。
三 現在係属中の同性婚に関する違憲訴訟において、最高裁判所が違憲判決を出した場合、法務省は民法等の改正に向けて具体的にどのように検討を行っていくのか、政府の考えを示されたい。検討開始時期、関係機関との調整、改正案の策定スケジュールを含めて明示されたい。
四 右記の検討において、「適宜検討していく」「関係機関と調整しながら対応する」等の抽象的・曖昧な答弁ではなく、具体的な期限、実施予定、責任部署を明記した回答を求める。法務省として、違憲判決後に迅速かつ具体的な法改正を行う責任があるとの認識があるか、政府の見解を示されたい。少なくとも質問一で問うた過去二十五年間の民法の規定にかかる違憲判決が出された事例と同程度のスケジュールで対応するのかを明確に示されたい。
本質問は、憲法に基づく婚姻の自由と法の下の平等を保障する観点から、違憲判決後の迅速かつ的確な法整備を促すためのものである。抽象的な答弁ではなく、具体的かつ時期を明示した誠実な回答を求める。したがって、本質問主意書への答弁について「最高裁の判決を踏まえて適切に対応してまいりたい」等の抽象的な回答であった場合は、再度質問主意書を提出することを申し添える。
右質問する。

