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令和七年十月二十九日提出質問第二八号
更生保護施設委託費減額に関する質問主意書
提出者 藤原規眞
更生保護施設委託費減額に関する質問主意書
刑務所などを出た後、再び事件を起こす人の多くは、帰る家や仕事がないという問題を抱えていることが珍しくない。法務省の広報「あかれんが」においても、帰住先のない者の半数以上が、一年未満で再犯に及んでいること、刑務所に再び収容されることとなった者(再入所者)の約七割が無職者であることが指摘されている。
そうした人たちを一時的に受け入れ、宿泊・食事・就職支援などを提供するのが「更生保護施設」や「自立準備ホーム」である。
これらの施設は、受け入れ人数に応じた国の委託費やボランティアの寄付で運営されており、滞在期間は原則六か月までとされている。刑余者らの社会復帰や再犯防止に不可欠な役割を担っている。
二〇二五年十月二十七日付の「弁護士ドットコム」記事によると、施設の主な収入源である委託費について、「予算が足りなくなり、一、二か月しか委託費を出せなくなった」という連絡が全国で相次いでいるという。
更生保護施設を管轄するのは、法務省保護局更生保護振興課であるが、更生保護施設に対して、滞在期間の半分、三か月程で退所させるようとの指示があると聞く。
さらに、更生保護施設職員は、公務で使用する車両のガソリン代なども自弁で負担しているケースもあるという証言も得た。
入所者は、三か月で就労先や住居が決まっていなくても退所させざるを得ない状況にあり、更生保護施設職員は、不安定な状況で更生保護施設から退所させられた者の再犯可能性を危惧している。
これは、本年六月から導入された「拘禁刑」の目的、すなわち、個々の受刑者の特性に応じたきめ細かな処遇の実現により、効果的な改善更生と円滑な社会復帰を図る目的と、立ち直りを重視する新たな刑罰が指標とするところと矛盾が生じるのではないかと考える。
以上を踏まえて質問する。
一 二〇二五年度の更生保護委託費が減額された理由を示されたい。
二 今年度の残りの期間、現状を改善するために、何らかの対策を講じているか。講じているとしたら、その対策につき、具体的に示されたい。
三 更生保護施設は常に満室に近いところと、空室が目立つ施設の入居格差が散見される。このことから、更生保護施設が機能していないという評価を行うことは早計である。政府としては、こうした入居格差を改善するために、何らかの対策を講じているか。
四 更生保護施設によっては、入所者を選別し、入所を拒否するケースもあると聞く。こうした入所者の選別は、出所後に効果的な改善更生と円滑な社会復帰を図るために、個々の受刑者の特性に応じたきめ細かな処遇を実現する拘禁刑下の矯正処遇等の理念になじまないと考えるが、政府の見解を伺いたい。
右質問する。

