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令和七年十一月四日提出質問第四〇号
首相官邸の人事構成における民間人材の比率及び利益相反防止策に関する質問主意書
提出者 八幡 愛
首相官邸の人事構成における民間人材の比率及び利益相反防止策に関する質問主意書
前政権に対して私が提出した質問で、首相官邸に勤務するスタッフのうち、民間企業等からの出向者が占める割合を明らかにするよう求めた。これは、行政の中枢における政策立案過程の透明性と公正性を確保するためには、官邸の人事構成を統計的に把握し、民間出向の実態を国民が検証できるようにすることが不可欠であるとの認識に基づくものである。
政府は答弁書(内閣衆質二一七第三二七号)で、「「民間出向者」及び「首相官邸の人事構成における民間人材」の具体的に指し示す範囲が明らかではないが、総理大臣官邸(以下「官邸」という。)に勤務する者の数やその業務内容等を明らかにすることは、官邸の警備等に支障を来たすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。」としたが、当初の質問の核心は個別の配置人数や業務内容ではなく、民間人材の比率という統計的事実そのものの開示であり、これについて一切数値を示さなかったのは不当であると考える。統計上の比率は個々の部署・人員配置を特定する情報に当たらず、警備上の支障を生じさせるものではないと考える。
よって、新政権においても同趣旨を改めて確認し、範囲と定義を明確化したうえで、比率のみの開示を改めて求めるとともに、利益相反の観点から名刺配付行為に関する規律の不備についても質問する。
本主意書における「民間出向者」とは、民間企業その他の民間団体に在籍したままの身分で内閣官房に出向して勤務する一般職の国家公務員をいう(顧問・参与等の特別職、並びに警察官等は含まない)。「比率」とは、当該範囲に属する一般職職員総数(分母)に対する「民間出向者」数(分子)の百分率をいう。分母・分子の数値を併記すること。「基準日」は各年度末(毎年三月三十一日)とする。
一 前記定義及び基準日に基づき、最新年度における民間出向者の比率(分母・分子及び百分率)を示されたい。
二 同様に、二〇一一年度から最新年度までの各年度について、民間出向者の比率(分母・分子及び百分率)の推移を示されたい。
三 なお、なおも警備上の支障を理由として一及び二の開示が困難であるとする場合には、支障のない最大限の範囲で、例えば内閣官房全体としての比率、又は十%刻み等の階級幅による比率など、代替的な統計を示されたい。併せて、その選定理由を示されたい。
四 前回答弁では、一般職の国家公務員につき「出向元の企業・組織の名刺を配付する」行為を直接に制限する法令は存在しない旨が示された。官邸勤務における利益相反の防止及び不適切な影響の遮断の観点から、前記行為を禁止する内規又は通達を速やかに整備する考えの有無を示されたい。併せて、整備する場合のスケジュール(策定主体、手続、適用開始日)を示されたい。
五 前記四に関連し、当該行為を禁止する規定を置く必要がないと政府が判断している場合は、その判断理由(現行制度で十分とする具体的根拠、想定リスクの評価、監督・是正手段の実効性等)を明確に示されたい。
六 「実務上、民間から政府へ出向した職員と官公庁内で名刺交換を行ったところ、後日、出向元企業のメールマガジンが当該連絡先に配信されるようになった」との報告が寄せられている。政府は当該事案の有無及び実態を把握しているか。把握していない場合は直ちに調査し、結果及び講じた措置(再発防止策を含む)を示されたい。
七 官邸勤務の職員(前記定義にいう民間出向者を含む)が職務上取得した連絡先を、出向元を含む第三者の営業・宣伝・広報に利用することを明確に禁ずる運用基準の策定の有無と、このような情報の流出に係る危険性についての政府の見解を示されたい。
右質問する。

