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令和七年十一月六日提出質問第四九号
土壌医の位置付けに関する質問主意書
提出者 八幡 愛
土壌医の位置付けに関する質問主意書
我が国における農業の持続可能性確保及び環境保全の推進において、土壌の健全性は極めて重要な基盤である。健全な土壌は食料生産を支えるだけでなく、水質浄化や炭素貯留を通じて気候変動対策にも寄与し、国土保全や地域生態系維持の観点からも不可欠である。
みどりの食料システム戦略では、化学肥料・農薬の使用削減等を目標として掲げており、これらを実現するためには、現場で土壌診断や改良の助言を行う専門人材の育成と制度的な位置付けが求められる。
しかしながら、現在「土壌医」は民間団体による認定資格であり、国家資格のような法的根拠を有していないほか、行政施策や支援制度における明確な位置付けがないため、責任の所在、雇用・活用制度、教育体制などにおいて課題が指摘されている。
これらを踏まえ、「土壌医」をはじめとする土壌専門人材の行政施策等への位置付けの可能性について政府の認識を確認するため、以下、政府に質問する。
一 政府は、「土壌医」が行政上も位置付けられていない現状が、農業・環境・地域振興等の施策において専門人材の活用を制約していると認識しているか。認識している場合は、具体的な支障の内容を示されたい。
二 現在、農林水産省又は地方公共団体が実施する公的事業(例:土壌診断、環境保全型農業支援、営農指導等)において、「土壌医」資格が明示的な要件又は評価基準として活用されている制度があるか。ある場合は制度名を挙げ、ない場合はその理由を示されたい。
三 政府は、今後「土壌医」資格を国家資格又は行政施策等への位置付けを制度化する検討を行っているか。行っている場合は検討主体と進捗を、行っていない場合はその理由を示されたい。
四 欧州連合の農業アドバイザリー制度(Farm Advisory System)や米国農務省自然資源保全局(NRCS)等における土壌専門職制度と比較して、日本の「土壌医」の制度的位置付けや課題について、政府の見解を示されたい。
五 土壌専門人材の行政施策等への位置付けに関し、制度設計(所管、試験、登録、移行措置等)及び費用対効果(制度整備コストと環境・生産性・雇用への便益)について、政府は試算や検討を行っているか。実施している場合は概要を、実施していない場合はその理由を示されたい。
六 農林水産省、環境省、国土交通省、林野庁等の関係府省庁間で、土壌専門人材の制度的活用を協議する会議体や連携文書が存在するか。存在する場合はその名称と設置時期を、存在しない場合は今後の検討予定を示されたい。
七 スマート農業や気候変動対策の推進に際し、リモートセンシングやAI等の技術と連携し、地域単位で土壌状態を評価・助言できる専門人材として「土壌医」を制度的に位置付ける必要性について、政府の見解を示されたい。
右質問する。

