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令和七年十一月六日提出
質問第五〇号

AV新法に必要な見直しの着手に関する質問主意書

提出者  八幡 愛




AV新法に必要な見直しの着手に関する質問主意書


 二〇二二年六月二十三日に施行された「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律(いわゆるAV新法)」は、民法改正により成年年齢が引き下げられることを契機として、出演者の権利保護及び契約の適正化を目的に制定された。
 同法附則には、施行後二年を目途に必要な見直しを行う旨が明記されているが、施行から三年半を経過した現時点においても、政府が当該見直しに着手した形跡は確認できない。
 同法制定前の国会審議や参考人質疑においては、「本法が過度な規制となり、一部の業者・出演者が地下化し、より深刻な人権侵害が生じるおそれがある」との懸念が複数の専門家から示されていた。
 実際、AV新法の施行後には、従来の制作現場における契約管理が厳格化された一方で、その枠外で活動する業者や個人の動きが増加しているとの指摘がある。とりわけ、いわゆる海外出稼ぎ売春や、国外サーバーを利用した無修正映像の違法配信、さらにはライブチャットや個人撮影型配信等における過酷な就労・出演実態が報道や支援団体の調査等を通じて明らかになりつつあると承知している。これらの行為は、法の適用や監視の及ばない領域で行われており、出演者の安全確保や契約上の救済が著しく困難となっているとの懸念も示されている。こうした状況は、表面化しにくい形で出演者の心理的・経済的負担を増大させ、むしろ搾取構造を温存し、地下化させる結果を招いている可能性が高いと考える。
 業法の目的は、権利保護と産業の健全化の両立にあるべきであり、現行のAV新法がその実効性を維持しているか否かを検証することは、立法府の責務であると考える。
 よって、政府の見解を明らかにするため、以下質問する。

一 附則に基づく見直しの実施状況について
 1 附則において二年以内の見直しが規定されているが、政府として、いかなる時点で、どのような形で見直し作業を行ったのか。
 2 もし見直しを実施していない場合、その理由及び法的根拠を明らかにされたい。
二 地下化及び新たな人権侵害の発生について
 1 AV人権倫理機構等から指摘されている「地下化」の進行や、無修正映像・海外撮影・違法ライブチャット等の増加に関し、政府として実態を把握しているか。把握しているならば、可能な限りその事例及び件数を示されたい。
 2 把握していない場合、その理由は何か。また、把握しないままに放置することは、同法制定時の立法趣旨と矛盾すると考えるが政府の見解如何。
 3 AVコンテンツの地下化が進行した原因について、政府としてどのように分析しているか。
三 新法の履行状況及び取消権行使の実態について
 1 同法に基づく契約の履行状況、特に出演者の取消権(いわゆる無理由解除権)がどの程度行使されているか、政府は把握しているか。把握しているならば、可能な限りその事例及び件数を示されたい。
 2 把握していない場合、その理由を示されたい。また、把握していないのであれば、早急に実態調査を行うべきであると考えるが政府の見解如何。
四 十八歳、十九歳の出演状況及び保護体制について
 1 新法制定の背景には成年年齢引下げがあったが、新法施行後の十八歳及び十九歳の出演実態について、政府はどの程度把握しているか。把握しているならば、可能な限りその事例及び件数を示されたい。
 2 当該年齢層に対する相談支援、契約時説明、及び同意撤回に関する制度運用状況を、可能な限り具体的に示されたい。
五 重篤案件及び金銭流通構造の把握について
 1 新法施行後も依然として「出演者に渡る報酬が全体の二〜三%程度にとどまる」との指摘があるが、この点を政府は確認しているか。
 2 プラットフォーム、制作者、プロダクション、スカウト等の間における金銭流通構造を、政府としてどのように分析しているか示されたい。
 3 いわゆる出演強要防止対策が導入された二〇一六年当時と比較して、プロダクションの取引実態にどのような変化が生じているか、政府の認識を示されたい。
六 今後の調査及び政策評価について
 1 AV新法の効果及び副作用を客観的に検証するため、第三者を含む実態調査を実施する考えはあるか。
 2 同法における「一か月・四か月ルール」及び「オムニバス契約」の運用実態を、政府はどの程度把握しているか。把握しているならば、可能な限りその事例及び件数を示されたい。
 3 これらの制度が本来の目的どおり機能しているかを検証し、必要に応じて改正を行う考えはあるか。
 
 右質問する。

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