質問本文情報
令和七年十一月七日提出質問第五四号
持続可能な地域医療のための公立病院への経営支援に関する質問主意書
提出者 三角創太
持続可能な地域医療のための公立病院への経営支援に関する質問主意書
地域医療を支える全国の公立病院が、極めて厳しい経営難に陥っている。令和四年度に三割強であった赤字の公立病院の割合は、令和五年度に七割、令和六年度には八割強に増加し、赤字額も増加の一途をたどっている。昨今の物価高騰によりエネルギーコストや医療材料費がかさむとともに、人件費や委託費も増大しているが、これらのコスト上昇に、昨年度に実施された診療報酬の改定が十分に対応できていないため、経営の改善は到底見込めないのが現状である。加えて、慢性的な医師・看護師不足が続く中、少ないスタッフで膨大な量の業務を行わざるを得ず、疲弊するばかりで賃金も十分には上がらないため、医療従事者の離職が相次ぐといった悪循環に陥っている。
公立病院は、民間が参入しにくい不採算医療(小児・周産期・救急等)を担い、地域の基幹病院として、持続可能な地域医療のために重要な役割を果たしている。経営悪化や人材流出による地域医療の崩壊を防ぐため、政府を挙げて様々な政策を動員し、公立病院を支援していく必要がある。
地元である春日部市でも、全国の状況と同様に公立病院の経営状況は非常に苦しい。市立医療センターでは、総務省の「公立病院経営強化ガイドライン」に基づき、令和六年度から九年度までの四年間を期間とする「春日部市立医療センター経営強化プラン」を策定し、目標達成に向けて取り組んでいるものの、物価高騰や人事院勧告による、職員給与増に対して適時の手当がなされなかった影響を大きく受け思うように成果が上がっていないのが現状である。
これに関連し、次の事項について質問する。
一 総務省は、公立病院が担う重要な役割を踏まえて地方財政措置を講じてきたとの見解を示しており、令和七年度においては、「不採算地域における医療提供体制を確保するため、不採算地区病院等への特別交付税措置の基準額の三十パーセント引上げ(令和三年度から実施)を継続」、「へき地医療拠点病院等である場合には、訪問看護や遠隔医療に要する助成経費を新たに特別交付税措置の対象に追加」、「資金繰りを支援するために新たな地方債を創設」等の取組を行っている。しかし、公立病院の経営難への対策は対象や条件が限定され過ぎており、金額も不十分であるため、追加支援が急務だと認識している。そこで、赤字の公立病院の経営を、物価高騰に対応するため緊急的に支える補助金制度(人件費や燃料費等に充てることができるもの)を創設する予定はあるのか、また、公立病院に係る地方交付税の算定基準の更なる引上げなど、地方財政措置の拡充を行う予定はあるのか、政府の認識を示されたい。
二 診療報酬の改定について、政府からは、令和七年四月二十四日の総務委員会における答弁で、「昨年度の改定で一定の措置を講じた」との見解が示されているが、この時から更に時間が経過し、物価高騰や人件費上昇が病院経営を著しく圧迫している。次期診療報酬改定に向けて、どのような認識の下で、ベースアップ評価料の増額を含む大幅な診療報酬の引上げに取り組んでいくのか、政府の見解を伺いたい。また、日本医師会の松本会長が十月一日の定例会見において、令和八年度診療報酬改定について「(次の診療報酬改定までの二年間の間に)物価・賃金が大きく上昇した場合については、それに応じて適切に対応する新たな仕組みの導入の検討を明確化しておく必要がある」旨の発言をしたと報道されているが、これについての政府の考えを伺いたい。
右質問する。

