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令和七年十一月十七日提出質問第七八号
教員による盗撮・わいせつ事件の多発に伴う学校安全対策に関する質問主意書
提出者 長友よしひろ
教員による盗撮・わいせつ事件の多発に伴う学校安全対策に関する質問主意書
近年、教員による児童生徒への盗撮・わいせつ行為が全国各地で相次いで摘発されており、教育現場の安全性と信頼性が大きく揺らいでいる。
文部科学省が公表した令和五年度の公立学校教職員の人事行政状況調査によれば、児童生徒や同僚への性犯罪・性暴力及びセクシャルハラスメントにより懲戒処分及び訓告等(以下「処分等」という。)を受けた公立学校教員は三百二十人に上り、過去最多を記録した。そのうち百五十七人が児童生徒への性暴力等による処分等であり、免職が百五十五人、停職が二人とされている。
また本年、複数の教員が児童の盗撮画像をSNS上で共有していた事件が摘発され、全国民に衝撃を与えた。こうした事案は、学校が子どもにとって最も危険な場所となり得る現実を突き付けており、教育行政の抜本的な見直しが不可欠である。
とりわけ、こうした人物が教員として採用されていたという事実は、採用段階における選考・審査体制の不備を示すものであり、教員採用制度そのものの信頼性が大きく損なわれている。
学校現場における教員に対する持ち物検査や行動監視、定期的な身辺調査等の実施についても、児童生徒の安全を最優先に考えるならば、制度的に検討されるべき段階にきていると言える。
こうした状況を踏まえ、以下質問する。
一 教員による盗撮・わいせつ事件の件数と傾向について
1 近年処分等を受けた教員のうち、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律(以下「教員性暴力等防止法」という。)第二条第三項第四号ロに規定する盗撮行為及び同項第二号に規定するわいせつな行為によるものの件数及びその推移、地域分布について、政府として把握している内容・状況をそれぞれ示されたい。
2 1の処分等を受けた教員の年齢層、学校種別、処分権者又は学校による処分等の対象行為に係る認知の経緯(通報・相談等)に関する統計的分析を示されたい。
二 教員採用制度の見直しについて
1 児童生徒への性犯罪を行った教員が採用されていた事実を踏まえ、採用段階における特定免許状失効者等であることの確認並びに人物評価・適性審査の在り方に制度的欠陥があったと考えるが、政府の認識を示されたい。
2 採用時における性犯罪歴の確認、心理適性検査、面接の厳格化等を含めた教員採用制度の抜本的見直しを検討しているか。
三 教員の監視・検査体制の強化について
1 教員による盗撮・わいせつ行為の未然防止のため、学校内における教員に対する持ち物検査、私物端末の管理、行動監視、定期的な身体検査等の導入について、政府の見解をそれぞれ示されたい。
2 教員に対する行動監視におけるプライバシーの保護と児童生徒の安全確保との調整について、政府としての基本的な考え方を示されたい。
四 制度的対応と再発防止策について
1 文部科学省が本年七月に発出した「児童生徒性暴力等の防止等に関する教師の服務規律の確保の徹底について(通知)」の具体的内容及び全国の教育委員会における対応状況をそれぞれ示されたい。
2 教員性暴力等防止法に基づく性暴力の防止等に関する研修(第十三条)の実施状況及び児童生徒性暴力等の被害に関する通報・調査体制(第十八条及び第十九条)の整備状況についてそれぞれ明らかにされたい。
3 日本版DBS制度の運用開始に向けた準備状況及び教育委員会による特定免許状失効者等に関するデータベース活用の実態をそれぞれ示されたい。
五 児童生徒性暴力等の被害児童生徒及び保護者への支援体制について
1 被害児童生徒に対する心理的支援、学習保障、転校支援等の現状の取組をそれぞれ示されたい。
2 保護者への相談支援体制、情報提供、再発防止に向けた協働の仕組みについてそれぞれ明らかにされたい。
六 教育行政の信頼回復に向けた方針について
1 教育現場の安全性を確保するため、政府としてどのような中長期的制度改革を構想しているか。
2 教員採用・管理体制の抜本的見直し、教員に対する学校内監視体制の整備、第三者機関による監査制度の導入について検討状況をそれぞれ示されたい。
右質問する。

