衆議院

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令和八年四月九日提出
質問第八号

非関税障壁に関する質問主意書

提出者  緒方林太郎




非関税障壁に関する質問主意書


一 米国政府から指摘されている日本の豚肉輸入における非関税障壁について
 1 米国の通商代表部(USTR)の「外国貿易障壁報告書(National Trade Estimate, NTE)」二〇一九年から二〇二五年発行まで非関税障壁の項目に一貫して日本には「米国産豚肉に対して可変課徴金として機能する貿易歪曲的な「分岐点価格制度」(差額関税制度)の対象となっている」(U.S. pork exports to Japan are subject to a trade-distorting "gate price mechanism" that functions as a variable levy.)と述べられている。米国側が示す当該認識を日本政府として受け入れられるか。
 2 当該NTEの指摘においては、環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)以降の経済連携協定で実施されている差額関税制度のみならず、WTO農業協定が発効した平成七年一月一日から実施されてきた差額関税制度についても、著しく貿易歪曲的な非関税障壁である可変課徴金として問題視されたと思われるが、政府としての見解如何。
 3 同報告書が、豚肉の差額関税制度をWTO農業協定に違反する非関税障壁であると公然と指摘してきたことに対して、日本政府はこれまで何らかの反論や異議を米国政府に対して伝えた事があるか確認ありたい。そのような反論や異議を述べてこなかった場合、その理由についても答弁ありたい。
 4 二〇二五年七月七日付のトランプ大統領から当時の石破茂首相あての親書では三回にわたり執拗に日本の非関税障壁、貿易障壁を批判している。具体的には「我々は日本との貿易関係について長年議論を重ねてきたが、日本の関税及び非関税政策並びに貿易障壁によって生じた長期的かつ非常に根深い貿易赤字から脱却しなければならないという結論に至った。(We have had years to discuss our Trading Relationship with Japan, and have concluded that we must move away from these longterm, and very persistent, Trade Deficits engendered by Japan's Tariff, and Non Tariff, Policies and Trade Barriers.)」、「これらの関税は、米国に対する持続不可能な貿易赤字を引き起こしている長年にわたる日本の関税及び非関税政策並びに貿易障壁を是正するために必要なものであることをご理解いただきたい。(Please understand that these Tariffs are necessary to correct the many years of Japan's Tariff, and Non Tariff, Policies and Trade Barriers, causing these unsustainable Trade Deficits against the United States.)」、「貴国がこれまで閉鎖されていた貿易市場を米国に開放し、日本の関税及び非関税政策並びに貿易障壁を撤廃することを希望される場合、私たちはおそらくこの書簡の修正を検討するであろう。(If you wish to open your heretofore closed Trading Markets to the United States, and eliminate your Tariff, and Non Tariff, Policies and Trade Barriers, we will perhaps consider an adjustment to this letter.)」といった記載がある。当該トランプ大統領親書にある「非関税障壁」があると考えているか。ある場合、それは何を指していると考えるか。また、日本政府はこれらの指摘に対して反論したのか。した場合、どのような反論を行ったのか。
二 衆議院議員森山浩行君提出豚肉の差額関税制度に関する質問に対する答弁書(内閣衆質一九六第二四七号)において、次のような答弁がある。
 「一般的には、「通常の関税」とは、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定に附属する各国の譲許表の税率欄に関税率が記載されている一般の関税、「可変輸入課徴金」とは、輸入貨物に課せられる一種の課徴金であって、その金額が個別の法令上又は行政上の措置を要しない仕組みにより自動的に絶えず変化し、かつ、不透明で予測不可能なもの、「最低輸入価格」とは、輸入貨物の価格としきい値価格との差額に基づいて決定される関税を課することによって、当該輸入貨物が当該しきい値価格を下回って国内市場に入ることのないようにする措置と考えられている。」
 1 衆議院議員緒方林太郎君提出豚肉輸入と通商法との関係に関する質問に対する答弁書(内閣衆質二〇八第七四号)において、可変輸入課徴金に関し、次のような答弁がある。
  「豚肉の差額関税制度は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書Aの農業に関する協定第四条2に規定する通常の関税であり、また、我が国が締結している経済連携協定等又は関係国内法令によりあらかじめ定められた関税率が適用されている関税であるため、「輸入貨物に課せられる一種の課徴金ではない」こと、「その金額が個別の法令上又は行政上の措置を要しない仕組みにより自動的に絶えず変化しない」こと及び「不透明で予測不可能なものではない」ことから、御指摘の「可変輸入課徴金」には当たらないと考えている。」
  ア 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Aの千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定第一条1における「関税」と「課徴金」はそれぞれ何を指していると考えるか。
  イ 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定に附属する各国の譲許表の税率欄に関税率が記載されている一般の関税は、すべてWTO農業協定第四条2にある「通常の関税」なのか。
  ウ 我が国が締結している経済連携協定等又は関係国内法令によりあらかじめ定められた関税率が適用されている関税であれば、常に「その金額が個別の法令上又は行政上の措置を要しない仕組みにより自動的に絶えず変化しない」と言えるのか。
  エ 我が国が締結している経済連携協定等又は関係国内法令によりあらかじめ定められた関税率が適用されている関税であれば、常に「不透明で予測不可能なものではない」と言えるのか。
  オ 差額関税制度は、輸入申告価格に応じて、関税の金額が個別の法令上又は行政上の措置を要しない仕組みにより自動的に絶えず変化している。アからエまでの答弁を踏まえつつ、何故、政府は差額関税制度が可変課徴金として機能していないと考えているのかを論理的に説明ありたい。
 2 衆議院議員緒方林太郎君提出豚肉輸入と通商法との関係に関する質問に対する答弁書(内閣衆質二〇八第七四号)において、最低輸入価格に関し、次のような答弁がある。
  「豚肉の差額関税制度は、一定の基準輸入価格を基に定められる分岐点価格を境に、分岐点価格を超える価格の豚肉にあっては従価税を、分岐点価格以下の価格の豚肉にあっては従量税を課すとともに、分岐点価格前後の価格の豚肉について課税後の価格が逆転しないよう関税の率を定めているものであり、また、当該制度において分岐点価格より高価格の部位と低価格の部位を組み合わせ、一括して課税価格を算出して豚肉を輸入すること又は従量税を納めて豚肉を輸入することにより、基準輸入価格未満の価格の豚肉を輸入することも可能であることから、「輸入貨物の価格としきい値価格との差額に基づいて決定される関税を課していない」こと及び「輸入貨物がしきい値価格を下回って国内市場に入ることのないようにする措置ではない」ことから、御指摘の「最低輸入価格」には当たらないと考えている。」
  ア GATTウルグアイ・ラウンド妥結時にはこのような説明をしていなかった。このような説明をするようになったのはいつからか。
  イ 日本の豚肉の差額関税制度では豚部分肉の輸入申告価格によって以下のように関税が徴収されるということで間違いないか。
   ・輸入価格六十四・五三円/kg以下の場合 従量税四百八十二円/kg
   ・輸入価格六十四・五三円から五百二十四円/kgの場合 差額関税となり、関税率は輸入申告価格によって四百八十二円から二十二・五三円まで変化する
   ・輸入価格五百二十四円/kg以上の場合 従価税四・三%
  ウ 衆議院議員森山浩行君提出豚肉の差額関税制度に関する質問に対する答弁書では「従量税とは、一般に、輸入貨物の数量を課税標準として税額が決定されるものをいい、その課税標準に乗ずる一定の数量単位当たりの金額を従量税率という。」とある。分岐点価格以下の価格の豚肉に課されている従量税の税率を答弁ありたい。また、それは「課税標準に乗ずる一定の数量単位当たりの金額」か。
  エ 分岐点価格前後の価格の豚肉について課税後の価格が逆転しないよう関税の率を定めた後、輸入貨物の数量を課税標準として税額が決定されていると言えるか。輸入価格六十四・五三円から五百二十四円/kgの場合では、税率は「一定の数量単位当たりの金額」ではなく、輸入価格に応じて変動しているのではないか。
  オ 分岐点価格前後の価格の豚肉について課税後の価格が逆転しないよう関税の率を定めた後であっても、差額関税制度はWTO農業協定第四条2に規定する「通常の関税」か。
  カ 現行の差額関税制度は、過去の累次答弁にあるような「せきとめ価格」として機能しているか。機能している場合、その機能について説明ありたい。
  キ 高価格部位と低価格部位のコンビネーション輸入によって、低価格部位も輸入可能であるから「最低輸入価格」ではないとの説明に関し、このコンビネーション輸入は一九七一年の豚肉の自由化後に始まったものであり、GATTウルグアイ・ラウンド交渉時も輸入の大半がコンビネーション輸入であった。そして、同交渉妥結時、旧差額関税制度が廃止となったのは、最低輸入価格とみなされたからである。もし、コンビネーション輸入により旧差額関税制度が最低輸入価格に当たらないという理屈が通用するなら、そもそも廃止する必要は無かったと思われる。何故、旧差額関税制度の制度改正を行う必要があったのか。また、これらを踏まえれば、コンビネーション輸入があるから最低輸入価格ではないとの理屈は通用しないと思われるが見解如何。
 3 1及び2への答弁を踏まえ、差額関税制度は、WTO農業協定第四条2にある「通常の関税に転換することが要求された措置その他これに類するいかなる措置」に当たるのではないか。
三 差額関税制度の憲法上の正当性について
 日本国憲法第九十八条第二項においては「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」とあり、衆議院議員緒方林太郎君提出憲法の幾つかの規定に関する質問に対する答弁書(内閣衆質二一九第二五号)においても、「条約及び確立された国際法規が法律に優位すると解される。」とある。これを踏まえ、WTO農業協定第四条2は豚肉差額関税制度を規定する関税暫定措置法に対して優位するとの理解で差し支えないか。その結果、関税暫定措置法の規定、解釈、適用は、WTO農業協定第四条2に適合していると言えるか。

 右質問する。

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