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答弁本文情報

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平成十三年四月六日受領
答弁第三三号

  内閣衆質一五一第三三号
  平成十三年四月六日
内閣総理大臣 森   喜 朗

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員佐々木秀典君提出弁護士法第二三条の二に基づく照会に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員佐々木秀典君提出弁護士法第二三条の二に基づく照会に関する質問に対する答弁書



一について
政府としては、弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第二十三条の二に基づく照会があった場合に、地方公務員が地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十四条又は地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二十二条の規定にかかわらずこれらの条に規定する秘密に該当する事柄を報告することができるか否かについては、次のように考える。

1 弁護士法第二十三条の二の規定に基づく照会制度は、弁護士が受任事件について、訴訟資料等の収集、事実の調査等、職務活動の円滑な遂行に資するべく設けられた規定であると考える。この制度は、弁護士の受任事件が訴訟事件となった場合には当事者の立場から裁判所の行う真実の発見と公正な判断に寄与するという結果をもたらすという点で公共的な側面を有すると考えられるが、同条でいう「受任している事件」は、委託を受けて、示談交渉、契約締結、法律相談、鑑定等を行う事件も含み、受任している訴訟事件に限られるものではない。
2 一方、地方公務員法は、第三十四条において、住民の信託を受けて公務の遂行にあたる職員が職務上知り得た秘密を漏らすことは公務の遂行を職員に信託した住民の信頼を裏切ることになることから、公務員に秘密を守る義務を課すとともに、第六十条において、この守秘義務に違反した場合の罰則を定めている。
また、地方税に関する調査に関する事務に従事している者自身が私人の秘密を知ることは、地方税の賦課徴収に必要であり、やむを得ないところであるが、右の事務に従事している者がその事務に関して知り得た私人の秘密をその意に反して第三者に知らせることは、地方税の賦課徴収に必要な限度を超えるものであり、ひいては納税者の税務当局に対する信頼を失わせ、税務行政の適切な遂行を損なうおそれがあることから、地方税法第二十二条はこのように秘密を漏らした場合においてはこれを罰することとしている。
3 弁護士法第二十三条の二の規定に基づく弁護士会からの照会の対象事項が、地方公務員法第三十四条又は地方税法第二十二条に規定する秘密に該当する場合には、秘密に該当する事項を開示することが正当視されるような特段の事由が認められない限り、秘密を漏らした者は地方公務員法第六十条又は地方税法第二十二条に規定する刑罰の対象となることから、照会に応じて当該事項を報告することは許されないものと解している。
なお、個別の事例において、秘密に該当する事項を開示することが正当視されるような特段の事由が認められるか否かを地方公共団体が判断するためには、弁護士会の照会の中で、照会に応じた報告を受けることによって得られる公共的な利益の内容がそれぞれの事例に即して具体的に明らかにされていることが必要であると考える。
また、最高裁判所は昭和五十六年四月十四日の判決において、弁護士法第二十三条の二に基づく弁護士会の前科等の照会について、「前科等の有無が訴訟等の重要な争点となつていて、(中略)照会して回答を得るのでなければ他に立証方法がないような場合には、(中略)弁護士法二三条の二に基づく照会に応じて報告することも許されないわけのものではないが、その取扱いには格別の慎重さが要求される」として、「市区町村長が漫然と弁護士会の照会に応じ、犯罪の種類、軽重を問わず、前科等のすべてを報告することは、公権力の違法な行使にあたると解するのが相当である。」と判示していることに留意する必要がある。

二について
総務省としては、弁護士法第二十三条の二に基づく照会があった場合に、各地方公共団体において一についてで述べた趣旨を十分理解した上での対応がなされるよう、今後とも助言等を行ってまいりたい。


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