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答弁本文情報

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平成十三年三月三十日受領
答弁第三九号

  内閣衆質一五一第三九号
  平成十三年三月三十日
内閣総理大臣 森   喜  朗

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員辻元清美君提出ペルー共和国前大統領アルベルト・フジモリ氏に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員辻元清美君提出ペルー共和国前大統領アルベルト・フジモリ氏に関する質問に対する答弁書



一の1について

 市区町村長は、当該市区町村に本籍を有し又は有することとなる者について、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)第四十九条の出生の届出等を受理し、戸籍の記載手続を完了したときは、その届書等を法務局若しくは地方法務局又はその支局に送付することとされている。また、市区町村長は、戸籍事務の処理に際し、国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)第十四条第一項の規定により国籍の選択をすべき者が同項に定める期限内にその選択をしていないと思料するときは、その者の氏名、本籍等を法務局又は地方法務局の長に通知しなければならないこととされている。これらの手続により、政府として日本国籍のほかに外国の国籍を有している者を把握することが可能である。

一の2について

 昨年十一月下旬から十二月上旬にかけて、アルベルト・フジモリ氏(以下「フジモリ氏」という。)が出生により日本国籍を取得したか否か及び日本国籍を取得した場合に当該日本国籍を喪失していないか否かについて、国籍法に照らして確認作業を進めた結果、昨年十二月十一日までにフジモリ氏が日本国籍を保持しているという事実を確認したものである。

一の3について

 フジモリ氏は、来日後日本国籍が確認されるまでの間「外交」の在留資格をもって滞在していた。

一の4について

 フジモリ氏がペルーの大統領に就任した時点においては、フジモリ氏の日本国籍の有無を確認していない。
 なお、その時点で、フジモリ氏の国籍の確認を必要とする事情は存在しなかった。

一の5について

 在本邦ペルー大使館からは、昨年十一月十九日にフジモリ氏が大統領職を四十八時間以内に辞任するとの報告は受けたが、解任の通知又は地位変更の要請は受けていない。フジモリ氏が同月二十二日に大統領職を罷免されたことは在ペルー日本国大使館からの情報により確認した。
 フジモリ氏は、昨年十二月二十二日にペルー国会により大統領職を罷免された後も引き続き「外交」の在留資格で滞在していたが、その後同氏が当面我が国に滞在する可能性に言及したことを受けて、その法的問題の整理の一環として日本国籍の有無の確認作業を行った結果、日本国籍を有していることを確認したものである。

二の1について

 ペルー政府から、フジモリ氏を被疑者とする同国の刑事事件について、国際捜査共助法(昭和五十五年法律第六十九号)に定める共助の要請その他の捜査上の協力要請を受けた事実はない。
 なお、ペルーの国家情報局顧問であったモンテシノス氏を被疑者とする同国の刑事事件については、昨年十二月十三日国際刑事警察機構から協力要請を受け、また、本年二月二日同国政府から共助の要請を受けているところであり、被疑事実の内容及び同国国内で採られている手続について照会等を行うとともに、外国に対する共助等を行う際の要件、手続等を定める国際捜査共助法に照らして、我が国としての対応を検討しているところである。これらの要請の詳細については、外国当局の刑事事件の捜査にかかわる事柄であるので、答弁を差し控えたい。

二の2について

 ペルー司法当局から、フジモリ氏に対する同国の刑事被告事件について、司法共助の要請を受けた事実はない。なお、本年二月十五日ペルー司法当局から、チャールス・アセロール・コクラン等に対する国家及び国家防衛に対する罪等に関する同国の刑事被告事件について、フジモリ氏の証人尋問を求める司法共助の要請は受けている。

二の3について

 御指摘のペルー国会の委員会によるフジモリ氏の喚問に関連し、在本邦ペルー大使館を通じて抗議した事実はない。
 ペルー国会の調査委員会による我が国政府への協力要請としては、在本邦ペルー大使館を通じてフジモリ氏に対する召喚状の転送要請があった。当該召喚状は、ペルーの国内法上手交することにより証人に対して出頭の義務が生じるものであるが、我が国の国内法上このような文書の送達要請に対応する法的枠組みは存在しないことから、在本邦ペルー大使館を通じ当該召喚状のフジモリ氏に対する転送はできない旨を回答した。
 捜査共助は、被要請国の捜査機関によって実施され、また、その実施に当たっては被要請国の司法当局の審査を経る場合も多いことから、要請国において被要請国が求める言語による翻訳文を作成して送付することが国際的慣行となっており、第四十五回国連総会で採択された刑事関係共助に関するモデル条約においても、要請国が翻訳文を添付すべきであるとの規定がある。このような慣行に従って、我が国は他国への要請に当たって翻訳文を添付する一方、我が国に捜査共助を要請する国に対し翻訳文の添付を求めている旨をペルー政府に伝達し、同政府は翻訳文の作成を異議なく了承したものである。なお、従前我が国からペルーに対して捜査共助を要請した際に、スペイン語による翻訳文を作成して添付した経緯がある。

二の4について

 一般論として、警察による警護の法的根拠は警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第二条第一項である。

二の5について

 お尋ねの点は、仮定の事実を前提としたものであり、お答えすることは困難である。
 なお、一般論としていえば、外国からの逃亡犯罪人引渡請求については逃亡犯罪人引渡法(昭和二十八年法律第六十八号)に照らして引渡しの可否を判断することとなるが、同法は、引渡犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合に当該行為が日本国の法令により死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役又は禁錮に処すべき罪に当たるものでないとき(同法第二条第四号)、逃亡犯罪人が日本国民であるとき(同条第九号)等には、当該逃亡犯罪人を引き渡してはならないと定めている。

二の6について

 一般に、自国の領域内にいる人物をいかなる場合に外国に引き渡すかについては、各国の判断にゆだねられている。逃亡犯罪人引渡法は、逃亡犯罪人が日本国民であるときは外国に引き渡してはならない旨を定めているので、日本国民については、その者が同時に外国の国籍を有するか否かにかかわらず、引き渡すことはできない。

二の7について

 御指摘の拷問事件とは何を指すかが明らかでなく、また、仮定の事実を前提としたお尋ねであるので、お答えすることは困難である。

三の1から3までについて

 ペルーにおいては、フジモリ政権発足前はテロリストによるテロ活動により多くの人命が失われていたが、フジモリ氏は大統領就任後、テロ対策及び治安の回復のために軍、警察及び情報機関を動員し、治安を改善した。他方、国際社会においては、ペルーの人権状況に懸念を呈する意見もあることは承知している。政府としては、明治六年に中南米諸国の中で最も早く外交関係を樹立して以来ペルーとの間で友好協力関係を築いてきたこと及び明治三十二年のペルー移住者を最初として現在約八万人に上る日系人が同国に在住するようになったことを背景として、フジモリ政権発足以前から、経済発展を支援し、貧困等の社会問題を緩和することを目的として、同国に対する援助を行ってきたものである。
 フジモリ氏の国籍等については、我が国の法令に従って対応したものであり、このことによって国益が損なわれているとは考えていない。また、政府としては、ペルーの政治的安定と民主主義が強化されるよう、対ペルー政策を変更することなく、同国の経済社会開発を引き続き支援していく考えである。

三の4について

 仮定の事実を前提としたお尋ねであり、お答えすることは困難である。

三の5について

 政府として私人である日本国民の出国について働きかけを行うことは困難である。

四の1について

 ビクトル・アリトミ氏は在本邦ペルー大使の任務終了後私人として我が国に滞在しているものであり、同氏の在留資格については、個人のプライバシーにかかわるものであることから、答弁を差し控えたい。

四の2について

 昨年十二月十九日付けの在本邦ペルー大使館発口上書により、アリトミ大使の任務は終了している旨の通報を受け、同月二十日付け同大使館発口上書により、同氏の在留資格変更の要請を受けている。



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