答弁本文情報
平成十三年四月二十日受領答弁第五二号
内閣衆質一五一第五二号
平成十三年四月二十日
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員原陽子君提出土地収用法の一部を改正する法律案の経過措置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員原陽子君提出土地収用法の一部を改正する法律案の経過措置に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの土地収用法の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)が成立し施行されたときは、改正法附則第二条の規定により、改正法の施行前に改正法による改正前の土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号。以下「旧法」という。)第十八条第一項の規定により申請がされた事業の認定の手続については、なお従前の例により行われることとなる。そして、この場合における事業の認定及び事業の認定の告示並びに改正法の施行前に事業の認定の告示がされた事業についての事業の認定及び事業の認定の告示については、御指摘のとおり、改正法附則第三条の規定により、改正法による改正後の土地収用法(以下「新法」という。)に規定する手続によってされた事業の認定及び事業の認定の告示とみなされ、その後に土地収用法の規定に基づき行われる手続(以下「裁決関係手続」という。)については、新法の規定が適用されることとなる。
新法の規定による裁決関係手続においても、土地所有者及び関係人に適正な手続を保障しており、その権利は十分に保護されていると考える。
改正法において事業の認定に関する処分を行うに際して、説明会の開催、公聴会の開催及び第三者機関からの意見の聴取を行うこととしたのは、事業の認定に関する処分の透明性及び信頼性の向上を図るためである。
事業の認定に関する処分については、これまでも、適正な事業の認定の手続に従って適確に実施してきたところであるが、今般、事業の認定に関する処分の透明性及び信頼性の向上を図るため、公聴会の開催及び第三者機関からの意見の聴取を行うこととしたものである。
他方、改正法の施行の際には、既に事業の認定の申請がされ、かつ、いまだ事業の認定に関する処分が行われていない事業が生ずることも予想される。この場合における当該事業に係る事業の認定の手続については、改正法の施行前において事業認定申請書の縦覧等の旧法の規定に基づく手続が進行しており、公聴会の開催及び第三者機関からの意見の聴取を適切な時期に実施することは困難であることから、なお従前の例によることとしたものである。
なお、改正法の施行前に事業の認定の告示がされた事業について公聴会の開催及び第三者機関からの意見の聴取を行うことは、事業の認定の手続を再度行うことにほかならず、法的安定性を損なうものであることから、これを義務付けることとはしなかったものである。
法律の制定又は改廃を行う場合においては、制定又は改廃後の法律の適用関係に応じて差異を生ずることは、当然であると考える。
お示しの提案を含む様々な議論を経て作成された「土地収用制度調査研究会」の報告書は、お尋ねの土地収用法の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)の立案に生かされたものと認識している。
なお、御指摘の経過措置の考え方は、四についてで答弁したとおりである。
御指摘の経過措置を含む改正法案は、国土交通省において、土地収用制度調査研究会の報告書、各界からの提言等を踏まえて試案を作成した上で公表し、これについて国民からの意見の募集を行い、政府部内での議論を経て、閣議決定に至ったものである。
お尋ねの事項については、現時点において、改正法の施行の日が確定していないことに加え、いかなる事業が、いかなる時点で、いかなる収用手続をとることとなるかが明らかでないので、答弁することができない。