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平成十三年八月七日受領
答弁第一一六号

  内閣衆質一五一第一一六号
  平成十三年八月七日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員金田誠一君提出西暦二千年における自衛隊の不祥事案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員金田誠一君提出西暦二千年における自衛隊の不祥事案に関する質問に対する答弁書



一について

 1 御指摘の@の事案について、防衛庁において調査したところ、その概要は次のとおりであった。
 平成十二年三月十七日、陸上自衛隊の東北方面総監外七名は、岩手駐屯地において開催された陸上自衛隊東北方面隊に属する師団長等の会議に参加した際、それぞれ配偶者を公用車に同乗させて、岩手駐屯地まで移動した。なお、これらの配偶者は、岩手駐屯地の敷地内に所在する厚生施設を見学し、これに対する意見を東北方面総監部に提出するため岩手駐屯地まで行ったものであり、宿泊費等については各自が負担した。翌十八日、右の八名のうち、東北方面総監、東北方面総監部幕僚副長及び第二施設団長の三名並びにそれぞれの配偶者、車両操縦手等合計十二名は、宿泊先のホテルに隣接するスキー場において私的な行為としてスキーを行い、公用車を利用して帰宅した。
 防衛庁においては、右の三名がスキーを行ったことについて、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第四十六条第一項第一号に規定する「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」(以下「職務上の義務違反等」という。)に該当するものの、違反の程度が懲戒処分を行うまでに至らないと判断したことから、平成十二年四月二十四日付けで、東北方面総監に対して訓戒等に関する訓令(昭和三十一年防衛庁訓令第三十三号)第二条第一項の規定に基づく訓戒(以下「訓戒」という。)を、東北方面総監部幕僚副長及び第二施設団長に対して同条第二項の規定に基づく文書による注意(以下「文書による注意」という。)を行った。
 右の事案について防衛庁が把握している事実関係及び関係者の処分等については、平成十二年四月二十四日発表したところである。

 2 御指摘のAの事案について、防衛庁において調査したところ、その概要は次のとおりであった。
 平成十一年一月から平成十二年二月までの間において、海上自衛隊通信保全業務隊の総務科長は、架空の旅費請求書等を四度にわたり作成し、不正処理したことにより生じた未使用の旅費約三十二万円を国庫に返納することなく、実際に出張する同隊の隊員の宿泊費等の不足分に充当していた。また、同隊の運用審査科長等は、総務科長による架空の旅費請求書等の作成等に協力し、架空の出張命令を受けた同隊の隊員に自宅待機を命じていた。
 防衛庁においては、右の総務科長の行為が職務上の義務違反等に該当すると判断したことから、平成十二年六月二十八日付けで総務科長に対して自衛隊法第四十六条第一項の規定に基づく戒告(以下「戒告」という。)の処分を行うとともに、総務科長を指揮監督すべき立場であるにもかかわらず適切に指揮監督しなかったことが職務上の義務違反等に該当すると判断したことから、同日付で同隊の司令に対して戒告の処分を行った。また、右の総務科長の行為に協力等した運用審査科長等に対して訓戒又は文書による注意若しくは口頭による注意を行った。
 右の事案について防衛庁が把握している事実関係については、平成十二年四月二十日発表したところである。

 3 御指摘のBの事案について、防衛庁において調査したところ、その概要は次のとおりであった。
 平成十二年四月二十八日、海上自衛隊第一術科学校の生徒部の四年生一名が、同部二年生三名に対し胸部をこぶしで殴る等の暴行を加えた。また、同月から五月までの間において、同校職員三名及び同部四年生十名が、下級生に対して生徒服務指導要領(平成十一年八月海上自衛隊第一術科学校長決定)等に違反した指導を行い、また、その際、下級生の腹部をひざで押す等の暴行を加える等の事案が発生した。
 防衛庁においては、右のいずれの暴行についても、職務上の義務違反等に該当すると判断したことから、平成十三年三月十五日付けで、暴行を行った同校職員及び生徒のうち、一名に対して自衛隊法第四十六条第一項の規定に基づく減給(以下「減給」という。)、二名に対して戒告の処分を行うとともに、その他の同校職員及び生徒に対して訓戒又は文書による注意若しくは口頭による注意を行った。また、右の暴行が行われた当時において、分隊に属する生徒等を指導すべき立場にあった生徒部第一分隊長等及びこれらの隊員を指導すべき立場にあった学校長等に対しても訓戒又は文書による注意を行った。
 右の事案について防衛庁が把握している事実関係及び関係者の処分等については、平成十三年三月十五日発表したところである。

 4 御指摘のCの事案について、防衛庁において調査したところ、その概要は次のとおりであった。
 平成十二年六月十四日、会計実地監査のため海上自衛隊の新潟基地分遣隊を訪れた舞鶴地方総監部経理部長は、同監査が終了する前に、新潟基地分遣隊長とともに公用車を使用し寺泊港の現地調査を行い、同港付近において昼食を取った後、新潟県西蒲原郡分水町に所在する大河津分水の現地調査を実施し、再び同分遣隊に戻り監査結果の講評を行った。
 防衛庁においては、右の現地調査が事前に計画されていたものではなく職務上の義務違反等に該当するものの、違反の程度が懲戒処分を行うまでに至らないと判断したことから、平成十二年七月二十六日付けで舞鶴地方総監部経理部長及び新潟基地分遣隊長に対して口頭による注意を行った。
 右の事案については、平成十二年七月四日及び五日、新聞記者からの照会に対して防衛庁が把握している事実関係を説明したところである。

 5 御指摘のDの事案について、防衛庁において調査したところ、その概要は次のとおりであった。
 平成十二年一月十七日、東千歳駐屯地において、陸上自衛隊の第一高射特科群本部管理中隊の火器・化学陸曹は、同中隊の武器庫内を点検していたところ、重機関銃の銃身一本が亡失していることを確認し、このことを同年三月二十八日に同中隊の中隊長に報告した。同中隊長は同年六月二十七日に第一高射特科群長に対して、第一高射特科群長は同日に第一高射特科団長に対して、また、第一高射特科団長は同年七月六日に北部方面総監に対して、それぞれ銃身の亡失を報告した。その後、第一高射特科団に属する全部隊が同駐屯地内、付近の演習場等において亡失した銃身の捜索を行うとともに、北部方面隊に属する全部隊が重機関銃の一斉点検を実施したが、当該銃身の発見に至らなかったものである。
 防衛庁においては、適正な武器の管理を怠っていたこと、銃身の亡失を速やかに報告しなかったこと等が職務上の義務違反等に該当すると判断したことから、平成十三年一月九日付けで、右の中隊長、火器・化学陸曹及び銃身が亡失した当時の管理小隊長に対して自衛隊法第四十六条第一項の規定に基づく停職の処分を、第一高射特科群本部第四科長外二名に対して減給の処分を行うとともに、銃身が亡失した当時において、第一高射特科群に所属する隊員を指揮監督すべき立場であったにもかかわらず、適切に指揮監督しなかったことが職務上の義務違反等に該当すると判断したことから、第一高射特科群長に対して戒告の処分を行った。また、銃身が亡失した当時において、右の隊員を指揮監督すべき立場にあった第一高射特科団長等に対しても訓戒又は文書による注意若しくは口頭による注意を行った。
 右の事案について防衛庁が把握している事実関係及び関係者の処分等については、平成十三年一月九日発表したところである。

 6 御指摘のEの事案について、防衛庁において調査したところ、その概要は次のとおりであった。
 平成八年十月一日、陸上自衛隊の小郡桜谷基本射撃場において、飯塚駐屯地業務隊(以下「業務隊」という。)所属の自衛官を対象とする小火器射撃検定の際に、業務隊所属の事務官等七名は、飯塚駐屯地業務隊長(以下「業務隊長」という。)の技術指導の下、各々拳銃弾五発を射撃した。第一◯三地区警務隊は、平成十二年十二月六日、福岡地方検察庁に対して、右の射撃を実施させた責任者である業務隊長について、銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)に違反する疑いがあるものとして右の事案を送致した。
 右の事案については、現在、捜査当局において捜査が行われているところであり、防衛庁としては、その結果を待って関係者の処分等を検討することとしている。
 右の事案について防衛庁が把握している事実関係については、平成十二年九月五日発表したところである。

二について

 自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つこと等を任務としており、その任務は平素からの国民の信頼なくしては達成し得ないものである。このため、隊員には、平素から自衛隊の任務を理解させ、隊員としての使命を自覚させるとともに、規律の厳守、団結の強化等について指導教育しているところである。
 特に、隊員の不祥事の発生を防止するため、部隊の長等に隊員の身上を的確に把握させ、隊員が勤務上の規律を保持するとともに、その私生活においても常に隊員としての自覚を持ち行動するよう指導させているところであり、今後ともより一層の指導に努めてまいりたい。



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