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答弁本文情報

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平成十四年五月二十一日受領
答弁第五五号

  内閣衆質一五四第五五号
  平成十四年五月二十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員阿部知子君提出セクシャルハラスメントの被害者救済に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員阿部知子君提出セクシャルハラスメントの被害者救済に関する質問に対する答弁書



一について

 平成八年から平成十二年までの五年間(以下「過去五年間」という。)に人事院規則一〇―一〇(セクシュアル・ハラスメントの防止等)第二条第一号に定めるセクシュアル・ハラスメントに該当すると考えられる行為を理由として任命権者が懲戒処分を行った事例の大半は、わいせつな行為その他の身体への不必要な接触又は性的な発言であり、その中には、上司が部下に対して又は指導教官が学生に対して行った行為、複数の者に対して又は複数回にわたって行った行為などがある。
 セクシュアル・ハラスメントは良好な勤務環境の確保に重大な影響を及ぼすおそれがある問題であり、懲戒処分に付されるようなセクシュアル・ハラスメントの事例が生じていることは、極めて遺憾である。

二について

 過去五年間において、人事院規則一〇―一〇第二条第二号に定めるセクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合に任命権者が配置換え等の人事異動の措置を講じた事例として把握しているものは二十一件であり、そのうち加害者と被害者が同一の職場であった事例は十九件である。

三について

 お尋ねの「被害者やセクシャルハラスメントが発生した職場の定期的なフォローアップ等の調査」が具体的にどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないが、人事院規則一〇―一〇第四条は、「各省各庁の長は、職員がその能率を充分に発揮できるような勤務環境を確保するため、セクシュアル・ハラスメントの防止及び排除に努めるとともに、セクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合においては、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない」と定めており、各府省において、個別の事例に応じ、事後における調査も含めた必要な措置を適切に講ずることとしている。

四について

 人事院規則一〇―一〇第八条は、各府省の相談員は、セクシュアル・ハラスメントに関する苦情相談に係る問題の事実関係の確認及び当該苦情相談に係る当事者に対する助言等により、当該問題を迅速かつ適切に解決するよう努めるものとすると定めており、各府省において、被害者及び加害者とされる者の主張を聴取し、その上で双方の主張に不一致がある場合には、それぞれの主張を踏まえて双方から更に聴取すること等により、事実関係の確認が適切に行われるものと考える。

五について

 「人事院規則一〇―一〇(セクシュアル・ハラスメントの防止等)の運用について」(平成十年十一月十三日職福―四四二人事院事務総長通知。以下「運用通知」という。)別紙二「セクシュアル・ハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針」は、セクシュアル・ハラスメントの事実の確認について、被害者及び加害者とされる者から事実関係等を聴取するとともに、当事者間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合等においては、第三者からも事実関係等を聴取することが必要であると定めており、これにより事実関係の確認が適切に行われるものと考える。

六について

 「懲戒処分の指針について」(平成十二年三月三十一日職職―六八人事院事務総長通知)は、標準的な処分量定として、相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を繰り返した場合は停職又は減給、そのような言動を執拗に繰り返したことにより相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患した場合は免職又は停職とする旨を示しており、被害者が受けた精神面への打撃についても考慮されていると考える。なお、個々の懲戒処分の量定の決定に当たっては、懲戒事由に該当すると認められる行為の原因、動機、態様、結果、影響等諸般の事情を総合的に考慮して判断すべきものと考える。

七について

 セクシュアル・ハラスメントに係る事例が民事事件又は刑事事件として係争中であったとしても、被害者の相談に応じ、事実関係を確認した上で懲戒処分等を行うことは可能である。

八について

 人事院規則一〇―一〇第四条は、各省各庁の長は、セクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合においては、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならず、また、この場合において、セクシュアル・ハラスメントに対する苦情の申出を行った職員が職場において不利益を受けることがないよう配慮しなければならないと定めている。

九について

 人事院規則一〇―一〇は、人事行政の公正の確保、職員の利益の保護及び職員の能率の発揮を目的としていることから、苦情相談の対象を職員としているものであるが、お尋ねの「元職員や元非常勤職員からの苦情相談」であっても、その内容に懲戒事由に該当するおそれがあるものが含まれる場合等においては事実関係を確認することが適当と考える。

十について

 お尋ねの「相談対象とならなかった事例」が具体的にどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないが、平成十二年の一年間に、人事院又は各府省のセクシュアル・ハラスメントに関する苦情相談の窓口において、職員からのセクシュアル・ハラスメントに関する苦情相談に応じなかった事例として把握しているものはない。

十一について

 過去五年間において人事院又は各府省がセクシュアル・ハラスメントに関して受けた苦情相談に係る事例のうち、加害者とされる者が被害者との合意による旨を主張したが当事者以外の者の目撃証言に基づいて懲戒処分が行われた事例として把握しているものはない。
 セクシュアル・ハラスメントを理由とする懲戒処分を行うに当たっては、被害者、加害者とされる者及び当事者以外の者からの事情聴取等の方法により事実関係を十分に確認することが必要であり、また、六についてで述べたとおり、量定の決定に当たっては、被害者が受けた精神面への打撃の大きさも考慮すべき要素の一つと考える。

十二について

 人事院は、セクシュアル・ハラスメントの防止等について人事院規則一〇―一〇を設け、同規則第六条及び第八条に基づき指針を定めたほか、研修会の実施等を通じて、職員の意識啓発を図るなど、セクシュアル・ハラスメントの防止及び排除に努めつつ、セクシュアル・ハラスメントに関する苦情相談を通じて、当該苦情相談を行った職員に対して適切な助言等を行うとともに各府省に対して適切な措置をとるよう指導しており、これらによりセクシュアル・ハラスメントに起因する問題の迅速な解決やセクシュアル・ハラスメントのない良好な勤務環境の確保に努めているところである。

十三について

 お尋ねの「禁止規則」が具体的にどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないが、人事院規則一〇―一〇第五条は、人事院の定める指針に従いセクシュアル・ハラスメントをしないように注意することを職員の責務として定めるとともに、当該指針である運用通知別紙一「セクシュアル・ハラスメントをなくすために職員が認識すべき事項についての指針」において、セクシュアル・ハラスメントの態様等によっては懲戒処分の対象となることを定めており、セクシュアル・ハラスメントはしてはならないものであるということが明らかにされていると考える。



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