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答弁本文情報

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平成十四年七月二十六日受領
答弁第一〇八号

  内閣衆質一五四第一〇八号
  平成十四年七月二十六日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員佐藤謙一郎君提出高速横浜環状道路南線に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員佐藤謙一郎君提出高速横浜環状道路南線に関する質問に対する答弁書



一の1について

 現在のところ、お尋ねのような盆地等の局地的に閉じた地形における逆転層の大気汚染への影響を予測する手法はいまだ確立されていないが、環境影響評価における大気汚染の予測手法として用いられているプルーム式及びパフ式は、地域特性等を考慮した係数を適切に設定することにより、地形条件も考慮した大気汚染の影響を予測することができる一般的な手法である。
 高速横浜環状南線の環境影響評価については、神奈川県において、「環境影響評価の実施について」(昭和五十九年八月二十八日閣議決定)、「建設省所管ダム、放水路及び道路事業環境影響評価技術指針について」(昭和六十年九月二十六日付け建設事務次官通達)、「神奈川県環境影響評価条例」(昭和五十五年条例第三十六号)、「神奈川県環境影響評価技術指針」(昭和五十六年告示第三百十二号)及び「横浜市環境影響評価指導指針」(昭和五十五年一月十四日横浜市公害対策局作成)に基づき行われており、大気汚染の予測については、プルーム式及びパフ式を基に、地域特性等を考慮した係数の設定を行い適切に実施され、大気への影響については、二酸化窒素、一酸化炭素及び二酸化硫黄の濃度のいずれもが環境保全目標を達成できると評価されていると承知しており、この環境影響評価は適切なものであると考えている。
 また、国土交通省国土技術政策総合研究所(旧建設省土木研究所)においては、お尋ねの研究成果を報告書として取りまとめ、閲覧の要望があればこれに応じているところである。
 さらに、独立行政法人国立環境研究所においては、盆地等の局地的に閉じた地形における逆転層の大気汚染への影響を予測する手法の研究は実施していない。

一の2について

 御指摘の条件を満たすインターチェンジと類似するかどうかの判断基準が必ずしも明確ではないが、日本道路公団が管理するインターチェンジについて、御指摘のAの条件のうち幅約三百メートル及び深さ約六十メートルの条件を「日本道路公団が定めるインターチェンジの代表位置における道路中心線から横断両方向へ百五十メートル離れた二地点において、いずれの地点も当該代表位置の路面高から六十メートルを超える地形にあるインターチェンジ」として調査した限りでは、このような条件を満たすインターチェンジは存在しない。

一の3について

 トンネルの換気所から排出される自動車排出ガスの土壌脱硝装置については、現在、大阪府において、第二阪奈有料道路(大阪府東大阪市)で実証試験を行い、当該試験の概要やその結果を公表していると承知しているが、これまでのところ実用化された事例はなく、現時点で高速横浜環状南線への設置は考えていない。

一の4について

 一の1についてで述べた環境影響評価においては、大気中に浮遊する粒子状物質(以下「SPM」という。)は環境影響評価の項目ではなかったが、その後、国土交通省関東地方整備局(旧建設省関東地方建設局。以下「関東地方整備局」という。)においては、「横浜市環境影響評価条例」(平成十年条例第四十一号)及び「横浜市環境影響評価技術指針」(平成十一年七月二十三日横浜市作成)に基づき、平成十二年三月に「高速横浜環状南線〔金沢区釜利谷町〜戸塚区汲沢町(横浜市域)〕事後調査計画書」を策定し、SPMについても事後調査を実施することとしている。また、環境影響の照査については、関東地方整備局において、今後、行政機関が行う政策の評価に関する法律(平成十三年法律第八十六号)第六条第一項の規定に基づき定められた「国土交通省政策評価基本計画」(平成十四年三月二十二日国土交通省省議決定)のYの3で定める個別公共事業の再評価(以下「個別公共事業の再評価」という。)を実施するに当たり、SPMについても、最新のデータ及び予測手法を用いて行う予定である。

一の5について

 公田、神戸橋及び田谷の三地区において関東地方整備局が実施した気象調査の分析結果については、平成九年六月五日に公表されている。
 また、当該分析結果においては、谷部に位置する公田及び神戸橋の二地区と比較的平坦な地形に位置する田谷地区とで風向・風速、逆転層の状況に関して同様の傾向が観測され、公田及び神戸橋の二地区に特有の気象状況が存在するとは考えられず、環境影響評価を再度行う必要はないと考えている。

一の6について

 現在のところ、大気における二酸化窒素濃度について短期間の予測を行う手法がいまだ確立されていないことから、お尋ねのような短期評価を実施することは考えていない。

一の7及び8について

 一の1について、一の4について及び一の5についてで述べたとおり、高速横浜環状南線については、環境影響評価を適切に実施するとともに、その後も補足的な調査を実施するなど周辺の環境保全に配慮して事業を進めているところであり、また、個別公共事業の再評価も実施することとしており、これらの実施により周辺の環境保全が図られるものと考えている。
 なお、公害の発生に係る国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第二条第一項の規定に基づく国の賠償責任については、判例上、「侵害行為の態様と侵害の程度、被侵害利益の性質と内容、侵害行為のもつ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度等を比較検討するほか、侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況、その間にとられた被害の防止に関する措置の有無及びその内容、効果等の事情をも考慮し、これらを総合的に考察してこれを決すべきものである」(昭和五十六年十二月十六日最高裁判所大法廷判決)とされていると承知している。

二について

 総事業費三千五百六十五億円については、関東地方整備局において平成九年一月に算出したものであり、関係文書については、地方整備局文書管理規則(平成十三年国土交通省訓令第七十八号)に基づき保存されていることから、その公開は可能である。なお、御指摘の総事業費二千億円については、調査した限りでは、昭和六十三年当時に公表された概算的な総事業費を指すと考えられるところ、その内訳について確認することができなかったことから、総事業費の増加理由についての詳細な説明は困難であるが、総事業費が増加したのは、その後、環境に配慮した道路構造に変更したこと等によるものと考えられる。

三の1について

 高速横浜環状南線の計画交通量については、神奈川県において、昭和六十年度全国道路交通情勢調査結果に基づき、平成二十二年の交通量として一日当たり四万七千三百台から五万四千九百台と推計しており、また、平成二年度全国道路交通情勢調査結果に基づく計画交通量の照査においても、昭和六十年度全国道路交通情勢調査に基づく計画交通量より一日当たり千台から二千台多く推計していると承知しているが、その後の周辺における主要道路の交通量については著しい変化が見られないことから、現在においても高速横浜環状南線の計画交通量が大きく変化することはないと考えている。なお、計画交通量の照査については、関東地方整備局において、今後、個別公共事業の再評価を実施するに当たり、最新のデータを用いて行う予定である。
 また、お尋ねの計画交通量の算出結果については、神奈川県が平成六年十二月に作成した高速横浜環状南線に係る環境影響評価書において公表されている。

三の2及び五について

 高速横浜環状南線については、平成二年八月以降、可能な限り、関係住民等の意向の把握が図られるとともにこれらの者の理解が得られるよう、事前説明会、都市計画の案に関する説明会及び公聴会、環境影響評価に関する説明会等が開催された上で都市計画決定されたものである。また、都市計画決定後も、関東地方整備局及び日本道路公団においては各種説明会の開催等を行ってきたところであり、今後とも、このような説明会の開催等を行いつつ、都市計画に基づき適切に事業を実施していくこととしている。
 なお、御指摘の国土交通省の方針は、「構想段階における新たな計画決定プロセスのあり方について」(平成十三年十月道路計画合意形成研究会提言)に記述されているが、この提言は高速横浜環状南線のような事業化に至ったものまでを対象とはしていない。

四について

 高速横浜環状南線については、前述のとおり、事業内容の見直しは考えておらず、また、環境影響評価の再実施や御指摘のPI(市民参画)の適用も考えていない。



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