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答弁本文情報

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平成十四年八月三十日受領
答弁第一八九号

  内閣衆質一五四第一八九号
  平成十四年八月三十日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 綿貫民輔 殿

衆議院議員原陽子君提出都市再生緊急整備地域などに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員原陽子君提出都市再生緊急整備地域などに関する質問に対する答弁書



一の@について

 都市再生本部(以下「本部」という。)においては、都市再生緊急整備地域を定める政令(平成十四年政令第二百五十七号。以下「本政令」という。)の立案に当たって、都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号。以下「法」という。)第五条第二項に定める手続を適切に実施したところである。
 なお、都市再生緊急整備地域は、都市の再生の拠点として都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域として政令で定める地域であるが、当該地域を定めることにより容積率の緩和等の効果が直接生じるものではない。

一のAについて

 本部においては、都市再生緊急整備地域の指定は容積率の緩和等の効果を直接生じさせるものではないこと等を踏まえ、本政令の立案に当たって、御指摘のような「固定資産税など私有財産など」への個別の影響についての討議等は行っていない。

一のBについて

 本部においては、都市再生緊急整備地域に指定された地域の不動産の資産価値の変化について特段の想定はしていない。

一のCについて

 「平成十一年度土地の動向に関する年次報告」(平成十二年六月九日閣議決定、同日国会提出)において述べているとおり、「いわゆるバブル期における地価高騰においては、当初、事務所ビル需要の急激な増大が都心部の業務地の地価上昇を招き、これを契機として、金融緩和による過剰流動性を背景に、住宅地の買換え需要の増大と投機的な需要の増大が主たる原因となって、タイムラグを伴いながら周辺地域及び他の主要都市の地価上昇が波及していった」ものと総括している。

一のD及びEについて

 法は、都市再生緊急整備地域の指定の前後において、御指摘のような「住民に対し説明する責務」は定めていない。
 なお、一の@についてで述べたとおり、都市再生緊急整備地域の指定は、容積率の緩和等の効果を直接生じさせるものではない。

一のFについて

 御指摘の東京都新宿区富久地区は、都市再生緊急整備地域として指定された環状四号線新宿富久沿道地域に含まれているが、当該地域は、都市再生基本方針(平成十四年七月十九日閣議決定)第三の1に定める「都市再生緊急整備地域の指定基準」に合致するものと判断されたため指定されたものである。
 なお、環状四号線新宿富久沿道地域の中に、西富久地区市街地再開発事業準備組合が存在することは、本部の事務局である内閣官房は承知していた。

一のGについて

 全国における都市再生の動きに対応しつつ、都市開発事業等の熟度等に応じて、今後、都市再生緊急整備地域を更に指定することとしている。

一のHについて

 法は、第一条において、社会経済情勢の変化に対応した都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上を「都市の再生」と定義しており、法に基づく都市再生基本方針、都市再生緊急整備協議会、民間都市再生事業計画の認定、都市再生緊急整備地域における都市計画等の特例等都市の再生のための特別措置は、すべて社会経済情勢の変化に対応した都市機能の高度化と都市の居住環境の向上を図るためのものである。

二の@について

 法第四十一条第一項の規定により都市計画決定権者が計画提案が行われた日から六月以内に当該計画提案を踏まえた都市計画の決定又は変更をしようとする場合においても、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第十六条並びに第十七条第一項及び第二項、第十八条第二項並びに第十九条第二項(これらの規定を同法第二十一条第二項において準用する場合を含む。以下同じ。)の規定により、都市計画の案の作成に必要な場合における公聴会の開催等の措置、都市計画の案の公告及び縦覧、都道府県都市計画審議会又は市町村都市計画審議会への都市計画の案に対する意見書の要旨の提出等の手続をとる必要があり、これらの手続を通じて、適切に住民の意見が反映されるものと考えている。

二のAについて

 法第四十一条第二項の規定は、同条第一項において、都市計画決定権者が計画提案が行われた日から六月以内に当該計画提案を踏まえた都市計画の決定等の処理を行うこととされていることを踏まえ、都市計画法第十八条第一項又は第三項等の規定により都市計画決定権者から意見を聴かれ、又は協議を受けた関係市町村又は国土交通大臣等に対し、都市計画決定権者がその処理期間中に都市計画の決定等を行うことができるよう、速やかに意見の申出又は協議を行うべきことを義務付けているものである。

二のBについて

 二の@についてで述べたとおり、用途地域の変更を含む都市計画の決定又は変更に当たっては、都市計画法第十六条並びに第十七条第一項及び第二項、第十八条第二項並びに第十九条第二項の規定により、都市計画の案の作成に必要な場合における公聴会の開催等の措置、都市計画の案の公告及び縦覧、都道府県都市計画審議会又は市町村都市計画審議会への都市計画の案に対する意見書の要旨の提出等の手続をとる必要がある。これらの手続を通じて、適切に住民の意見が反映されるものと考えており、今後とも適切に実施してまいりたい。二のCについて
 平成十三年八月一日から平成十四年七月三十一日までの間に行われた国から地方公共団体に対する意見照会について調べたところ、照会から回答までに実際にかかった日数は、照会日及び回答日を含め、最長は六十三日、最短は一日であった。

三の@について

 国からの無利子貸付け又は補助金を活用して民間都市開発推進機構が民間事業者に対して法に基づき行う支援策は、法第二十九条第一項第一号の規定による公共施設の整備費用の一部に対する無利子での貸付け(以下「無利子貸付け」という。)、同項第二号の規定による公共施設並びにこれに準ずる避難施設、駐車場その他の建築物の利用者及び都市の居住者等の利便の増進に寄与する施設(以下「公共施設等」という。)の整備費用の範囲内における出資、社債の取得、信託受益権の取得等(以下「出資等」という。)並びに同項第三号の規定による公共施設等の整備費用の範囲内における債務の保証(以下「債務保証」という。)である。
 これらの支援を同一事業者が受けられる組合せは、次のとおりである。

 1 無利子貸付け
 2 出資等
 3 債務保証
 4 無利子貸付け及び出資等
 5 無利子貸付け及び債務保証
 6 出資等及び債務保証
 7 無利子貸付け、出資等及び債務保証
三のAについて

 事業者が三の@についてで述べた支援を受けるためには、当該支援を受けようとする事業について、法第二十条第一項の規定に基づき国土交通大臣による民間都市再生事業計画の認定を受けることが必要である。当該民間都市再生事業計画の認定を受けるには、当該事業が、都市再生緊急整備地域内における都市開発事業(都市における土地の合理的かつ健全な利用及び都市機能の増進に寄与する建築物及びその敷地の整備に関する事業(これに附帯する事業を含む。)のうち公共施設の整備を伴うものをいう。)であって、当該都市再生緊急整備地域の地域整備方針に定められた都市機能の増進を主たる目的とし、その事業区域の面積が原則として一ヘクタール以上であることにより同項に規定する都市再生事業に該当し、かつ、当該民間都市再生事業計画が、都市の再生に著しく貢献するものであると認められること等法第二十一条第一項各号に掲げる基準に適合することが必要である。

四の@からBまでについて

 本部においては、本政令の立案に当たって、お尋ねの都市再生緊急整備地域及びその周辺のビルの空室の総面積、新たな床面積への需要並びに都市再生緊急整備地域に新たに発生する床面積の見積りについての調査は行っていない。なお、都市再生緊急整備地域の指定に際して、都市再生基本方針第三の1に定める「都市再生緊急整備地域の指定基準」に合致するかどうかを判断するために、このような調査を行うことは必ずしも必要ではないと考えている。

四のCについて

 本部においては、御指摘のようなビルを建て替える場合と局部的に情報化対応する場合との社会的費用の比較は行っていない。

四のDについて

 本部においては、御指摘のような床面積の供給過剰などの様々な都市問題を引き起こすいわゆる「二〇〇三年問題」についての経済学的分析は行っていない。

四のEについて

 お尋ねの「ヒートアイランド現象、ビル産廃の増加、水問題、小中学校の就学人数など」については、都市再生基本方針第三の4「都市再生緊急整備地域の整備にあたっての配慮等」において、「緑、水、大気、エネルギーや景観など都市の環境の保全・改善や、従前居住者の居住の確保などにも配慮する。」と定めるとともに、第二の3「都市再生施策の重点分野」として、廃棄物・リサイクル対策、地球温暖化対策・ヒートアイランド対策、安全でおいしい水の確保等を定めており、このような点にも配慮して都市の再生に取り組んでまいりたい。

五の@について

 国土交通省においては、お尋ねの建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第五十九条の二に基づくいわゆる総合設計制度によって設けられた公開空地の利用実態についての調査を行ったことはない。

五のAについて

 国土交通省においては、建築基準法等の一部を改正する法律(平成十四年法律第八十五号)の立案に当たって、いわゆる総合設計制度に係る紛争に関する情報の収集は行っておらず、地方公共団体からこのような情報の提供も受けていない。
 また、いわゆる総合設計制度に関しては、同法において実質的な改正はなされていない。
 なお、同法により新たに導入される一定の要件に該当する建築物について建築確認の手続により容積率等の緩和を行う制度は、これまでの総合設計制度等の運用の中で定型化できるもの等を参考としたものである。



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