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答弁本文情報

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平成十八年三月三日受領
答弁第九四号

  内閣衆質一六四第九四号
  平成十八年三月三日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員赤嶺政賢君提出水俣病問題における被害者救済の抜本的解決に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。





衆議院議員赤嶺政賢君提出水俣病問題における被害者救済の抜本的解決に関する質問に対する答弁書



一の1について

 平成十六年十月十五日最高裁判所第二小法廷判決(以下「平成十六年最高裁判決」という。)を受け、環境省は、同日に環境大臣談話を発表し、「私は、この判決を厳粛に受け止め、水俣病を発生させた企業への対応に長期間を要しその被害の拡大を防止できなかったことについて真摯に反省し、このような悲惨な公害を決して再び繰り返してはならないとの決意を新たにしております。また、苦しみと無念の思いの中で亡くなられた方々に改めて深い哀悼の念をささげ、本訴訟の当事者の方々をはじめ、多年にわたり筆舌に尽くしがたい苦悩を強いられてこられた多くの方々に対し、誠に申し訳ないという気持ちで一杯であります。水俣病問題に関しては、平成七年の与党三党による政治解決により、高度の政治的判断の下で最終的かつ全面的な解決が図られ、多くの方々が苦渋の決断によりこれを受け入れられました。政府としては、この大変に重みのある政治解決に沿って、長きにわたり心身の労苦を堪え忍んでこられた方々が地域社会の中で心豊かに安心して暮らしていけるようにすることが、行政の責務であると考えています。」と表明した。
 また、環境省が平成十七年四月七日に発表した「今後の水俣病対策について」においても、「水俣病問題については、公害健康被害の補償等に関する法律・・・、平成七年の政治解決等に基づき各種対策が講じられてきたところであるが、昨年十月の関西訴訟最高裁判決において国及び熊本県の責任が認められたことを受け、規制権限の不行使により水俣病の拡大を防止できなかったことを真摯に反省し、国として、ここにすべての水俣病被害者に対し謝罪の意を表する。」としている。
 このように、水俣病被害者に対する謝罪の意及び行政の責務については、既に表明してきているところである。

一の2及び三の2について

 環境省としては、平成十六年最高裁判決は、公害健康被害の補償等に関する法律(昭和四十八年法律第百十一号。以下「公健法」という。)における水俣病の認定要件である「後天性水俣病の判断条件について」(昭和五十二年七月一日付け環保業第二百六十二号環境庁企画調整局環境保健部長通知。以下「判断条件」という。)の合理性について何ら判断を加えたものではないと考えており、判断条件を再検討することは考えておらず、平成十六年最高裁判決も踏まえ環境省が平成十七年四月七日に発表した「今後の水俣病対策について」で示した対策の実施に取り組んでいきたい。

二の1、2及び5について

 公健法第四条第二項の認定は、判断条件及び「小児水俣病の判断条件について」(昭和五十六年七月一日付け環保業第千六十六号環境庁企画調整局環境保健部長通知)にのっとり、公害健康被害認定審査会(以下「認定審査会」という。)の意見を聴いて行われている。当該認定を受けた者は、患者団体と汚染原因企業との間で締結された協定書に基づき、その希望により、公健法に基づく補償に代えて汚染原因企業から直接補償が受けられることとされており、これまですべての被認定者が当該協定書に基づく補償を選択しているものと承知している。
 「水俣病総合対策実施要領」(平成八年一月十二日付け環保企第十四号環境庁企画調整局環境保健部長通知別紙。以下「実施要領」という。)第三章に規定する医療事業は、実施要領第三章の要件を満たす対象者(平成十七年に申請受付が再開された保健手帳の交付を受けた者を含む。)に対して行われている。これらの者には、医療費の自己負担分及びはり・きゅう施術・温泉療養費が支給され、また、これらの者のうち医療手帳の交付を受けた者には、療養手当が支給されている。
 平成十六年最高裁判決等の確定判決において損害賠償請求が認容された者には、汚染原因企業による損害賠償が行われている。

二の3及び三の1について

 環境省が平成十七年四月七日に発表した「今後の水俣病対策について」にいう「水俣病被害者」としては、公健法第四条第二項の認定を受けた者である水俣病患者、実施要領第三章に規定する医療事業の対象者である者、平成十六年最高裁判決等の確定判決において損害賠償請求が認容された者等を考えている。

二の4について

 御指摘の救済措置の違いは、公健法第四条第二項の認定が個々の被害者の水俣病の蓋然性の程度に応じて行われるものであること、また、平成七年のいわゆる政治解決が当時係属していた裁判等の和解としての側面を持つものであったことなどの事由により生じたものであり、被害者間の公平性が保たれていないとは考えていない。

三の3について

 できるだけ早期に認定審査会の再開や検診体制の確保ができるよう、関係県市と協力して取り組んでいるところである。

三の4から6までについて

 判断条件は、「公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法の認定について」(昭和四十六年八月七日付け環企保第七号環境庁事務次官通知。以下「次官通知」という。)の考え方を前提としつつ、認定審査会の委員がそれまでの認定審査に係る医学的知見と経験を持ち寄り、認定の要件を明確化したものである。したがって、判断条件は、次官通知の考え方を変更したものではなく、「現に、それ以降、被認定者が激減していった状況をみれば、そのことは明白」との御指摘は当たらないと考える。

四について

 環境省としては、「今後の水俣病対策のあり方について」(平成三年十一月二十六日中央公害対策審議会答申)を踏まえ、平成四年度から、関係県とともに、健康診査、健康相談等の健康管理事業を実施し、水俣病発生地域における住民の健康管理及び健康状況の把握を行ってきたところであり、平成十八年度においては、これまでの取組を踏まえ、地域住民の健康状況について中長期的な観点から更なる把握を行うため、健康管理事業の拡充を図ることとしている。



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