答弁本文情報
平成十八年六月十六日受領答弁第三〇五号
内閣衆質一六四第三〇五号
平成十八年六月十六日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員逢坂誠二君提出障害者自立支援法の評価に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員逢坂誠二君提出障害者自立支援法の評価に関する質問に対する答弁書
一について
障害者自立支援法(平成十七年法律第百二十三号。以下「法」という。)に基づく障害福祉サービス(以下「障害福祉サービス」という。)については、そのサービスに要する費用の一割を利用者が負担することを原則としつつも、障害者の家計に与える影響等の事情をしん酌して負担の上限額を設定するなど、障害者の将来の生活設計という点にも十分に配慮し、負担の軽減を図る仕組みを講じているところである。
現時点では、お尋ねのような障害者の生活実態を把握するための調査は行っていないが、本年十月一日以降、重度障害者等包括支援、就労移行支援等の障害福祉サービスの給付、市町村等による障害福祉計画の策定などが行われることになることから、今後、関係者の協力を得つつ、障害者の生活実態を含め障害福祉サービスの利用に関する実情を的確に把握するよう努めてまいりたい。
本年十月一日から、障害福祉サービスとして創設される就労移行支援及び就労継続支援についても、他の障害福祉サービスと同様に、一定の利用者負担が生ずることとなるが、これらの就労支援は、障害者に対し、生産活動の機会の提供を通じて、就労に関する知識及び能力の向上のために必要な訓練その他のサービスを提供するものであることから、当該サービスの利用に対し、他の障害福祉サービスと同様の負担を求めることとしているものである。
法に基づく利用者負担の上限額については、障害福祉サービスを利用する障害者と同一の世帯に属する者の所得に基づいて設定することとしているが、これは、一般に世帯が社会生活上の単位として住居及び生計を共にする者の集まりであることから、利用者における負担能力に応じた負担の軽減を図るに当たり、同一世帯の他の構成員の所得の状況が考慮されるべき重要な要素であると考えられることによるものである。
なお、障害者が、当該障害者と同一の世帯に属する者(当該障害者の配偶者を除く。)の扶養親族(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第二十三条第一項第八号に規定する扶養親族をいう。)及び被扶養者(健康保険法(大正十一年法律第七十号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用する場合を含む。)又は地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の規定による被扶養者をいう。)に該当しないときは、障害者及び当該障害者と同一の世帯に属するその配偶者のみの所得に基づいて負担の上限額を設定することができることとしており、世帯における生計の実態に即した取扱いを認めているところである。
特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和三十九年法律第百三十四号)に基づく特別児童扶養手当(以下「手当」という。)は、在宅で障害児を監護する父母又は養育者(以下「保護者」という。)に支給しているものであり、障害児の福祉の増進を図ることを目的としている。
本年十月一日以降、知的障害児施設等(法附則第二十六条の規定による改正後の児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十四条の九第一項に規定する知的障害児施設等をいう。以下同じ。)における給付についても、食費等を実費負担とするとともに、一定の応益的な利用者負担を求めることとしたところである。しかしながら、こうした制度改正がなされた後においても、知的障害児施設等に入所する障害児が当該知的障害児施設等から生活全般にわたり包括的に専門的な介護等のサービスを受けるのに対し、在宅で保護者と同居する障害児が生活全般に対する介護等を保護者から包括的に受けるという基本的な状況が変わるものではなく、また、知的障害児施設等に係る利用者負担の導入に当たっては、保護者の家計に与える影響等に配慮し、負担の軽減を図る仕組みを講ずることとしていることから、手当の支給に関する現在の基本的な仕組みは維持されるべきものと考えている。
障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第四十三条第二項に規定する障害者雇用率の達成状況については改善が見られるものの、未だ当該率を達成していない事業主(以下「雇用率未達成事業主」という。)が半数を超える現状であることから、雇用率未達成事業主の解消に向けた取組を強化し、障害者の雇用の一層の促進を図ることが必要であると考えている。
このため、平成十八年度から、障害者の雇用の支援に関する専門的な知識及び経験を有する者を公共職業安定所へ配置すること等により、障害者に対する相談支援体制の充実強化をさらに図るとともに、雇用率未達成事業主に対する指導の基準を見直し、指導を強化することとしたところである。また、精神障害者に対する障害者雇用率制度の適用、障害者の福祉に関する施策との有機的な連携等を柱とする障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(平成十七年法律第八十一号)及び新たな就労支援型のサービスの創設、雇用施策との連携の強化等を柱とする法が成立し、順次施行されているところである。今後とも、これらの取組を含め、障害者の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ、障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進することにより、障害者の雇用の一層の促進に努めてまいりたい。
ご指摘の「調査票」の意味するところが明らかではないが、一般論として申し上げれば、障害者に関する調査を実施する場合には、障害者の特性を踏まえた適切な方法による調査が行われるよう努めてまいりたいと考えている。