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平成十八年十二月二十二日受領答弁第二三五号
内閣衆質一六五第二三五号
平成十八年十二月二十二日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員赤嶺政賢君提出諫早湾干拓事業の農地配分と調整池の水質改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員赤嶺政賢君提出諫早湾干拓事業の農地配分と調整池の水質改善に関する質問に対する答弁書
(一)について
国営諫早湾土地改良事業(以下「本事業」という。)においては、平坦な農地に乏しい長崎県において大規模な優良農地を造成し、生産性が高く環境に配慮した農業経営の実現を図ることを目的としている。長崎県が示している農地のリース方式を導入するとの方針は、環境保全型農業の推進や、干拓地の細分化の防止等のためであり、本事業の目的に沿ったものである。
干拓地を農地保有合理化法人に配分することは、土地改良法(昭和二十四年法律第百九十五条)第九十四条の八の二に規定された方法である。財団法人長崎県農業振興公社については、今後、同公社から配分申込書が提出された段階で、その適格性について判断することとしている。
長崎県からは、農地の貸付料金については、地域の標準小作料、地元負担金の償還等を考慮して設定することとしているが、償還財源に係る金利等が現時点では不明確であること等から、現時点において農地の貸付料金を明示することは困難であると聞いている。
国としては、現時点では、工事完了後の水質保全対策については、予定していない。
長崎県が平成十五年三月に策定した諫早湾干拓調整池水質保全計画(第二期)(以下「第二期水質保全計画」という。)に盛り込まれている、関係自治体が行う生活排水対策等を含む水質保全対策が完了していないことから、調整池の水質は、水質保全目標値を上回る水準となっていると考えている。
第二期水質保全計画においては、平成十九年度末までに達成すべき生活排水処理施設の整備内容が記載されていると承知しており、長崎県からは、第二期水質保全計画に盛り込まれた水質保全対策の実施により計画期間中に水質保全目標値を達成できるとの予測結果を得ていると聞いている。
調整池の化学的酸素要求量(以下「COD」という。)が流入河川の水質と比較して高くなっているのは、調整池の浅水域で生じる風による底泥の巻上げ等によるものと考えている。このため、潜堤による巻上げの抑制を図ること等により、調整池の水質改善に努めてまいりたい。
潜堤の設置等水質保全対策の実施により、本事業の工事完了年度には、CODの数値を含め、水質保全目標を達成できるとの予測結果を得ており、今後とも水質保全対策の推進に努めてまいりたい。
本事業は、潮受堤防を設置し、高潮を防止するとともに、その内側に設けた調整池の水位を標高マイナス一メートルとなるように管理する結果、潮汐の直接的な影響を受けなくなること、既存堤防の排水樋門の前面におけるガタ土の堆積が解消され、ミオ筋(流路)の確保が容易となることから、河川、排水路等から調整池への排水が速やかに行われ、大雨時でも洪水被害の軽減を図る機能を有するものである。このため、高潮の防止及び潮汐の直接的な影響の排除のためには潮受堤防の設置が不可欠である。
御指摘の流況解析は、調整池水位よりも外潮位の方が高い場合でも排水門を閉じない条件で行ったものである。