答弁本文情報
平成十八年十二月二十二日受領答弁第二四〇号
内閣衆質一六五第二四〇号
平成十八年十二月二十二日
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員山井和則君提出健康保険における傷病手当支給期間に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出健康保険における傷病手当支給期間に関する質問に対する答弁書
一について
傷病手当金については、被保険者が疾病又は負傷のため労務不能となり一時的に収入の喪失等を来した場合に、これをある程度補てんし、生活保障を行うことを目的とするものであり、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第九十九条第二項において「同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して一年六月を超えないものとする」と規定し、その支給期間を定めているところである。御指摘の事例については、当初に発症した大腸がんが社会通念上治癒したものと認められない場合又は当初に発症した大腸がんと再発後の大腸がんとの間に密接な因果関係がある場合には、再発後の大腸がんは同項に規定する「同一の疾病」又は「これにより発した疾病」に該当することから、これに係る傷病手当金は支給されない。
健康保険は、疾病の性質のいかんにかかわらず、健康保険法第一条に規定するように労働者の業務外の事由による疾病等の保険事故に対して保険給付を行うことを目的とするものであり、また、同法による保険給付は短期給付としての性格を有する。このような保険給付の目的及び性格を踏まえれば、御指摘のような慢性疾患という疾病の性質に着目した健康保険制度の整備運用等はかえって急性疾患との平等性・公平性といった面で問題を生じかねないと考える。
健康保険法第九十九条第二項においては「支給を始めた日から起算して」と規定しており、御指摘のように、同項に規定する「傷病手当金の支給期間」を断続的な支給期間を合算した延べ支給期間と解釈することは文言上困難で、同法の制定当初から同様の解釈であり、実務上も、その間に労務可能となった期間も含め、支給開始から一年六か月間という期間を定めたものという取扱いがなされているところである。